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神去なあなあ日常 三浦しをん
本屋さんで本書を見た時は「変な題名だなぁ」と思うと同時に「何かの書評で見たような気がする」という感じがした。おそらく変わった題名なので、記憶のどこかに引っかかっていたのだろう。変わった題名でなければ手に取ることは無かったかもしれない。そういう感じで1年近く前に購入したものの、今まで読まずに放置したままだった。
今回読み始めてみると、本書が三重県の山間地の「林業の危機」を題材にした話だったのでびっくりした。少し前まで勤務していた地域の「ご当地もの」だ。でも、こうした「ご当地もの」なのに、地元で話題になったという話は聞いていなかった。文芸作品だから、読者層が地域振興に関心がある人とは違うということかもしれないが、それにしてもほとんど話題にならないというのも変な気がする。
内容は、将来に対する展望もなく漠然と暮らしていた横浜の高校生がはからずも政府の補助制度を利用した後継者候補として林業に従事するというもの。林業の危機、後継者不足の問題が、こうした小説になるほどポピュラーな問題になりつつあるということなのだろう。高齢化・過疎が進む集落に残る、厳しい労働とスローライフの共存、古くからあるものとして大切にされている風習のようなものが上手く描かれていて興味をそそる。極限にまで達してしまった都会と過疎の集落の断絶を前提として考えれば、このような作品には、何らかの社会的な意義のようなものが見出せるのではないかと思われる。(「神去なあなあ日常」三浦しをん、徳間書店)
今回読み始めてみると、本書が三重県の山間地の「林業の危機」を題材にした話だったのでびっくりした。少し前まで勤務していた地域の「ご当地もの」だ。でも、こうした「ご当地もの」なのに、地元で話題になったという話は聞いていなかった。文芸作品だから、読者層が地域振興に関心がある人とは違うということかもしれないが、それにしてもほとんど話題にならないというのも変な気がする。
内容は、将来に対する展望もなく漠然と暮らしていた横浜の高校生がはからずも政府の補助制度を利用した後継者候補として林業に従事するというもの。林業の危機、後継者不足の問題が、こうした小説になるほどポピュラーな問題になりつつあるということなのだろう。高齢化・過疎が進む集落に残る、厳しい労働とスローライフの共存、古くからあるものとして大切にされている風習のようなものが上手く描かれていて興味をそそる。極限にまで達してしまった都会と過疎の集落の断絶を前提として考えれば、このような作品には、何らかの社会的な意義のようなものが見出せるのではないかと思われる。(「神去なあなあ日常」三浦しをん、徳間書店)
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