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ぜんぶの後に残るもの 川上未映子

女性作家のエッセイ集はほとんど読む機会がないのだが、本書は書評誌で「3.11」で作家が何を考えたのかが書かれていると紹介されていたので、読むことにした。日本人に、1人1人濃淡はあるにせよ、様々な影響を与え続けている「3.11」。読者としての私にも様々な変化があったと実感しており、それならば書き手側にはどのような影響を与えているのかを知りたいと思ったからだ。震災後に考えたことを綴った文章は、最初の数編だけだが、やはりそれらを読むと、その影響の大きさや多様さを改めて思い知る思いだ。震災後に使われた「逃げ出す」という言葉への違和感といった文章は、作家ならではの言葉への感覚が現れている。また、震災とは関係ない文章のいくつか、例えば「ストレス」に関する文章や「本田△」の意味など、大変く面白い文章があったりして、全編に亘って堪能できた。棚にはこういうエッセイを何気なく読むのもいいかなと思った。(「ぜんぶの後に残るもの」 川上未映子、新潮社)

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