ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

韓国史劇風小説「天皇の母」50(フィクションよね?)

2012-05-14 07:00:00 | 小説「天皇の母1話ー100話

カワシマ家は和歌山の名門家庭です。元々質実剛健の家柄でキコ嬢の

父上は学習院大学の教授でいらして、質素倹約を絵に描いたような方です。

人柄も教養も申し分ありません。また母方の祖母は会津藩士の子孫でして

そういった意味でも真面目一方の家といえます」

キコさんの成績は中の上かそれ以上です。

小さい頃にドイツに住んでいたので、小学校で学習院に転校して来た時は

日本語が不自由な部分もありましたが、今は完璧に日本語、英語、ドイツ語を

話します。福祉に興味があるので児童心理士になる為に大学院へ進学を予定

しています。性格は明るく前向きでおっとりしています。座右の銘が「オールウエイズ

スマイル」これはお父様からの教えだそうで、いつお会いしてもにこやかに笑って

決して不快な態度はしない方です。

アヤノミヤ様は本当にいい方をお選びになりました」

 

二つの報告書を前に皇后はため息をついた。

いわゆる「学者」家系で家柄としては問題なし。けれど、皇室に嫁ぐだけの

財力はないのではないか?

アヤノミヤが一般家庭から妃を迎えようとする考えを持っている事はいい。

でも、なぜ学習院?しかも、小学校の時から学習院育ちで親も学習院なら

弟もそう・・・

皇后は学習院育ちではない。ゆえに、その同窓会組織である常盤会からは

いつも阻害されてきた。

偏差値からいえば聖心の方が上だったと自負もあるけど、「学習院にあらずば

皇族にあらず」のような考えを押し付けられてきた身としては、決していい感情を

持っているわけではない。

松平信子・・・・かつての常盤会会長が執拗に自分の入内に反対した事実もある。

常盤会としては皇太子妃を聖心女子に奪われての恨みがあるだろうし。

何が何でも今回は学習院からと思っているに違いない。

それゆえの報告書なのでは?

とはいえ・・キコ嬢にとりたてて欠点がみつからないのも事実。

以前、何度か東宮御所を訪ねて来た時もあかるく挨拶をする、いい娘だった。

その「完璧な笑顔」がまたちょっと腹が立つというのは姑根性か。

皇后は、かつ皇太后が自分に抱いた感情と同じものを持っている事に気づいて

いなかった。

私は皇太后様とは違う。息子が選んだ人ならちゃんと認めるし彼女が皇室で

苦労しないように支えてあげる。嫁と姑の確執なんてこの時代にはなくすのだ。

けれど、どうしてキコ嬢には自然と厳しい目を向けてしまうのだろうか。

だったらアヤノミヤの妃には誰がふさわしいというのか?

旧皇族・旧華族を否定して生きてきた自分。

しかし、最近になってそれらのネットワークが皇室にとってとても大事だったのでは

ないかと思い始めている。

先帝が生きていた頃には感じなかった孤独感が今の皇室にはある。

そう。

先帝陛下はあらゆるものから自分達を守っていて下さったのだ。

私達が孤独を感じないように、陛下は旧皇族や旧華族ら皇室の藩屏との

繋がりを大事にしていた。それは皇太后も同じ。

今、天皇と皇后は民主主義時代の象徴として孤高の存在になりつつある。

一旦敵に回した彼らを引き戻す事は容易ではないし。

天皇もそれはわかっているのか、皇太子妃には皇太后の実家から選ぼうと

思っているらしい。

自分よりも血筋のいい嫁。

皇后を傷つけまいとして、天皇はまだ言葉に出してはいないけど、彼女にはわかった。

天皇もまた孤独をかみ締めているのだと。

生まれも育ちも皇族の天皇が孤独を感じる程に、隔絶してしまったのだろうか。

だとしたら今、ここで民間妃を娶っていいのだろうか?

 

ドアがノックされて女官が入ってきた。

チチブノミヤ妃殿下の老女よりのお伝えでございます。チチブノミヤ妃殿下に

おかせられましては皇后陛下のご都合のよろしい時に御所に参内し

お目にかかりたいと。なんとお返事をいたしましょうか?」

チチブノミヤ妃?

かつて「セツ君」と呼ばれていた彼女も時代が変わり、年老いて随分おとなしく

なったものだけど。

でもわざわざ来たいというのはどうして?

いつでもよろしい時に。こちから伺いましょうかとお伝えして」

皇后はそう答えた。

アヤノミヤの結婚の話を聞きつけたのか?

それともなかなか決まらない皇太子の結婚の話か?

全然わからない。

 

皇后は大きく息を吸い込んだ。

とりあえず会わなくては。

何を言われてもにこやかに受け流す方法を皇后は長い皇室生活の中で

学んでいた。今更自分に何を言っても皇太子妃の時代とは違う。

それはセツ君もわかっているだろう。

何も恐れることはないのだ。

 

数日後、チチブノミヤ妃は清楚な装いでやってきた。

部屋に入るときに少しよろめいたので、思わず手を貸した。

ありがとう」

セツ君は小さな声で答えた。

ああ・・・本当に時代は変わったのだった。

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」49(ふぃっくしょん)

2012-04-29 09:00:00 | 小説「天皇の母1話ー100話

どうしていけないのですか

珍しく声を荒げていたのはアヤノミヤだった。

相手は両親・・・即位したばかりの両陛下だった。

兄の厳しい声にノリノミヤも思わず兄を見つめ、その顔をまじまじとみつめた。

「カワシマキコ嬢は素晴らしい女性です。それはおたあさまやおもうさまも

ご存知でしょう?

何度もこちらに連れて来たじゃないですか。その彼女と結婚してはいけない

理由はなんでしょうか?」

皇后はお茶のカップを指で遊びながらため息をついた。

一つは先帝が崩御されたばかりというのがありますよ。それからカワシマ家は

皇室に入るには難しいと侍従たちから聞いています。さらに東宮がまだ結婚して

いないのに弟が先に結婚するというのは長幼の序から外れています」

逆になんでアーヤはそんなに結婚を急ぐの?」

即位したばかりの天皇は皇太子時代と変わらない穏やかな調子で聞く。

アーヤはまだ大学院生だし、カワシマさんも大学生。急ぐ必要はあるのかい?」

ええ」

アヤノミヤは思いつめた調子で言った。

10月には僕はまたイギリスに戻ります。そしたら暫く帰って来られません。

その前に婚約をしたいのです。そうでないと・・・」

(そうでないと誰かにとられてしまう)なんて言える筈ないんだけど・・・

最近、彼女のとの交際が雑誌に出たりテレビで報道されたりして、カワシマ家への

マスコミ取材が集中するのも時間の問題だ。

そうなったら大変な事になる。だからその前にきちんとけじめをつけたいと思ったのだ。

お兄様はここ3年以内に結婚する予定がおありですか?」

弟のあらたまった口調に皇太子はどきりとして口ごもる。

いや・・今は・・・」

オワダマサコとの結婚話はあれっきり宙に浮いている。

それでもどこからともなく「何とかしますから」という声が聞こえてくるのだけど

具体的にはなにもない。なんせ、彼女はまだイギリスにいる。

今現在、お兄様に婚約者ないし結婚を前提とした相手がいる、もしくは

決まる予定があるなら待てます。でもそうでないなら何としてもこちらを優先して

頂きたい。彼女は皇室にふさわしい女性です。僕が保証します」

いつの間に・・・と皇后は思った。

何だか面白くない。昔からやたら冷静な次男坊ではあったけど、それがここまで

熱くなるのが女性問題とは。

母親としては納得行かない感情だった。

マスコミが取材攻勢をかけてきたら彼女に迷惑がかかります」

アヤノミヤは切り札のようにその言葉を口にした。

本当は一時だって別々にいたくない、イギリスにだって連れて行きたい。

それが出来ないならせめて・・・・若さという情熱はすさまじいエネルギーを

発するのだった。

わかった。正式に宮内庁を通じてカワシマ家の調査をさせよう

陛下」

皇后はいきなりの天皇の言葉に驚きを隠さなかった。

でも、それで駄目だといわれたら諦めるね」

天皇の言葉はぐさりとアヤノミヤを刺す。

はい・・・」

もう逃げ場はなかった。

 

子供達がおやすみなさいの挨拶をして出て行くと、天皇は深いため息をついた。

皇太子が結婚していたらなあ・・・30にもなるというのに、まだ例の女性に

拘って。あんなに頑固だったかな」

皇太子は一途なんでしょう。アヤノミヤも」

しかし、アーヤの方が目は確かかもしれない」

陛下。皇太子だってちゃんと先を考えておりますよ。今は少し夢中なだけで。

アヤノミヤだってそうですわ。時間が経てば」

はそうじゃなかったけどね

天皇の微笑みに皇后は思わず顔を赤らめる。

あの時とは時代が・・・」

みなそういうんだよ。私達も歳をとったという事だ。ミーはアーヤが誰かに

とられそうで嫌なんだろう?」

まあ、そんな事はございませんけど」

即位の大礼には皇太子妃がいる事が望ましいが、どうやらそれは望めそうにない。

なら筆頭宮家だけでもきちんとした形で残さないと今後が心配ではないか?」

大葬・即位・・それは皇族が一生に一度経験するかしないかの重要な儀式。

せっかく、そのチャンスがあり経験をつむ事で、皇族としての自覚が生まれ

あらためて意識を持つ・・という事を考えると、現在皇太子妃がいないのは

本当に困る事だった。なぜなら次の天皇・皇后だからだ。

大葬も即位も経験しない皇后が誕生する・・・ゆゆしき問題といえるかもしれない。

そういう意味でもね、もしカワシマ家がいいならね」

陛下の深いお心はよくわかりました。明日にでも話をしましょう。学習院常盤会

にも言って成績表などを取り寄せましょう」

それでもまだこの頃は皇太子の結婚についてはのんびりと考えていたし

成年式を迎えたノリノミヤの将来も明るいものと楽観していたのだった。

 

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」48(フィクションだった)

2012-04-22 13:26:27 | 小説「天皇の母1話ー100話

1989年の年明けは「天皇崩御」という重く辛く悲しい出来事で幕を開けた。

前年より病状が重くなっていた天皇。

毎日報道される「体温、血圧、下血状態」のおかげで民間には「自粛」ムードが

広がり、それをひきずったままお正月を迎えた。

松の内が明けた日に天皇は息を引き取った。

戦争や天皇制の変化等、激動の生き証人である天皇の死は国民に大きな衝撃を

与えた。

日頃、天皇の事など考える国民はいないだろう。

でも、いなくなった途端にその存在の重さを感じる・・・・それがまさに「天皇」だった。

亡くなったのが早朝だった為、東京の街は一斉に喪に服した。

銀座のデパートのショウウインドウは黒一色のマネキンに代わり、企業は仕事を

中断して半期を掲げ、多くの店は営業をやめた。静かな・・・静かな都会になった。

銀行などは閉まり「大行天皇の崩御を謹んでお悔やみ申し上げます」の張り紙が。

号外が出され、在位62年という歴代天皇で最も長く生きた天皇の業績を報じる

と共に新天皇のプロフィールが紹介される。

天皇の地位は一日たりとも空けてはならない。

ゆえに天皇が亡くなったその瞬間に、皇太子がその役を引き継ぐ事になるのだ。

真っ黒のローブモンタントに黒いベールを長くたらした美智子は民間出身の

初の「皇后」となった。

そして、ヒロノミヤは「皇太子」になったのだった。

2月24日はひどく冷たく寒く、東京に雪が降る日だった。

この日に新宿御苑で「大葬の礼」が行われた。

この件に関しても、民主主義になって初めての天皇の葬儀という事で

国家行事とすべきか私的な行事とすべきか等、国会でもめ、鳥居をくぐったら

「私的行事」というなんともお粗末な結果を出した。

これからみてもわかるように「民主主義時代」に即位する天皇には課題が山積み

だった。

その昔は「大元帥陛下」「国家元首」「現人神」だった天皇。

しかし「人間宣言」をして以来は「象徴」となった。

象徴とは何か・・・実は誰もそれを知る事はなかったnだ。

そもそも人を「象徴」という曖昧な存在に出来るのかどうか・・・・国家として

天皇制を認めつつもどこまで敬っていいのかわからない。

下手に触れれば右翼と勘違いされてしまう・・・そんな微妙な空気の中で新天皇は

誕生し、民間出身の皇后が誕生したのだった。

 

