書評、その他
Future Watch 書評、その他
アリアドネの弾丸 海堂尊
田口・白鳥コンビが活躍する「バチスタ」シリーズの第5巻。このシリーズは偶数巻が幕間的な話、偶数巻で大事件が勃発という傾向があるように思われる。奇数巻の本書では、文字通りの大事件が勃発。絶体絶命のように思える東城大学病院の危機を、田口・白鳥コンビが辛うじて乗り切るというスリルのある展開だ。先日、別シリーズの「ブレイズメス1990」を読んだばかりだが、その「ブレイズ‥」のなかでは正論で上司にたてついていた高階医師が、本シリーズでは海千山千のたぬき親父のような病院長になっている。「ブレイズ‥」を読んだばかりなので気がついたのだが、本書のなかにはごくさりげなく「ブレイズ‥」のその後を暗示するような場面がある。前にも書いたが、両シリーズがこれからどう繋がっていくのか、ますます気にかかるし、著者もそれを十分に意識して書いているようだ。
ミステリーとしては、真犯人のトリックをどう暴くのかがポイントだが、ミステリーの禁じ手とされるトリックを1つ使っているので、評価は分かれるかもしれない。私としては、その禁じ手、本書が医療ミステリーであるという点と、本シリーズへの愛着の強さから、それほどは気にならなかった。それよりも、謎が解き明かされた時の意外性の方に軍配を上げたい。なお、巻頭にこれまでの4巻ではなかった「病院の見取り図」が掲載されていて「あれ?」と思ったが、これも、最後まで読むとミステリーの重要な鍵になっていることが判って納得した。(「アリアドネの弾丸」海堂尊、宝島社)
ミステリーとしては、真犯人のトリックをどう暴くのかがポイントだが、ミステリーの禁じ手とされるトリックを1つ使っているので、評価は分かれるかもしれない。私としては、その禁じ手、本書が医療ミステリーであるという点と、本シリーズへの愛着の強さから、それほどは気にならなかった。それよりも、謎が解き明かされた時の意外性の方に軍配を上げたい。なお、巻頭にこれまでの4巻ではなかった「病院の見取り図」が掲載されていて「あれ?」と思ったが、これも、最後まで読むとミステリーの重要な鍵になっていることが判って納得した。(「アリアドネの弾丸」海堂尊、宝島社)
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