goo

東大助手物語 中島義道

前に読んだ著者の本の中で、若い時に色々苦労したというような話が書いてあったが、著者の作品リストを見ていたらそれに関係するような題名の本書を見つけ、読んでみることにした。大昔に、東大で教授と折合いの悪い研究者が陰湿ないじめを受けているという話は聞いたことがあったし、「東大解体論」という東大批判の本を書いた人が教授陣から嫌われて「万年助手」という扱いを受けたことは有名な話だった。今のように「パワハラ」という言葉のなかった時代の出来事だが、いままでそうした話が本当なのか誇張された話なのか、確かめることもなくきてしまったが、この本を読んで、そうしたことが良くあるとは言わないまでも実際にありえる話であることを知った。文章の中には、私のゼミの先生も実名で登場する。本当に陰湿ないじめの描写に気が滅入るが、救いは、奥さんや周りの人々のサポートとその後の中島先生の活躍。それにしても本書に登場する「教授」、一応仮名になっているが、ネットで調べるとすぐに本名が特定できてしまう。ご高齢だが御存命のようで、本書が「亡くなってから書かれた」といういやらしい話ではなくてよかった。確かに、本書にもあるように、この教授、著書や論文などがネットでもほとんどみつからない。(「東大助手物語」 中島義道、新潮文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )