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「農民画家」ミレーの真実 井出洋一郎

ミレーという画家の解説書だが、「革新性」「多様性」「神話性」「現代性」という切り口で判り易く解説してくれると同時に、「サロンに出展された『種をまく人』はどこに所蔵されている作品か?」というエピソードが語られていたり、ミレーの風景画や肖像画についての話があったりで、まったく飽きさせずに面白く読むことができた。特に、なぜミレーがアメリカで人気があるのかという話や、戦前の日本で日本でミレーが「偉人」として紹介され続けた背景、日本でのミレー人気が高度成長期の「ミレー展」がきっかけだった話などが面白かった。口絵と図版が豊富なのも文句なしで、素晴らしい1冊だと思う。(「農民画家」ミレーの真実」 井出洋一郎、NHK出版)

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