goo

にっぽん「食謎」紀行 伊丹由宇

「食謎」という題名だが、この本の「謎」のほうが余程気になる。文体は大物の貫禄十分という感じだが、ところどころに有名人との交友をひけらかすような記述があり、どうも小物のようにも思える。尊大な言い回しはかなりの年配かとも思わせるが、体験談の時代背景等を考えると40歳代位にも思える。本の裏表紙に載っているプロフィールをみても、年齢すら判らない。その道の有名人なのかもしれないが、私にとっては「著者の謎」が気になって仕方がない。内容は食に関するエッセイだが、読んでいてかなり面白い。東海林さだおの「まるかじりシリーズ」とはまた違った面白さだ。著者自身が薀蓄を目いっぱい語った後で、食通に対して「薀蓄などたれずに黙って食え」と苦言を呈するなど、ご愛嬌がいっぱい。そのあたりも確信犯なのが面白い。(「にっぽん「食謎」紀行」伊丹由宇、PLUS新書)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )