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セリヌンティウスの舟 石持浅海

固い絆で結ばれた6人の男女がいて、そのうちの1人が他の5人が寝ている横で自殺するという事件が起こる。但し、その自殺にはほんの些細な疑問がある。残された5人は、その疑問をどう解釈したら良いのかを話し合い始める。6人全員の善意を信じるということを前提に、最初の疑問を解消する理由を突き詰めていくと、今度は別の疑問が生じてしまう。果たして、6人全員の善意を前提にしたうえで、全ての疑問を解き明かす答えはあるのか?あるいは全員が善意で行動したという前提に誤りがあるのか? 推理劇は最後にある結論に達する。表面的には一般的な「本格推理小説」と随分違う趣の話だが、推理の醍醐味という点では、本格推理の味わいを持った作品だと思う。、著者の本は「アイルランドの薔薇」以来2冊目。最近著者の本が人気を博していることは知っていたが、人気の理由が納得できる作品だ。(「セリヌンティウスの舟」 石持浅海、光文社文庫)

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