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物乞う仏陀 石井光太

非常に重たいノンフィクションである。アジア各国の障害者の状況を伝えるルポルタージュだが、そこにあるのは、発展途上のアジア各国における障害者たちの厳しい現実だ。しかも、本署を読むと、アジアの国々の障害者は、貧困と障害という各国共通の厳しさに加えて、それぞれの国の事情によるもう1つの厳しさを抱えていることがわかる。それは、それぞれの国の障害者が、それぞれの国の事情、例えば、戦争、貧富格差、宗教、少数民族問題、麻薬の横行、政治情勢、といったもう1つの問題を抱えて、我々には想像もできないような多様な困難に直面しているということ、しかも「、この3つ目の困難が、それぞれの国の問題を一律に語ることができない複雑さを生んでいるということだ。読んでいて溜息ばかりが出てしまうような内容だが、そこには人間として目をそらしてはいけないものがあることを教ええくれる良書だと感じた。(「物乞う仏陀」 石井光太、文春文庫)

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