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戦場のコックたち 深緑野分

著者初の長編小説のようだが、2015年のミステリー部門の各賞で上位にランクインされ、直木賞候補作にもなった話題作。ミステリーと銘打ってはいるが、それほどミステリー色は強くなく、日本人がよくここまで第二次世界大戦の時の欧州戦線の話をつまびらかに書けるなぁと感心してしまうくらい緻密な戦争小説だ。多くの関係者がこの作品が初長編であることに舌を巻いたのも頷ける。タッチは軽妙だが、映画「西部戦線異状なし」と同じような反戦のメッセージを読み取ることもできる。本書が初の長編小説という著者が、次は何を題材に書いてくれるのか、今後に大いに期待したい。まだ3月だが、今年一番の作品に出会えた気がする。(「戦場のコックたち」 深緑野分、東京創元社)

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