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いつまでもショパン 中山七里

著者の岬洋介シリーズの第4弾。著者の作品はいずれも少し変った作風のミステリーで印象に残っており、本書もかなり期待して読んだ。今回の舞台は、ポーランドのショパン・コンクール。これまで以上に「音楽」という要素が前面にでた内容で、かなりの部分が、コンクールで披露される登場人物のショパンの楽曲の演奏に関する記述で占められている。ショパンの何の何番と言われてもほとんどピンとこない読者にはややつらいが、その内容が微妙にミステリーの謎を解く鍵になっているのではないかということでしっかり読まざるを得ない。そうしているうちにコンサートでそれらを聞いているかのような真剣さでその記述を追ってしまうという仕掛けだ。ミステリーの部分もなかなか楽しめて、当初の期待を裏切らない1冊だった。(「いつまでもショパン」 中山七里、宝島社文庫)

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