goo

本屋大賞2016

今年も、候補作10作品を読み終えたので、恒例の本屋大賞の予想をしてみたい。今年は、候補作10作品が発表された段階で、既読が5作品、購入済み未読が2作品、未購入が3作品と、ほぼ例年と同じくらいの感じだったが、今年の候補作のラインアップにはそうした数字には表れない違和感があった。要するに、候補作に既に色々な意味で話題になった作品ばかりが並んでいるのだ。調べてみると、芥川賞受賞作が1、直木賞候補作が4、有名なベストセラーランキング1位の作品が2となっていて、それだけで7作品を占めている。それ以外の3作品も、芥川賞作家の作品、超有名な作家の作品が並んでいて、これらの作品の中から改めて大賞を選ぶことにどういう意味があるのか、首をかしげてしまうようなラインアップなのだ。特に直木賞候補作が4つも入っていて、何だか直木賞の次点作を選ぶような感じさえする。かつての本屋大賞は、あまり知られていないが本屋さんの立場でお勧めしたいという作品に与えられてきたはずで、この賞自体そういう趣旨で設立されたはずだ。だから、私はその候補作を読むことで、読書の幅を広げられると思っていた。はっきり言って、このラインアップでは、わざわざ本屋さんに進められなくても、もう話題になっています、と言いたくなってしまう。売れる本と売れない本の2極化ということが言われて久しいが、読書のプロである本屋さんが読む本にもそうした傾向が顕著になっているのかもしれない。まあ、そんな愚痴を言ってもしょうがないので、今年も自分なりの予想してみることにする。

まず何を評価の基準とするかだが、小説としてのうまさでは「羊と鋼」「君の膵臓」、読後のインパクトという点では「戦場のコックたち」「世界の果てのこどもたち」「流」の3つが抜きんでていた気がする。一方、話の面白さでは「王とサーカス」が一番だった。と色々考えた末、私としては、「君の膵臓…」を本命、「戦場のコックたち」を次点としたい。いずれも、まだ新人作家と言える位のキャリアだと思うが、この2作を読んだ時に、これはすごい作家だな、すごい作家になるな、と感じた。特に、「君の膵臓…」の作者は、すでにもう一作「また、同じ夢を見ていた」を読んだが、これが前作以上にすごいなぁと思わせる作品で、この作家を早いうちから応援しておきたいという気持ちが強くなった。気持ちの悪い題名なのでずいぶん損をしていると思うので、余計に応援したくなる。

   本命:君の膵臓が食べたい

   次点:戦場のコックたち、羊と銅の森、世界の果ての子どもたち

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )