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昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉

おそらく「永遠の0」が大ベストセラーになったあたりからではないかと思うが、最近、放送作家が小説を書くというパターンが多い気がする。ライトノベルの作家が一般の小説を書いたり、少年少女向けの作品が中心の作家が大人向けの作品をだすというパターンなど、色々なジャンルを超えた小説が出てきているのは、本が好きな読者にとっては大変歓迎すべきことだと思う。但し、放送作家→小説というパターンでどうしても気になるのは、放送作家の作品に、それまでの土壌で培った「泣かせる技術」を売りにしているものが散見されることだ。そうした意図が露骨に判ってしまう小説はどこか興ざめしてしまう。本書の場合は、若干そうしたニオイがしなくもないが、それを超える「センスの良さ」を感じた。何気ない出来事の描写のなかで、きらりと光るものを見つける楽しみを感じさせてくれた1冊だった。(「昨夜のカレー、明日のパン」 木皿泉、河出書房新社)

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