書評、その他
Future Watch 書評、その他
ウェイン・グレツキー スティック NHL
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天地明察 冲方丁
本書を読んで、こういう時代小説があったのか、と改めて思い知らされた。題材は、江戸時代に行われた「改暦」について、物語はその改暦という大事業に挑んだ若き「安井算哲」である。本書を読むと、当時の人々にとって「暦」がいかに大切なものであり、「改暦」という事業が宗教・政治・経済・文化に与える影響がいかに大きなものだったかが判る。江戸時代の話だが、私たちの生活と暦とのつながりは、宗教色こそ薄れているとはいえ、いまだに強いものだということが再認識される。
物語としては、さまざまな方面に大きな影響を与える「改暦」に挑む主人公の内面の姿が丁寧に描かれているが、主人公の内面と出来事の絡み合いを中心に描くその展開にはスピード感すら感じる。全く知らなかった世界だけに、本当に面白い読書体験だった。なお、著者の略歴をみると、ライトノベル出身、時代小説は初めてということのようだが、こうした傑作を突然書いてしまう著者の才能には心底驚かされると同時に、ライトノベルという形態が文学における才能発掘に果たす役割の大きさというものを強く感じる。(「天地明察」冲方丁、角川書店)
物語としては、さまざまな方面に大きな影響を与える「改暦」に挑む主人公の内面の姿が丁寧に描かれているが、主人公の内面と出来事の絡み合いを中心に描くその展開にはスピード感すら感じる。全く知らなかった世界だけに、本当に面白い読書体験だった。なお、著者の略歴をみると、ライトノベル出身、時代小説は初めてということのようだが、こうした傑作を突然書いてしまう著者の才能には心底驚かされると同時に、ライトノベルという形態が文学における才能発掘に果たす役割の大きさというものを強く感じる。(「天地明察」冲方丁、角川書店)
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ウェイン・グレツキー 練習用ジャージー NHL
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グレツキー ファースト・ジャージー NHL
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神去なあなあ日常 三浦しをん
本屋さんで本書を見た時は「変な題名だなぁ」と思うと同時に「何かの書評で見たような気がする」という感じがした。おそらく変わった題名なので、記憶のどこかに引っかかっていたのだろう。変わった題名でなければ手に取ることは無かったかもしれない。そういう感じで1年近く前に購入したものの、今まで読まずに放置したままだった。
今回読み始めてみると、本書が三重県の山間地の「林業の危機」を題材にした話だったのでびっくりした。少し前まで勤務していた地域の「ご当地もの」だ。でも、こうした「ご当地もの」なのに、地元で話題になったという話は聞いていなかった。文芸作品だから、読者層が地域振興に関心がある人とは違うということかもしれないが、それにしてもほとんど話題にならないというのも変な気がする。
内容は、将来に対する展望もなく漠然と暮らしていた横浜の高校生がはからずも政府の補助制度を利用した後継者候補として林業に従事するというもの。林業の危機、後継者不足の問題が、こうした小説になるほどポピュラーな問題になりつつあるということなのだろう。高齢化・過疎が進む集落に残る、厳しい労働とスローライフの共存、古くからあるものとして大切にされている風習のようなものが上手く描かれていて興味をそそる。極限にまで達してしまった都会と過疎の集落の断絶を前提として考えれば、このような作品には、何らかの社会的な意義のようなものが見出せるのではないかと思われる。(「神去なあなあ日常」三浦しをん、徳間書店)
今回読み始めてみると、本書が三重県の山間地の「林業の危機」を題材にした話だったのでびっくりした。少し前まで勤務していた地域の「ご当地もの」だ。でも、こうした「ご当地もの」なのに、地元で話題になったという話は聞いていなかった。文芸作品だから、読者層が地域振興に関心がある人とは違うということかもしれないが、それにしてもほとんど話題にならないというのも変な気がする。
内容は、将来に対する展望もなく漠然と暮らしていた横浜の高校生がはからずも政府の補助制度を利用した後継者候補として林業に従事するというもの。林業の危機、後継者不足の問題が、こうした小説になるほどポピュラーな問題になりつつあるということなのだろう。高齢化・過疎が進む集落に残る、厳しい労働とスローライフの共存、古くからあるものとして大切にされている風習のようなものが上手く描かれていて興味をそそる。極限にまで達してしまった都会と過疎の集落の断絶を前提として考えれば、このような作品には、何らかの社会的な意義のようなものが見出せるのではないかと思われる。(「神去なあなあ日常」三浦しをん、徳間書店)
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グレツキー&メシエ ツーショット・カ-ド NHL
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横道世之介 吉田修一
時代はバブル期、田舎から東京にでてきた主人公の大学生が、友達と交わりながら少しずつ成長していく姿を描いた小説だ。確かにそのように要約出来るのだが、そのような要約では、何だかこの本の本質を言い表していない気もする。ストーリーの背景にある「バブル期」独特の雰囲気がこの小説の重要な要素となっている面はあるのだが、彼の成長自体とバブルにはあまり関係がなく、その要素はこの本にとっては瑣末なことのようにも思われる。また、主人公の成長を描いているといっても、単なる青春小説のようなものでは全くない。
著者の小説は「悪人」に次いで2冊目になるが、個人的には本書の方が断然面白かった。本書では、主人公の東京での生活の1年を追いながら、ところどころで後日談のようなものが挿入されている。その後日談が実に効果的で、特に半分より少し進んだところに挿入されている後日談は、さらりと書かれているが非常に衝撃的な内容で、メインストーリーと最後にどうつながるのかが気になって、読むのをやめられなくなる。巧みな文章、表現の面白さもさることながら、本書ではこうした仕掛けが非常に冴えている。(「横道世之介」吉田修一、毎日新聞社)
