この本は10年前は絶版だったような気がする。神田の神保町の古本屋で冗談で店主に「グルーの『滞日十年』ありますか?」と聞いたら、「ちょうどありますよ」と言われて買う嵌めになった。
上下巻二冊で5千円ぐらいだった気がする。外人の目から見た戦前の日本という歴史の面を知りたかったのだが、あまりに古く、活字も跳んでいるので読みづらそうなので書棚に積んでおいた。
ただ稀少本なので、死んだら地元の図書館にでも寄贈しようと思っていたのだ。
本というのは、私にとって、いじくり回し、そのため鉛筆で線を引いたりするモノだと思っている。だから、新刊はほとんど買わない。どちらかと言えばあまり古くない古本が好きだ。ちょっと矛盾しているが。
黒鉛筆であれば、線が引いてあってもあまり気にしない。嗚呼他人はこういう処が気に成るんだ、と感心することもあり、対話しているようで楽しいこともある。
そこで、この本のことだが、古い本なので鉛筆の線も付箋も堪えられない。
今はちくま学芸文庫から出ているのを知っていたので、アマゾンで買おうとしたが、その前に手に取ったら、藁半紙のような手触りだった。どうにも、カサカサなお婆さんの肌なのだが何だかあったかそうで撫で繰り回したくなったのである。
という訳で、読み始めている。私が古本にアレルギーないことが幸いである。