goo

国家と教養 藤原正彦

リベラルアーツの大切さを世界史的・地政学的観点から考察した啓蒙書。社会全体で教養主義的教育の存在意義が少しずつ曖昧になっていることへの危機感が行間から滲み出ているような内容。著者の話の進め方や歴史解釈の断定の仕方にはやや疑問があるが、その言わんとしていることには十分納得できる。ITの進展などで著者の危惧がますます深刻なものになっていることは間違いない。教養主義だけでは社会的危機政治的危機に対抗できないことをドイツの歴史が示していると著者が語る時、同じような状況に我々がどのように対応すれば良いのか、暗澹たる気持ちにさせられる。(「国家と教養」  藤原正彦、新潮新書)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )