goo

科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている 丸山茂徳

羊頭狗肉という言葉があるが、本書はちょうどその逆のような感じだ。題名にある人間のCO2排出を主因とする「地球温暖化」説への批判・反論は本書の最初の1章だけで、残りの3章は、著者自身の文明論の開示と「地球寒冷化」への警鐘、その危機を乗り越えるにはどうしたらよいかという話に終始している。「温暖化」に対する批判部分は、CO2排出による温暖化効果は事実だが、非常に瑣末なことで、それ以上に地球全体の寒冷化にどう対処していくかを考える方がはるかに大切である、というのが本書の立場だ。これから日本が石油の消費をゼロにしたとして、温暖化の抑制効果は、0.00002℃程度に過ぎず、それ以上に、宇宙線増加による寒冷化の方が大きな問題ということだ。例えば、ピナツボ火山の噴火によって観測された「地球寒冷化」は、これまで人類が排出してきたCO2総量による「温暖化」にほぼ匹敵するものだったという。また、宇宙から飛来する「宇宙線の影響や地軸の変動による「寒冷化」は予測できないものの、方向としては「寒冷化」に向かっている可能性が高く、その影響はCO2による温暖化をはるかに上回るものだという。さらに、CO2削減は、CO2を必要とする植物の生育を阻害し、寒冷化による食糧危機を助長する可能性さえあるとする。
 こうした地球温暖化対策の愚を説いたあと、本書は、著者自身の文明論、歴史認識へと進み、最終的には寒冷化による破綻を回避するためには「世界統一政府」が必要であると説く。なお、寒冷化とは関係ないが、本書のなかで、宇宙から飛来する宇宙線量の変動が生物の進化の速度と関連しており、カンブリアの生物大爆発もそれで説明が可能になるだろうという記述があり、面白かった。(「科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている」丸山茂徳、宝島新書)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )