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ランチのアッコちゃん 柚木麻子

本書も本屋大賞ノミネート作品ということで読んでみた。体裁はごく普通の「お仕事小説」のような感じで、内容的にも全く肩肘の張らない「お仕事小説」なのだが、読んでいると、なんだかそれだけではないようなえもいわれぬ面白さを感じた。語り手のOLと主人公の「アッコちゃん」の両方が大変魅力的で、ストーリーも面白い。その面白さの中に「仕事とはこうあるべき」、「人付き合いとはこうあるべき」という教訓のようなものがさりげなく提示されている。収録された4編のうち2編が同じ語り手と「アッコちゃん」の話で、残りの2編にはその2人がちょっとだけ登場するという構成も面白い。良い意味で軽い小説だが、色々考えさせられてしまう傑作だと思った。(「ランチのアッコちゃん」 柚木麻子、双葉社)

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昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉

おそらく「永遠の0」が大ベストセラーになったあたりからではないかと思うが、最近、放送作家が小説を書くというパターンが多い気がする。ライトノベルの作家が一般の小説を書いたり、少年少女向けの作品が中心の作家が大人向けの作品をだすというパターンなど、色々なジャンルを超えた小説が出てきているのは、本が好きな読者にとっては大変歓迎すべきことだと思う。但し、放送作家→小説というパターンでどうしても気になるのは、放送作家の作品に、それまでの土壌で培った「泣かせる技術」を売りにしているものが散見されることだ。そうした意図が露骨に判ってしまう小説はどこか興ざめしてしまう。本書の場合は、若干そうしたニオイがしなくもないが、それを超える「センスの良さ」を感じた。何気ない出来事の描写のなかで、きらりと光るものを見つける楽しみを感じさせてくれた1冊だった。(「昨夜のカレー、明日のパン」 木皿泉、河出書房新社)

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