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世界の果てのこどもたち 中脇初枝

著者の本は3冊目。1冊目は確か、何気なく購入した著者のサイン本だった。それが面白かったので2冊目を読んで、今回が3冊目ということになる。前の2作を読んでからは、新刊を見つけたら何となく手に取ってしまう作家の1人と言ってよいかもしれない。本書は、日本、満州、韓国に住んでいた少女の終戦前後の過酷な人生を丁寧に語った力作だ。前に読んだ2作が現代の話だったのに比べて、本作はごく近い時代とはいえ日韓中の歴史を題材にした作品で、時代考証、歴史認識の違いなどにも配慮が必要であり、著者にとっては色々な困難に立ち向かった意欲作といえるだろう。本書を読んでいると、普通に暮らしているようにみえる人それぞれが、時代に翻弄されながらも、色々な歴史を背負って生きているんだろうなぁという思いに胸を打たれる。(「世界の果てのこどもたち」 中脇初枝、講談社)

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