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君は永遠にそいつらより若い 津村記久子

著者のデビュー作。著者の作品は、芥川賞を受賞した作品を含めてだいぶ読んできたが、別の文学賞を受賞した本書が未読だった。就職を間近に控えた主人公の一人称で語られる内容は章立ても大きな出来事もなく淡々と進む。大きな事件は殆どが過去の事件で、語られるのはその過去の大きな出来事に影響された語り手を含めた登場人物たちの言動など。主人公の何気ない言動がある人を激怒させたりあるいは逆に好ましいと思われたりするが、要はそれぞれが過去の出来事や経験に大きく影響を受けているからだ。世の中にはものすごい悪意というものが存在する。そうしたものに触れたり関わったりしたことがその後に大きな影響を与える。それでも色々な人と関わり合っていくうちに何らかしらの好ましい方向が見えてくるだろうということだと思った。(「君は永遠にそいつらより若い」 津村記久子、筑摩文庫)
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