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江戸のお裁き 河合敦

江戸時代の、裁判、刑罰といった司法制度の解説が中心の本書だが、内容はそれだけではなく、江戸時代の風俗や庶民の暮らしぶりなどに話が飛んだりしていて、雑学知識を得るという意味では大変面白い本だ。鼠小僧次郎吉、大岡越前守、遠山の金さん、鬼平犯科帳の鬼平などの有名人の実際の行状などは雑学として面白い。また、日米和親条約について、学校で習ったのは「治外法権」「不平等条約」という側面だけだった気がするが、その背景に当時の日本の刑罰があまりにも残虐すぎて「そんな法律で裁かれては適わない」とアメリカ人が恐れを為したという側面があったという記述も大変面白かった。江戸時代において、刑を確定する際に、どんなに物証といった客観的な証拠があってもだめで、とにかく自白を重視するという考え方があったというのも、今につながるような話で考えさせられる。さらりと読めるが意外と内容の濃い本だ。(「江戸のお裁き」河合敦、角川oneテーマ21)
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