天皇にはわかっていた。

民主主義の中で皇室が、天皇制が生き続ける事は諸刃の剣であることを。

それゆえに天皇は「憲法遵守」を前面に押し出し、口調も現代風にあらため

「ですます」調で話す様に務め、極力「国民と紙一重の場所にいる」事を強調。

即位前の公務を全て引き受けつつ、天皇としての新たな公務も受け継ぐという

方式をとった。

それに理由があった。

長男である皇太子の頼りなさだ。

国民はわからなかったろう。ヒロノミヤだった頃の彼は、何事にも平等に接する

温和でご優秀な若者だった。

でも、一方では自分の欲望を常に常に心に押し隠すようにもって、それを通そうとする

頑固さがあるということを。

また「争いを好まない」性格といえば言葉が綺麗だが、面倒なことからは逃げたくなる。

問題の当事者になる事を極力嫌う性格であることも。

何より、この若者には「語彙」が少なすぎた。

適材適所に適当な台詞を言う・・・という能力がないのだ。

それはあまりにも「言葉」に拘る天皇・皇后が見るから厳しくなるのかもしれないが

ちょっとした失言が命取りになりかねない現状で、皇太子が言葉に無頓着というのは

危険すぎる。

その証拠に、「大葬の礼」後、外国要人をどうもてなすか、家族で話し合った時も

皇太子はにこにこ笑って聞いているだけで「あとはよろしく」と自分の部屋に戻って

しまったし、吹上御所い住まっている皇太后を見舞うように言っても

「わかりました」とだけ言い続けた事。

嫌だと思う事や不満は「返事だけして無」する癖がここにきて表面化しつつあった。

ヒロノミヤが小さい頃から何となく人の感情に乏しく、喜怒哀楽を示さない子だと

いう事はわかっていた。

時々出てくる空気読めない発言も身分ゆえの天然だと思われてきた。

でも、もう立場が変わったのだ。これからもそれでは困る。

 

葬儀から3ヵ月後、皇太子は突如「オワダマサコさんではダメですか」

と言い出し、宮内庁をびっくりさせた。

皇室の一番重い喪は3ヶ月。そして1年の後に即位の大礼がある。

現在、即位の大礼で最も身分が高いのは皇后。そして次が成人したばかりの

ノリノミヤになる。皇太子妃と筆頭宮妃がない状況だ。

それゆえに皇室としては一日も早く皇太子妃を決めてしまいたかった。

「即位の大礼」は一生に一度の大きな行事。皇族としては「大葬の礼」と同様の

重要な絶対経験の必要な行事だ。

それが1年後に迫っているのだから、何としても皇太子に結婚してもらって

皇太子妃が華を添える・・それが将来の皇后教育の一環と考えられていた。

宮内庁では、旧皇族、旧華族等にも声をかけて次から次へと妃候補を見つけて

くるのだが、どういうわけか候補に挙がるといなくなってしまう。

やっぱりミチコ様の時のイジメ問題が・・・」とみな顔を暗くしたのだが

そんな折も折、皇太子の方から「オワダマサコさんではダメですか?」

聞いてきたのだ。

殿下、オワダさんはチッソの件がありますので

わかりました」

そんな風に会話をしても、また1週間後に「オワダさんじゃだめですか?」と来る。

皇太子は先週はなした事も覚えておられないのか?と東宮職は不安に思ったが

これは彼特有の「作戦」なのではないかと考えるようになった。

でもなぜ、そこまで彼女に固執するのだろうか。

オワダマサコが皇室向きではない事は誰もが知っている。

出自も性格も何もかも。

そもそも3代前が不肖で父の外交官は「機密費流用」疑惑のある極めて

グレーゾーンな男だ。

そんな家の娘がどうして皇太子妃になれるというのだろうか?

そんな娘を皇太子妃にしたら筵旗が立つ」とある国会議員は言った。

しかし、ある方面からは今だにざわざわと「オワダマサコを皇太子妃に」という

静かなプッシュが続いていた。

それは外務省だ。

オワダヒサシはすでに次の手を考えていた。

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」47 (フィクションだよ)

2012-03-29 10:37:22 | 小説「天皇の母1話ー100話

アヤノミヤがイギリスに留学した頃、マサコもまたイギリスへ留学していた。

ハーバード大から東大に学士入学し、その後、国費でイギリスのオックスフォード大へ。

華麗なる学歴だった。

しかし、当の本人はそううまくは行っていないようだ。

マサコは自分は優秀な人間だと疑っていなかった。

小さい頃から父に愛されようと一生懸命に勉強をしてきた。妹達の要領のよさは

わかっている。

本当はレイコの方が勉強が出来るという事も。

それでも、マサコは何とか自分を「オワダ家の長女」「一番愛される娘」としての地位を

守ろうと必死だったのだ。

父にしても、そんなマサコの思いがわかっているからこそ、アメリカに呼び寄せ

自分の力でハーバードに入れてくれたのだろうし。

でも・・今回の国費留学は今までとは違った。

何だか・・・講義の内容がわからないのである。全くわからないわけじゃない。

でも、言葉一つをとってもアメリカとは違うし、同じ英語なのになぜ?と思う。

自分の英語は完璧だと思っていたけど、「どこで覚えたの?それ」って言われる。

ハーバードの教授は自分の意見を素直に聞いてくれたし、細かく教えてくれたけど

こちらは違う。

あなた自身の研究の成果が欲しいんだ」と言われる。

要するに何を言われているのか、さっぱりわからないのだ。

最初は意欲満々でロンドン入りを果たしたマサコは、そのままボート部に入部した。

でも数日通ううちに「何か違う」と思い始める。

何となく仲間はずれにされているような気がするのだ。

私が日本人だから差別するの?それってひどくない?

だから「風邪をこじらせて」という理由で部をやめた。

イギリスには今でも厳格な身分制があり、「世界が違う人」との付き合いを慎重に

する・・という事がマサコには理解できなかった。

理屈ではなく、育ち方の違いなのだが、自分が回りから「空気の読めない人」とか

「場をわきまえない人」とか思われている理由がわからない。

日本では「今をときめく外交官の娘で、超高学歴のお嬢さん」なのに、ここロンドンでは

スラングみたいな英語を話す肌の黄色い人種」と思われている。

そんな風に被害者意識を持ち出すと止まらなくなるのがマサコの悪い癖。

次第に寮の中でも孤立するようになり、同じ日本人留学生の中に入っても

黙り込むようになった。

回りはなぜ、マサコがそんな風になったか理解できない。

だって外国育ちで優秀な人なんでしょう?なのに、よく講義を休むし、パーティに

誘っても3回に1回は来ないし、来ても黙って壁の花になっている。

イメージと違うね・・・・そんなささやきが聞こえてくる。

 

そうそう、お妃候補の話はどうなったの?オワみたいな人が皇室に入れば

すごく大切にされるんじゃないの?」

イギリスは今、ダイアナフィーバーにわいている。

今まで王室に関心がなかった人でも興味を持つような、ダイアナ妃にはそんな

カリスマ性があった。

だから数少ない友人もそんな台詞を言ったのかもしれない。

それに対してマサコの答えは明瞭だった。

やめてよ。あんな家には行かないわ」

あんな家・・・って日本一の名家でしょ」

ただ古いってだけじゃないの。へんに格式ばっちゃって馬鹿みたい」

皇室をそんな風に言っちゃダメだよ」

何で?天皇なんて戦争犯罪人じゃない。天皇のせいで沢山の人が死んだのよ。

ちっともいい人たちじゃないと思う。それにあのヒロノミヤは学習院出でしょう?

学習院の偏差値なんてたかがしれてるわよ。背は低いし、いつもにらにら笑って

キモち悪い。全然好みじゃない」

マシンガンのようにしゃべくりまくるマサコに友人は言葉を失った。

マサコはその後も延々と皇室の悪口を話し続けた。

それがストレス解消だといわんばかりに。

 

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」46 (ふぃっくしょん!)

2012-03-27 08:41:14 | 小説「天皇の母1話ー100話

カワシマさんは身分が低すぎてお妃候補にもなりません。

また、兄上様がご結婚されていないのに、弟宮が先に・・というのは皇室の伝統と

してもありえません」

東宮職にそう言われた時、アヤノミヤは頭の中が怒りで一杯になるのを感じた。

身分がってどういう意味なの?兄は今の所結婚の予定がないよね?

兄が結婚するまで僕は結婚できないの?」

皇族って何なんだろうと思う。

東宮家の2男に生まれるってどういう事なんだろうと思う。

ヒロノミヤは将来天皇になる人で、自分はそれを支える立場になるのだと

言い聞かされて来た。

「血のスペア」とも。

叔父や叔母達は皆、そういう立場をわきまえて粛々と生きている。

時に、ミカサノミヤの人達が暴走したりするけど、それでも枠をはみ出る事はない。

みんな本当は自由のない生活に不満を持っている事は明らか。

東宮家には男子が2人もいる。天皇の弟宮の子供達は「血のスペア」に

なる必要もない。子供がいない宮家も多いし、トモヒト叔父様の所は女子ばかり。

一番新しく出来たタカマドノミヤケも3人女子が続いている。

もはや宮家の跡継ぎすらない。

それでいいのだと思う。

皇族は税金で暮らしているのだし、体面を保つ為に支給される額を思えば

宮家は少なくていい。天皇になる人の元にきちんと跡継ぎが生まれれば。

でもそれじゃあ、自分の存在意義って何なんだろう。

ヒロノミヤ付きのハマオ侍従は昔からあからさまな人だった。

ヒロノミヤ様は将来天皇になられる方で性格は温厚、公正無私。成績も優秀。

それに比べると次男坊殿下はやんちゃで学校でも度々問題行動を起こす」

という印象を広く国民に植え付けた。

そういうのに反発して、金のブレスレットをしてみたり、ヒゲをはやしてみたり

したけど、ちっともすっきりする事はなかった。

大学だって本当は学習院を選びたくはなかった。

自分はどうみたって理系でしかも動物が大好きだから、そっちの勉強をしたいと

言ったのに、皇族は学習院でなければだめだというし。

仕方ないから政治学を選んだ。

その代わりに自然文化史サークルを作って学友達をいれ、

色々な活動を楽しむ事は出来たけど、やっぱりそれは学問のほんの一部で、

自分は本当に動物学をやりたいのだと思う。

皇位継承者以外の皇族の義務。

それは「学問」だ。

好きか嫌いかに関わらず、学問で身を立てる事を暗黙の了解にされている。

学問に没頭する事で、政治に関わったり野心を起こさない為だ。

そういう意味で、自分は学問が好きでよかったと思う。

でも・・・本当に好きな学問が出来ないのは不公平だ。

という事で、イギリス留学を決めた。

今度こそイギリスで本格的な研究をする。だからその前にキコちゃんとの

婚約をはっきりさせたい。

だって、キコちゃんはあんなに可愛いんだもの。

誰かに奪われてしまったら元も子もない。自分が皇族であるがゆえに逃げられる

可能性は十分にあるのだ。

プロポーズした時、キコちゃんははにかみながら「はい」と頷いてくれた。

それからは自分の妃としてふさわしい行動をとろうと一生懸命になってくれている。

両親にも何度か会わせた。

キコちゃんって素敵な方ね」と母は言ってくれたけど・・・だからって結婚を

許してくれているわけじゃない。

あまり長く待たせると本当に横から誰かが・・・・

 

カワシマさんのお父上は学習院の教授でございますが、官舎に住んでいる

一般人です。皇室に入るにはそれなりの財力が必要です。

皇太子妃殿下がお妃になられた時、ショウダケがどれほど援助なさったか。

やはり内廷費だけで体面を保つのは大変なんです。お妃の実家がある程度

お金持ちで援助がないと。

それに今はヒロノミヤ様のお妃問題の方が先です。

弟宮の方が先に結婚なんかしたら世間からどれだけ非難されるか。

皇室では長幼の序が最も大事にされているのですから」

兄が今すぐ誰かと結婚する予定があるというなら待てる。

でもそんな人いるの?オワダマサコとかいう人とはダメになったじゃないか。

兄はそれでもまだ彼女に拘って、他の話を全部拒否している。

こんなんじゃ、いつまでたっても僕は結婚できない。

それに、カワシマ家は官舎に住んでいるからダメとかいうけど、それは理屈に

合わない。教授は高潔で立派な人だ。キコ嬢だって学問に熱心で性格がよい。

はっきりいって質素を旨とする皇室に一番似合っている家族だと思う」

アヤノミヤは必死に訴えた。

 

結果的に何も決まらないまま、イギリス留学が決まってしまった。

離れ離れになるんですね。一緒に行きたい」

とキコちゃんは泣いてくれたけど・・・

絶対に、他の人と付き合ったりしないでね。約束だよ

殿下は私の事、そんな風に思っていらっしゃるの?」

そんな事ないよ。でもキコは可愛いから絶対色々な男が寄ってくるって」

そんなわけないじゃないの」

とうとうキコは泣き出してしまった。アヤノミヤは自分も泣きたいと思った。

生まれて初めて好きになった女性。

せめて婚約だけでも・・・・はっきりさせておきたかったのに。

「殿下こそ、イギリスでもっと素敵な女性と会うかもしれないじゃない」

絶対にそんな事ないから」

堂々巡りのやりとりは続く。キコはきっと不安なのだ。

自分と付き合い始めて以来、大学の面々は思いやりをもってみてくれたけど

マスコミや外部に知られてはいけないと、隠れるように付き合ってきた。

特にカワシマ家はマスコミに悟られないように細心の注意を払ってくれている。

キコ自身、立ち居振る舞いにも気を遣うようになったし、とにかく目立ってはいけないと

そればかり。

普通の恋人同士のように、堂々と一緒に歩けたらどんなに素敵だろう。

 

ため息かい。アーヤ」

天皇は深いため息をつく孫にそっと言った。

もうすぐ留学。やっと好きな勉強が出来るね。頑張って欲しいね」

ありがとうございます。おじじさま。でも・・・」

ヒオウギアヤメね」

何の脈路もないのに天皇は不意に口にした。

あれね・・・よく見てて欲しいね。ヒオウギアヤメ」

アヤノミヤは頷いた。

 

そして何も進展しないまま、アヤノミヤはイギリスい旅立ったのだった。

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」45 (フィクションって)

2012-03-25 18:04:02 | 小説「天皇の母1話ー100話

ヒロノミヤは心の奥底に色々なものがたまりたまっていくのを感じていた。

今まで自分の生活や待遇に不満を持った事はなかった・・・・というより、不満を

封じられていた。

人より恵まれているのだから不平不満は言ってはいけない」

「常に国民の手本となるように行動しなさい」

「将来の天皇としてふさわしい行動を心がけるように」

両親も回りも口にこそ出さないけど、、そういう考え方を強制しているように思える。

なんと言っても祖父はその鏡のような人。

公平無私そのものの態度。よけいなものは身につけない。

祖父も父も「研究」に命かけているし。

そういう高尚な人間ではない。自分は・・・・と、思ってしまう。

だから、彼としては色々なことを我慢してきたという自負がある。

なのに、今又、結婚に関して

オワダマサコさんはチッソのことがあるのでいけません」と

はっきり言われてしまった。

チッソの事じゃないだろう?

問題なのは、怪文書だ。

宮内庁に送られて来たという怪文書。

そこには、オワダマサコの素行不良の証拠がずらずらと書き述べられている

らしい。宮内庁が最も問題にしたのはハーバードでの男性関係。

アジア系の恋人がいたとか、トップレスの写真があるとか。

事実かどうか確かめる事もせず、そういう噂があるというだけでダメだと。

でも、これは陰謀なんじゃないか?

あんなに美人なんだもの。恋人の一人や二人いたろうし。

自由なハーバードでは青春を謳歌していたに違いない。

それが罪だっていうのだろうか?

っていうか、本当に男性関係があったと言えるのか?どこに証拠が?

なのに駄目な理由は「チッソのことがあるので」とはぐらかす。

何もかも自分に対する嫌味というか陰謀に思える。

怪文書のせいで破談になるなんておかしい。

もしかして宮内庁の中には自分を陥れようとする勢力がいるんじゃないか?

誰が何の為に?

オワダマサコに関しては天皇も絶対に反対だという。

天皇が生きている間はオワダマサコを妃候補に上げる事は出来ない。

イライラする。腹立たしい。でも、それを回りにどう表現していいかわからない。

 

そんな事を考えているとき、弟宮も悩んでいた。

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韓国史劇風小説『天皇の母」44(フィクションかも)

2012-03-12 16:56:44 | 小説「天皇の母1話ー100話

1987年から1988年、そして89年にかけて皇室には嵐が吹き荒れた。

1987年9月、天皇が入院した。

病状は伏せられていたし、何分高齢という事で国民はあまり疑問を持たなかったのだが

実は「ガン」であった。

その昔、長女テルノミヤをガンでなくした天皇は「我が家はガンの家系ではない筈」

おっしゃったそうだ。

なのに、今度は自分がガンになってしまうとは・・・

世代交代の波が押し寄せてこようとしている。

 

ますますヒロノミヤのお妃問題が重大化している。

天皇が生きている間に慶事を、次代の皇太子妃を決めようとオモテもウラも

やっきになっている。

ヒロノミヤは好むと好まざるとを得ずに次から次へと女性と引き合わせられた。

大企業の社長令嬢、旧皇族令嬢、旧華族令嬢・・・・しかしどれもうまくいかない。

その理由は「お妃候補」に挙がった途端、女性の方から「辞退申し上げる」との

意向を示され、さっさと結婚されてしまうからだ。

自分が全くモテない事実はヒロノミヤにもわかっていた。

僕はアーヤのような社交性はない。背も高くないしハンサムでもないし

弟はますます背が伸びて180センチにもなっている。

最近はひげをはやしたり、金のブレスレットをしたりして物議をかもしているけど

でも人気者だ。結果的にいつも自分の目の前には弟がいる・・・と思わざるを得なかった。

そう思うと、自分がいいと思ったオワダマサコを否定する宮内庁の面々は 

いやがらせしているのかも・・とすら思う。

まさか、その間、かのオワダ嬢は追いかけてくるマスコミに対して

どこの社なの?名刺出しなさいっ!」と指差し恫喝している事など

知りようもなかった。

ヒロノミヤの目に浮かぶマサコははきはきとした聡明な女性で、外国語に長けて

一般的知識が豊富な魅力的な女性だった。

マスコミ的には直感としてヒロノミヤのマサコに対する執着が見てとれたから

次第に取材攻勢は激しくなっていく。

アサヒ新聞の女性記者は上司に「マサコさんとデートして来いっ」と命令されて

計16回も食事をおごり、プレゼントを贈った。

官僚向きの性格なのか、マサコは「接待される」という事に遠慮した事がなかった。

食事をご馳走します、飲みに行きましょう、映画のチケットが手に入りました、

お誕生日おめでとうございます・・・と誘われる度に当たり前のようについてきて

当たり前のように食べて飲んで貰っていく。

これ、ちゃんと経費で落としてくれるんでしょうね」と記者は上司に文句を言った。

最初は必死だったけれど、次第にマサコの気まぐれな性格が出て来て

ドタキャンされたり、暫く連絡を絶たれたり・・と、その度にプレゼントと電話攻撃で

自分を忘れないようにアピールする。

疲れてくるけど、食べたり飲んだりする席ではよくしゃべる事は間違いない。

とはいえその情報の信憑性には疑いが・・・・

ヒロノミヤ様ってどんな方ですか?」

普通の方」

普通って・・優しいとか?気遣いがとか?」

いえ、そういう意味ではなく私がいうのはユージョアリーの普通という意味です。

ごく一般的とでもいいましょうか」

ヒロノミヤ様とはどんなお話をしましたか?」

いちご大福を食べた事がないとか。あの人、いちご大福を知らなかったのよ。

信じられる?だから今度お持ちしましょうかって言ってあげたら喜ばれたわ」

まあすごい。じゃあ、マサコさんもヒロノミヤ様の事を好き?」

「どうして?いちご大福と好き嫌いに何の関係があるの?」

「だって、今度お持ちしましょうかって」

いやね。いちご大福も知らない人を好きになる自分が想像出来ないけれども」

だって・・何度か東宮御所に招かれて・・・行ったんでしょう?」

それは俗にいう興味があるからというか、真に生物学的な興味の対象?」

わけがわからん・・・記者は頭を抱えた。

本当にこの人をヒロノミヤは好ましいと思っているんだろうか?

この女性、一度も「今日は私が(払います)」と言った事がない。

自分よりもずっとずっとお金持ちに生まれているのに。

こういう人、官僚にはいるよなあ。3流の政治家とか。

あ・・・韓国に昔いたという「両班」気質かしら?

じゃあ、マサコさんとしてはこの先、外交官になって世界に羽ばたくのが夢?」

「自分としては深く考えた記憶はないけれども、アメリカで培った英語力と

留学経験を生かして何か出来るといえば、やはり外務省で外交官になる事かしら?

私は小さい頃から父と一緒に海外で暮らしていたので、そこでは様々な場所へ

行ったわ。セントラルパークとか、モスクワの赤の広場とか。父のお友達には

有名な政治家も沢山いるし、部下もまた学歴と経歴がハンパじゃない人達。

だから海外で暮らして、そういう人達と色々語り合うというのは自分にとって

非常に自然な行為なの」

だから・・・・?言いたい事はなんなんだろう。

外交官が天職って事ですね?」

そうともいえるし、いえないともいえるし

メモりながら酒の勢いも手伝って、すっかり理解不能にされてしまう。

これがこの人の手なんだろうか。

正直、翌年、彼女がイギリスに留学した時はほっとした。これ以上たかられるのは

いくら経費でも嫌だなと思ったのと、彼女の要領をえない話し方にはつくづく

うんざりしたからだった。

 

無論、ヒロノミヤはそんな風に馬鹿にされている事も知らない。

天皇ご不例で、両親はますます忙しくなり、一方、皇太子妃の母も具合が悪いと

きている。皇室全体が暗い雰囲気の中でヒロノミヤに出来ることは

ただ何事もなく微笑む事だけだった。

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韓国史劇風小説「天皇の母」43 (フィクション・・かな?)

2012-03-04 10:20:38 | 小説「天皇の母1話ー100話

宮内庁には「表」と「裏」がある。

天皇の公式行事などを管理するのが表なら、いわゆる後宮は侍従達「裏」の世界。

そしてその他に、「東宮職」といわれる独立した機関がある。

片や「千代田」と呼ばれ方や「東宮」と呼ばれる。

東宮職は東宮大夫、東宮侍従長が管理する、皇太子一家のこと。

 

その千代田ではちょっとした物議が起こっていた。

オワダさん・・・オワダさんというのは誰なのだ?」

さあ・・エレナ王女のレセプションのリストには載っていないが」

いやいや、後から手書きで入れられたんです。彼女は外務省勤務のオワダ氏の

娘ですよ」

外交官の娘である事が問題なのではない。問題なのは彼女がチッソの孫だという

事実です」

そうそう。彼女の祖父、エガシラ氏はチッソの社長で何かと問題が多い人物。

水俣問題はまだ解決していない。それだけじゃない。彼女の父。オワダ氏も外交官

としてははなはだ評判が悪い」

どのように?」

日本ハンディキャップ論の提唱者です」

ハンディキャップ論とは?」

日本は日中戦争以来、数々の悪行をしたのだから未来永劫、アジアに謝罪し続ける

義務があるという考え方です」

そういうのは・・・いわゆる左翼と呼ぶのでは?反日とも言うが」

何だってそんな人物の娘がヒロノミヤの結婚相手として候補に上がるのか?」

陛下も疑問に思っていらっしゃる」

疑問も何も、戦後、宮内庁は内閣府の一機関となり、各省から回ってきた人たちで

固められているのはわかるでしょう?外務省もその一つ。特に最近は

外務省から宮内庁への移動が多いのです」

外務省に問題が?」

外務省は戦前の外務省とは違います。チャイナスクール、ロシアンスクールなど、

反日思想の巣窟になっておりますし、何よりオオトリ会という恐ろしい

組織があるのです」

聞いた事がある。オオトリ会とは。確か宗教団体の信者の塊」

ええ。日本最大の新興宗教団体を信じる会が外務省の中にあり、オワダ氏は

その会の一員です」

何と!それでは意図的に近づいてきたというのかね?」

その通り。皇室は政治や宗教団体と結びついてはいけません。オワダマサコさんが

候補に上がったのは何かの間違いとして忘れるべきです」

「陛下はどうお考えなのか」

「陛下は国民に祝福されない結婚は意味がないとお考えです。特にオワダさんに

ついてはチッソの問題があり、候補から外すようにとの思し召しです」

 

という事で・・・・千代田の意見は一致し、それをまず東宮夫妻に伝えた。

東宮夫妻は異論がある筈もなかった。

正直、皇太子家にとってヒロノミヤの結婚問題は重大な点を含んでいた。

つまり、「民間か、旧皇族・華族か」ということである。

皇太子が民間からミチコ妃を迎えた事で途切れた旧皇族・旧華族との間を

何とか修復しなくてはならない・・・という考え方が東宮職にはあった。

一方で「それは関係ない。むしろ、妃となる人の学歴や後ろ盾が重要」と

考えるむきもある。

なんと言っても皇太子妃が民間出身である事を思えば、あからさまに旧皇族とか

華族を進めるわけにもいくまい」

というのが大方の意見。

それというのも、タイショウ帝の妃、テイメイ皇后は九条家の出であったが、

今上の妃は皇族。姑より嫁のほうが身分が上というので、何かとやりづらい部分が

あったことは事実。

さらに、ミチコ妃入内に関しては、旧皇族・華族の大反対があり皇太子自身が

かれらをよくおもっていない面もある。

 

そんな思惑の元、

オワダさんはちょっと・・・」といわれたヒロノミヤ。

何で?」と尋ねるしかなかった。

ヒロノミヤにとってオワダマサコという女性はまさに理想だった。

どんな風に理想なのかと言われれば。

それは・・・見た目だ。

目が大きくて華やかな顔立ち。誰の目にも「美人」と映るに違いない。

それと彼女の学歴だ。

皇太子妃が聖心を主席で卒業したことはよく知られているが、マサコはそれ以上の

学歴を持っていた。

彼女なら誰も反対しない。むしろ「よくぞ選んだ」と喜ばれるに違いない。

ヒロノミヤにはそんな思惑があった。

元々ブルック・シールズのような派手な顔立ちが好きなタイプであるだけでなく

将来の皇太子、天皇として自分の妃になる人は、誰よりも素晴らしい学歴と

経歴を誇っていなくてはならなかった。

ハーバード大卒、外務省勤務のオワダマサコこそ理想の女性だった。

オワダさんはチッソの孫娘という背景があります。そういう家柄の女性を

妃になさるのはよくありません」

チッソ・・・・」

ヒロノミヤだってそれくらい知っている。

自分が生まれた頃に起こった水俣病という公害の話。

あの頃はミナマタだけじゃなく四日市の喘息だの光化学スモックだの

沢山の公害が取りざたされたものだ。

彼女が水俣病の大元となったチッソ社長の孫娘である事はわかったけど

それがなぜ罪になるのかはわからなかった。

祖父の事まであれこれいわれたんじゃたまらない。

そうはいっても皇室に嫁ぐ方というのは3代前まで疵がないお家柄というのは

決まっておりますので」

そう・・・でも、もう一度考えてもらえないかしら?」

ヒロノミヤは諦めきれないのだった。

 

 

 

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」42(フィクション?)

2012-02-26 10:46:26 | 小説「天皇の母1話ー100話

このところ、マサコはイライラしていた。

有頂天になっていたのはほんの僅かの間だった。

スペインのエレナ王女のレセプションでヒロノミヤに会った事は、自分としては

かなり「箔」がつく出来事だったんだろうと思う。

祖母が言う通り「将来、日本で一番偉い方になるのよ」という事で、そんな方に会え、

しかも言葉を交わす機会があった自分は非常に運がいい人間なのだと思った。

でも・・・まさか、それで皇太子が自分を「見初めた」なんて・・・・・

ありえないって」

マサコはぞぞっと体を震わせた。

イギリスの華やかな王室ならともかく、日本の皇室なんて地味なイメージしかないし

堅苦しそうだし。いや、何よりもあの背が低い男の妻になるなんて・・・ありえない。

 

マサコが外務省に入省してからは、はっきりいって仕事場は自分の「天下」と

同様だった。

なぜなら外務省には父の威光が隅々まで響き渡っており、入省1日目にして

ああ・・オワダさんのお嬢様」と上司に言われたくらいである。

研修中から同期、上司が自分を見る目が違っている。

それはマサコにとってうっとりするように心地よかった。

でも・・・外務省の研修はあまり面白いとは言えなかった。

こんな事、やる必要があるのか?ということの連続だったし、せっかくハーバード

を出て東大に学士入学した自分にふさわしい仕事か?といわれるとどうしても

そんな風には思えなかった。

外交官・オワダヒサシの娘にして最高の学歴を持つ女・・・その自分が、他の同期と

一緒に研修を受けている現実。これがわからないのだ。

一応、流れてきなものがありますから」

と説明されたけど。

じゃあ、どんな仕事がふさわしいのか?って?

漠然とだが、「外交官」といえば「外国」だ。

つまり、日本にとどまっている自分ではなく、イギリスとかフランスとかヨーロッパ

大陸を闊歩する自分。これがいわゆる「夢」なのだった。

しかし、マサコにはそこに行き着くまで大きな努力が必要であるという事が理解

出来ないのだった。

 

まして・・・・いきなり週刊誌に「ヒロノミヤ様のお妃候補ナンバー1のオワダマサコさん」

と書かれた意味も。

何で1度会っただけでそういうことになるのかしら?

別に親密に会って話したわけじゃないのに。私の好みじゃないし。

まーちゃんが将来の皇后になったらいいわあ」

と母は無邪気に言ったけど、自分としてはそういう姿は想像できない。

それなのに、週刊誌の報道は熱を帯びるばかり。

何でもヒロノミヤが自分に一目ぼれしたのだとか・・・・あの時点で一目ぼれ?

誰かに一目ぼれされる経験というのは心地よかったけど。

 

