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国道沿いのファミレス 畑野智美

20代のファミレスに勤務する主人公が、実家の近くの店舗に転勤になり、そこでの人間関係の色々が描かれた小説。題名から想像される「お仕事小説」の要素はほとんどなく、描かれているのは、終始一貫して、主人公の親、友人、仕事の同僚との人間関係だ。話の内容は、青春時代のごたごたと言ってしまえば身も蓋もないが、書評等では「それだけではない何かがある」ということらしい。確かに、私もそうした青春ものに熱中するほど若くはないが、それでも確かに本書にはそれだけではない何かがある。主人公の成長に共感するという部分もあるし、親と子どもの関係という点では、親の目線からみたらどうかという読み方もできる。そうした何かを伝える特殊な何かを著者は持っている。この著者の作品は、題材を確認しつつも、また読みたいと感じる良作だと思った。(「国道沿いのファミレス」 畑野智美、集英社文庫)

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