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ブラック企業VSモンスター消費者 今野晴貴&坂倉昇平

21世紀に入ってますます増殖している「ブラック企業」と「モンスター消費者」という2つの現象が競い合うようにスパイラル的に増殖して社会を破壊していきつつあるという視点から、両者について語った本書。この両者は、競合関係にあるのではなく、一方が他方の原因となり、事態をどんどん悪化させている構図があるという。本書の最大のポイントは、「ブラック企業の商品やサービスに対する不買運動を行えば、ブラック企業は自然に淘汰されていく」という主張が楽観的すぎるということだ。そんなことでは「ブラック企業」はなくならず、必要なのは労働時間や職務内容に関する「制度」を早急に作ることだという主張は、そのとおりだと思う。本書は、そうしたことを考えさせてくれるまたとない良書だ。最後の鼎談のところで、「お・も・て・な・し」について語っているところも、「ずっとブラック企業について考え続けている人が解釈するとこうなるのか」と、感心してしまった。(「ブラック企業VSモンスター消費者」 今野晴貴&坂倉昇平、ポプラ新書)

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