エレナ王女のレセプションから数ヵ月後、オワダ家に招待があった。

招待主はタカマドノミヤ。外務省の数人を招いての茶話会ということだった。

宮家から招待が来るなんてすごい」と母ははいい

まあ、適当に行っておいで」と父は言った。

別に気後れする必要はない。お前はハーバードを出て外務省に入省した

日本でも指折りのキャリアウーマンなんだから誇りを持って行っておいで」とも。

そんな風にしてタカマドノミヤ邸にいってみると、なぜか自分以外の誰も来ていない。

しかもタカマドノミヤ夫妻と一緒に自分を迎えたのは・・・ヒロノミヤだった。

他の方々はご都合が悪かったので

緊張のあまりかたまるマサコに宮妃はにこやかに言った。

そうは言われてもマサコは緊張をとく事が出来ない。体が小刻みに震えて、

逃げ出したい感情にかられる。

目の前にいるのは、将来の天皇・・・といってもただのおぼちゃまにすぎないが。

今日はよく来て下さいましたね」

ヒロノミヤは幾分高い声でマサコに声をかけた。エレナ王女の時と同じように

唇には微笑が。

はあ・・・ご招待されましたので」

マサコさんはずっとアメリカにいらしたんでしょう?それじゃ英語は得意なのかな」

不得意とはいえないと思います」

「ハーバードの授業はどんな感じですか?」

まず基礎が・・・」

それから延々とハーバードの授業体系を説明した。タカマドノミヤ夫妻はいつの

間にか姿を消していたが、ヒロノミヤはにこにこといつまでも聞いている。

ハーバードの女子学生の割合は?」

「どんな授業が特に魅力的でしたか?」

これじゃまるで接見しているようですね」とヒロノミヤも苦笑いしている。

「え?石鹸?石鹸がどうか?」

いや、その石鹸じゃなくて・・・ああ。マサコさんは外国暮らしが長いから」

え?何を言ってるの?この人。

不思議そうな顔のマサコをヒロノミヤはくったくなく見つめて又笑った。

つられてマサコも笑った。すると、ヒロノミヤは嬉しそうに

僕はオックスフォードに留学していたんですけど・・・」と話し始める。

まあ、オックスフォード?私も来年には国費で留学いたします

え?本当ですか?じゃあ、僕が色々教えてあげますよ」

結局、最初から最後まで大学の話で終わってしまった。

二人の共通点といえば、「留学」経験くらいしかなかったのだから。

 

マサコは今日の訪問は有意義だったのではないかと思った。

普通の人がなかなか入れないタカマドノミヤ邸に入り、将来の天皇と話を

したのだから。やっぱり自分って何か特別なのかしら?

しかし、その事がさらに「お妃候補」報道を加熱させるとは・・・・思ってもいなかった。

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」41 (フィクションね)

2012-02-21 16:41:18 | 小説「天皇の母1話ー100話

それは1986年9月18日のこと。

スペインからやってきたエレナ王女の歓迎レセプション。

その名簿の中に手書きで付け足された名前があった。

「オワダマサコ」

誰の手によって手書きで付け足されたのかはわからないが、この時すでにマサコは

外務省に入省しており、政府関係者である事は疑いようもない。

 

後の人生を振り返るにあたって、彼女は多分この時がもっとも有頂天になっていたのでは

ないかと思われる。

大学時代は「壁の花」だった。英語を覚えるのも遅かったし、元々の性格が人と

コミュニケーションをとることが苦手なタイプ。

それでもアメリカで何を学んだかといえば、それは「自己主張」である。

何でも考えた事は言葉にする事。思いを伝える事。外国ではそれが重要だと

マサコは本気で考えていた。

そして「ハイソな人間は高飛車に振舞うものだ」ということも。

一億総中流意識の日本と違って、アメリカにしてもヨーロッパにしても立派な格差社会。

その中で少しでも「上」だとみなされれば、それ相応の態度をしてもいいということだ。

でおm、一方でアジア系というのがアメリカ社会において、それ程大きな地位を

占めているわけではない事を痛感する。

もし、自分が白人だったら「壁の花」にならずにすんだのではないか。

もし自分が日本人ではなく、ヨーロッパ人だったら・・・・

それはコンプレックスに違いなかったのだが、マサコはそれに気づいていなかった。

 

ゆえにアメリカで働いたとしても身分相応な待遇を受ける事が出来るかわからない。

それなら父のコネを使って外務省に入る方がずっと得だった。

私は根無し草になりたくないの。日本に貢献したいの

と表向き言ってみたけど、本当は何も考えていなかった。

外務省の試験に合格し、さらに東大に学士入学が決まると、自分を取り巻く世界が

180度変わった。

「学歴優秀で美人で外交官の父を持つハイソなお嬢さん」というレッテルがついた。

確かに女性で外交官試験に合格する人は少なかったかもしれないが、

外交官の娘は試験に落ちない先例があるから、本来はどうって事がないのだが、

無論、庶民にそんな事はわかるまい。

そして、エレナ王女のレセプションに招かれたのである。

 

まあちゃんはヒロノミヤ様のお妃候補になるのよ」

とエガシラの祖母が教えてくれた。

誰?それ・・・マサコは聞いたことのない名前にとまどった。

ヒロノミヤ様って御偉いの?」

そう聞き返したマサコに祖母は驚いて

おやまあ。天皇家を知らないの?この子ったら。将来、日本で一番偉くなる方よ」

天皇 → 戦争責任 → 日の丸・君が代 → 戦争容認の象徴

マサコの頭の中ではその程度の知識しかない。

ゆえにそのレセプションにヒロノミヤが来ると言っても別に何も感じなかった。

 

一応、ブランド物のスーツを着て颯爽とレセプション会場に入ると

マスコミが待ち構えていた。

え?もしかして自分?

「まあちゃんは・・・」の祖母の言葉が蘇る。

もしかして自分は本当にお妃候補なんだろうか?

だとしたらこんなに気分がいいものはない。

お妃って・・・・ダイアナ妃のようなもの?

ゴージャスなドレスを着て頭にはティアラ。世界中から注目されて賞賛されて

みんな跪く存在。

マサコの気持ちは高揚した。誰もが入れる場所ではない。

そこに自分は「エリート中のエリート」として入ることが許されたのだ。

 

まさにそこはハイソで上品な空間だった。

スペインのエレナ王女の歓迎レセプション。シャンパンにシャンデリアにドレス。

一緒に入った外務省入省者達は、ちょっと場違いな雰囲気に飲まれ、どぎまぎとする。

でもマサコはちっとも平気だった。

私は選ばれた者なんだから。

そこに華やかな王女と小さい日本人の男が登場した。

あれ誰?」

思わず聞いてしまった。

ヒロノミヤ殿下だよ」

知らないの?という具合に同僚が言う。知るわけない。

こんなに小さいの?チャールズ皇太子とは随分違うなという印象。

一人ひとり紹介される。

女性ながら外交官試験に合格したオワダマサコさんです。お父様が外交官で」

ヒロノミヤはにっこりと笑った。

そしてじーーっと見つめている。誰を?自分を。

その時はまさか、ヒロノミヤが自分に一目ぼれしたなどとは考えていなかった。

マサコの心の中にはただ「得意」の二文字だけが刻まれていたのだった。

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