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晩年計画がはじまりました 牧野修

書評本に「イヤミスの傑作」とあったので、読んでみた。最近(3.11以降)こうした「イヤミス」にはなかなか手が伸びないのだが、書評に後押しされた形だ。謎も面白いし、展開も面白いのだが、最後の結末はややおざなりで物足りない感じがした。読み終えて作者の「あとがき」を読んだら、この作品の執筆中に「3.11」が起こり、どうしても「イヤミス」を書き進める気になれず、一時執筆の中断を余儀なくされてしまったというようなことが書かれていた。執筆を再開して、結局当初の予定通りのストーリーで書き終えたとあったが、最後のところの物足りなさは、そうした執筆の経緯が影響している気もする。3.11は、やはり暗すぎる話、救いのない話というものについて、読み手側だけでなく、書き手の方にも大きな影響を与えているのではないかと思われる。(「晩年計画がはじまりました」 牧野修、角川ホラー文庫)

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