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チームビリーブの冤罪講義 椎名雅史

この出版社の本を読むのは初めてかもしれない。本書の帯をみると「単位不足であるゼミに送り込まれた学生が冤罪事件を再調査する」ということが書かれており、「最近こうしたかなり特殊な設定の短編ミステリーが増えてきているなぁ」と思いつつ、もしかしたら掘り出し物かもと思って読んでみることにした。こちらとしては、あまり大きな期待もなく普通ならばそれでよしという感じで、興味は本書が数多い類似本にないものがあるかもしれないという期待だった。読み終えた結果としては、予想以上に重たい話で、読み応えのある1冊だった。いくつかの冤罪と思われる事件を解決していくなかで、3名の学生がそれぞれ自分の遭遇した事件や悩みの決着をつけていくというストーリーが、非常に秀逸でかつ面白い。類似本にはなかなか見られないしっかりした構成にもびっくりだ。随所に文章の視点が定まらずに読みづらいところはあったが、そうした技術的な瑕疵を補って余りある内容だと感じた。変に続編を意識したような曖昧さを残さずに全ての事件がしっかり解決させているところも、潔さが感じられて好感が持てた。(「チームビリーブの冤罪講義」 椎名雅史、リンダブックス)

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