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ようこそ授賞式の夕べに 大崎梢

著者の2つのシリーズの主人公が2手に分かれて1つの謎を追いかけるという構成の本書は、両方のシリーズの読者にとっては興味深々の作品だ。残念ながら、その謎そのものは興味深々というわけではないのだが、それ以上に興味深かったのは、その謎が「本屋大賞」をもじったような「書店大賞」という賞を巡る謎だということ。名前は違うが、書かれている内容は「本屋大賞」の内幕を投影していると思われるので、それが興味深かった。本書を読んで、この賞がどのように運営されているのか、どの時点で本屋さんは受賞作品を知るのかといった、日ごろの疑問がいくつも明らかになった。例えば、いつの時点で本屋さんは受賞作品や最終順位を知るのかという疑問については、受賞作品が発表になった当日に本屋さんの店頭に受賞作品が並び、POPが掲げられているのをみて、本屋さんはかなり前から受賞作品を知っているということは想像していたが、本書を読むと、2次投票後のかなり早い時点で知っているということが判った。ちょうど今、ノミネート作品が発表されて2次投票が行われている最中なので、この作品を読むタイミングとしては良いタイミングだったように思う。毎年、自分なりの受賞作を予想しているが、その時点で本屋さんの関係者は受賞作品を知っているということになる。全くはずして笑われないように、頑張って予想しなければと思った。(「ようこそ授賞式の夕べに」 大崎梢、東京創元社)

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