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パルテノン 柳広司
実業之日本社文庫の2冊目。これも文庫創刊・第一回配本の目玉の1つといえるだろう。帯をみると、「ジョーカー・ゲームの原点」と書かれていて、興味を引く。彼の本は、ほとんど読んでいると思うが、私の著者に対する印象としては、彼の作品のなかで、「ジョーカー・ゲーム」だけが(良い意味で)やや異質だと思っていた。この帯の説明によれば、本書は「ジョーカー・ゲーム」の流れを汲む作品ということになる。読んでみて、その雰囲気、その面白さは、まさに「ジヨーカー・ゲーム」と同じだと感じた。本書は3つの連作からなっていて、それぞれの話に古代ギリシャの傑出した人物が登場する。私には古代ギリシャの知識がないので、それぞれの物語に登場する3人の主人公がどのような人物なのか、そもそも実在の人物なのかも判らないのだが、本当に見てきたかのような存在感とリアリティのある描写には驚かされる。おそらく本書の3編は、ある程度の史実をもとにかかれているのだろうが、それを知っている人にはその虚実皮膜が良いのかもしれない。(「パルテノン」柳広司、実業之日本社文庫)
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