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文字通り激震が走りました 能町みね子

著者の本は3冊目。ますます面白くなってきた。ネットに書かれた文章や表現についての著者の寸評を集めた1冊だが、ちょっとした言葉遣いや言い回しから、書き手や読み手の心のありようを浮かび上がらせるところが秀逸だ。「嘘松」「ジェネリック◯◯」「ダサピンク現象」「スタ連」「過去1」「フロリダ」「マ?」「まじ卍」など、ネット独特の言い回しがあることを初めて知ったし、残酷な写真をアップして「目を背けないでください」と付記する書き手の無神経さ、「文字通り激震が走りました」という表現の間違い、その他何気なく使ったりしている言葉の裏の悪意など、言葉を徹底的に考察する著者の姿勢に何度もハッとさせられる。特に、蓮舫議員の「攻めと受け」という発言を巡る奥深い考察は本当にすごい。また、相撲が好きなようで、それに関する批評も多く、本書を読んで、元貴乃花親方に対する見方が180度変わってしまった。(「文字通り激震が走りました」 能町みね子、文春文庫)

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