著者の小説は「悪人」に次いで2冊目になるが、個人的には本書の方が断然面白かった。本書では、主人公の東京での生活の1年を追いながら、ところどころで後日談のようなものが挿入されている。その後日談が実に効果的で、特に半分より少し進んだところに挿入されている後日談は、さらりと書かれているが非常に衝撃的な内容で、メインストーリーと最後にどうつながるのかが気になって、読むのをやめられなくなる。巧みな文章、表現の面白さもさることながら、本書ではこうした仕掛けが非常に冴えている。(「横道世之介」吉田修一、毎日新聞社)
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ウェイン・グレツキー 2nd year card NHL
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マイケル・ジャクソン 西寺郷太
再評価が進みつつあるマイケル・ジャクソンの伝記。彼は私の3歳年下だ。私が小学校の高学年の頃にメジャーデビューしたそうだがよく覚えていない。「スリラー」も「デンジャラス」も発売後すぐに買った記憶があるが、熱狂的なファンという訳ではなかった。また、ここへ来て、映画の「This Is It」を見たり、「ライブ・イン・ブカレスト」のDVDを購入したりしているが、どうも再評価のブームに流されているような感じだ。これではいけない、もう少しちゃんと彼について知っておこうと思って読んでみた。
本書は、よく整理された非常にちゃんとした伝記であり、こちらが知りたいことに程よいレベルでぴったり答えてくれている好著である。またそれだけでなく、著者のマイケル・ジャクソンへの思い入れや情熱もしっかり伝わっくるし、音楽論・評論としても面白い。そのあたりのバランスもちょうどいい感じがする。読んでいていろいろな発見があったが、一番印象に残っているのは、マイケル・ジャクソンの存在が、①カラーTV ②ビデオデッキ ③Youtube という3つの電気・IT技術等の歴史と共に変化していくくだりだ。そういう整理の仕方をすると、音楽界のなかでのマイケルジャクソンの位置づけが非常に良く判るような気がした。(「マイケル・ジャクソン」西寺郷太、講談社新書)
本書は、よく整理された非常にちゃんとした伝記であり、こちらが知りたいことに程よいレベルでぴったり答えてくれている好著である。またそれだけでなく、著者のマイケル・ジャクソンへの思い入れや情熱もしっかり伝わっくるし、音楽論・評論としても面白い。そのあたりのバランスもちょうどいい感じがする。読んでいていろいろな発見があったが、一番印象に残っているのは、マイケル・ジャクソンの存在が、①カラーTV ②ビデオデッキ ③Youtube という3つの電気・IT技術等の歴史と共に変化していくくだりだ。そういう整理の仕方をすると、音楽界のなかでのマイケルジャクソンの位置づけが非常に良く判るような気がした。(「マイケル・ジャクソン」西寺郷太、講談社新書)
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スペースシャトル「コロンビア号」 機体の一部 その2
(既紹介分)2009年11月20日 ディスカバリー号
2009年11月23日 アトランティス号
2009年11月24日 コロンビア号
2009年11月27日 スペース・ラブ
2010年1月12日 エンデバー号
前に紹介したコロンビア号と比較してみると、前のものが離陸前の推進ロケット部分を含む全体の写真、今回のものが宇宙空間に行った後の写真ということで、かなり趣が違っている。また、コレクティブルの部分も、前のものは銀、今回のものが金、ということで、両方とも持っていても面白い気がする2枚である。
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渡る世間は数字ばかり 向井万起夫
作者の本は本書で2冊目。いろいろな数字にまつわる著者の思いが綴られた読みやすいエッセイで、短い文章の中にいくつも「へぇ~」という新鮮な驚きあり、独特のユーモアありで大変面白い。最初のうちは、「そこまでしなくても良いのに」と思うほどの軽い口調が少し気になってしまうが、読み慣れてくるとそれも気にならなくなり、内容の面白さに十分浸ることが出来るようになる。数字にまつわる話といっても、「数字は脇役」という章も多いが、内容にバラエティが感じられて却って好ましい。「まず数字ありき」でなければ、どんな話であれ何らかの数字は出てくるものだし、その辺の「緩さ」も、肩肘張らずに読めるという利点になっているような気がする。全部の章ではないが、とにかく随所に著者の物の見方のユニークさが感じられて面白い。
一方、本書を読んでいると、著者の「大リーグ」好きがよく伝わってくる。私が常日頃から感じている「大リーグとは記録のスポーツだ」というアメリカ社会における野球というものの本質が鋭く語られているのには驚いた。また、バリー・ボンズの500本塁打500盗塁、ジョー・ディマジオの56試合連続試合安打、イチローの年間262安打という3つの記録のすごさが熱く語られるところは、私がいろいろサインやコレクティブルを集めていて強く感じたことと全く一緒だ。この著者の洞察力はやはり只者ではないと感じた。(「渡る世間は数字ばかり」向井万起夫、講談社文庫)
一方、本書を読んでいると、著者の「大リーグ」好きがよく伝わってくる。私が常日頃から感じている「大リーグとは記録のスポーツだ」というアメリカ社会における野球というものの本質が鋭く語られているのには驚いた。また、バリー・ボンズの500本塁打500盗塁、ジョー・ディマジオの56試合連続試合安打、イチローの年間262安打という3つの記録のすごさが熱く語られるところは、私がいろいろサインやコレクティブルを集めていて強く感じたことと全く一緒だ。この著者の洞察力はやはり只者ではないと感じた。(「渡る世間は数字ばかり」向井万起夫、講談社文庫)
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ウェイン・グレツキー RC NHL
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