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都市伝説の正体 宇佐和通

まず帯の写真に「何だこれは?」と興味をそそられる。そしてちょっと本を開いて口絵の写真を見てみると、もう読まずにはいられない。帯と口絵と題名、この3つの連携が実にうまく出来た本だ。内容は、世界の様々な都市伝説とそのバリエーションが紹介されていて、その後にその伝説が広がった由来やら社会的な背景などが簡単に述べられているという構成が最初から最後まで続いている。
 本書で紹介されている話は、残念ながらほとんどが聞いたことのない話だったが、中に1つだけ、これが都市伝説とは知らずにずっと信じていた話があった。アメリカのショッピングモールで、親がトイレに行っている間に日本人の子供が誘拐され、誘拐犯が子供を連れてショッピングモールを出るところを間一髪で救出されたという話だ。その時、子供の髪がスプレーのインクで金髪に染められていたという。私はこの話と全く同じ話を、アメリカに赴任したとき、アメリカ駐在では先輩にあたる会社の同僚の奥さんから聞いた。要するに「アメリカでは子供の手を絶対に離してはいけない」という教訓として話してくれたのである。本書によると、この都市伝説は90年代後半にアメリカで作られた有名な都市伝説なのだそうだ。時期も私が聞いた時期とぴったりだ。今でもアメリカの駐在員の社会で語り継がれているのではないかと思うと不思議な気がする。また、私と家族が無事にNY駐在を終えて帰国できたのはこの話を聞いてずっと気をつけてきたおかげだと思っており、この都市伝説のおかげだと思うとこれも不思議な気がする。(「都市伝説の正体」宇佐和通、祥伝社新書)
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