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静おばあちゃんと要介護探偵 中山七里

80歳の引退した元判事と70歳代の地方財界の大物という老人コンビが様々な事件の謎を解決していくミステリー短編集。話の舞台が名古屋市内ということで馴染みのある地名が頻出、突然ご当地ものに出会ってしまってびっくりした。謎解きはさほどひねりのあるものではないが気楽に読める感じで楽しかったのだが、それ以上に地方財界の大物のキャラクターがあまりにも時代錯誤な発言や言動を繰り返しているのに違和感を感じざるを得なかった。一徹な頑固老人という範疇では済まされない病的あるいは犯罪的な当人の言動もさることながら、さらにはもう一人の主人公がそれを違和感程度の反応で済ませてしまう。「老人とはえてしてこういうもの」という類型化なのかもしれないが、笑える限度を超えてしまっている気がする。ここまで醜悪なキャラクター設定にしなくても楽しめるストーリーだと思うだけにその点だけが残念だった。(「静おばあちゃんと要介護探偵」 中山七里、文春文庫)
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