NYヤンキース一筋で活躍した往年の名選手、ドン・マッティングリー選手のピンストライプのコレクティブル。彼自身の成績をみると、安打数2100本、本塁打200本と、ヤンキースの歴史を彩ったスーパースター達に比べると平凡な選手のように思えるが、NYヤンキースファンの彼に対する敬愛の念は、それらのスーパースターに負けないくらい非常に強いものがある。彼自身は、14年間NYヤンキースに在籍し、キャプテンを務めたのだが、その間1度もリーグ優勝できず、もちろんワールドチャンピオンにもなれなかった。彼が入団する前年にリーグ優勝してから長期低迷期に入り、次のリーグ優勝が彼が引退した翌年だったというから、なんだか貧乏神のような存在と思われがちだが、NYファンはそうは見ないようである。弱体化したチームのなかで、腐らずに孤軍奮闘したキャプテンとして、今でも熱烈なファンが多いのである。こうした見方は、ある意味で、アメリカ人の野球に対するポジティブな見方の反映と言えるだろう。ヤンキースファンの熱烈さを反映して、彼の背番号23はヤンキースの永久欠番になっているが、まだ野球殿堂入りは果たしていない。通常、ヤンキースの永久欠番となる方が野球殿堂入りよりも難しいと思われるが、彼の場合は逆である。こうした事実からも彼のNYでの敬愛振りがうかがわれる。