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空に牡丹 大島真寿美

著者に関しては、「ピエタ」以来のファンと自認はしているが、そうかといって、「ピエタ」以前の本を読み漁るということもせず、新刊を見つけたら読んでみるというパターンで来ている。既に刊行されている本はどうしても、どこから読んだらいいのかわからない面があり、どうしてもそうなってしまう。本書は新刊コーナーで見つけて、しかもサイン本なので迷わず入手した。サイン本は、それほど積極的に集めている訳ではないが、それでも自然と増えて、現在50冊くらいにはなってきている。サイン本専用の棚を作ってあるのだが、それがちょうどいっぱいになりそうなところで、これからどうしようかと考えている。棚を増やすか、箱にしまって保管するか、悩ましいところだ。さて本書は、幕末から明治にかけて、花火を道楽に現をぬかしたある人物の伝記で、お金とか名誉といった価値観とは無縁の生き方が、暖かい筆致で描かれている。そうした価値観が、単なる昔に対する郷愁ではなく、人間の普遍的なものとして描かれている。最初に書いたように、私自身作者の作品を網羅的に読んでいるわけではないが、何か作者の新境地に触れたような心もちで読み終えた。(「空に牡丹」 大島真寿美、小学館)

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