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八月の母 早見和真

書評誌で絶賛されていた一冊。最近読んだ本屋大賞ノミネートの何冊かもそうだったが、このところ社会の中で自分の立ち位置を模索していく孤独な人々を扱った小説がとりわけ多いような気がする。本書も正にそうした内容で、読んでいてとても辛いしやるせない気分になってくる。本書の特徴は、登場人物たちが逆境から逃れようともがけばもがくほどそうしたどうしようもない厳しい状況にかすみとられて逆に拡大再生産のループに落ちいっていくことを克明に描いていることだ。物語は最後にその負のスパイラルから抜け出す道を明示しているが、その後も本当に大丈夫かなぁという心配も尽きない。(「八月の」 早見和真、角川書店)
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