私は清朝ものが好きです。
衣装は豪華だし、女性同士のあれやこれやれも多いし。
でも「蒼穹の昴」を宝塚でやろうとは思いません。
なぜなら、宝塚に必要不可欠な「恋愛」要素がゼロだからです。
おまけに、辮髪でしょ?無理無理・・・と思っていたら原田諒がやったっ!
全体的に「政治物」「男の話」としてはうまい作りだと思うけど、その分女性達が全然活躍せず。
何しろ、さよならの朝月希和にボロを着せて出番少なくなんて、「堕天使の涙」の舞風りら以来の屈辱物よ~~
梁文秀との関係は最後まで「兄と妹」にほかならず・・・原作では後に結婚するけれど。
今回は主人公が二人いるようなもので、1幕では文秀と春児の関係も対等でさらさら見せ場もあって進んでいくけど、2幕目は春児はほとんど何もせず。
そりゃそうです。春児が活躍するのは京劇役者としての時、西太后づきになってからの彼は西太后の孫のような存在になっていくし、宦官の世界では正義感に溢れた考えでのし上がっていくわけです。
改革派の文秀と清朝側の春児は対照的な立場で、無論考え方もそうです。
しかし、はっきり言ってこの対比がうまくいっていたとは思えません。
どうしてもトップに焦点を当てなければならないから、春児達は後回しになるのは当然。だったらそんな難しい話を2時間にまとめようとするなよと言いたかった。
確かに大階段を使っての宮廷シーンは見ごたえがありました。
しかし、宮廷ならではの「しぐさ」というものが一切排除されていましたね。
例えば「お茶」を飲む仕草。
日本と違って、あちらでは茶たくに湯呑を乗せ、蓋をしたまま口にもっていき、蓋で茶葉をよけながら飲みます。
例えば「お辞儀」
文秀達のお辞儀は腕が生ぬるい。妃達は膝を折って挨拶します。
せめて、光緒帝の3人の妃達の優雅なお辞儀を見たかったです。
西太后ら后は重いリャンパトウを頭に乗せて、長方形のかかとがついた靴を履いていますので、一人では容易に歩けないし跪く事も無理です。そして寒い時には陶製のカイロを両手に持っています。
そういう、いかにも「清朝」的なものを取り入れてくれたらムードが出たけど。
我が家の姫も、お辞儀の仕方に違和感ありと、名前の呼び方に違和感があったといいます。
例えば「珍妃」はチンフェイ、「西太后」は「シータイホウ」と発音します。
梁文秀と春児、順桂など一部の人達だけ中国語読みっていうのはちょっと・・ってわけですね。
私は西太后が光緒帝を「ツァイティエン」って呼ぶかなと。
李春児も本当は「李春雲(リチュンウン)」が本名で「春児」は愛称です。
とにもかくにも、専科の人達がの演技に脱帽してしまい、これをずっとみていられるなんて幸せだ~~と思ってしまいました。
だって、芝居ってこうでないとが詰まっているんだもの。
一樹千尋と夏美ようなんて、元星組コンビですよ。この大げさで大仰な物言いの似合う事といったら!素晴らしかったなあ。
また。京劇の朝美絢のカッコよさも半端ない。よくぞここまで頑張ったとしかいいようがない。
という事は、申し訳ないけど主役がかすむわけで。
正直、こんなに専科が出て来る芝居は鳳蘭主演の「誰が為に鐘は鳴る」以来じゃないの?って感じです。
かすまなかった鳳蘭はすごかった。遥くららも大物だった。
でも残念ながら雪組トップコンビは・・・
しょうがないよね。原田諒は組にあてて書いたっていうより、自分が書きたいものに役を当てはめただけなんだから。
終わってみれば梁文秀も春児も何か大きな事やったっけか?
ああ、爆弾から西太后を護ったのは春児だけど、それだけ大きな成果を上げたのに誉め言葉一つなしかい?
順桂が死んだのにコメントなしかい?
文秀は袁世凱に頼み事しただけかい?
戊戌の政変って・・・こんなに軽い扱いかと。
光緒帝は死ぬまで幽閉されたのよ。西太后によって。西太后の胸の内もわからないし、光緒帝の悲しさもわからないし。
結果的に政治を語っただけの芝居になってしまいました。
上田久美子だったらもうちょっと・・・あわわ。
衣装はどれも素敵でしたが、ただ文秀達の服の裾の波模様は違和感あり。
あれはいらなかったなあ。
辮髪なしも違和感しかないって・・・・だからやめときゃよかったのに。
フィナーレの朝月希和のドレスは可愛らしかった。
今度はぜひ恋愛要素で「珍妃の井戸」をお願いしますよ。
彩風咲奈・・・いつになく力が入った役で、トップの地位を守り抜いた感じ。
本編とは関係ないけど、朝月希和のさよならショーで「SUPER BOIJER」のダンスを披露したけど、二番手の頃よりずっと上手になってました。今回の作品は身を軽くしないと出来ないものだったのでしょうかね。ただ・・もうちょっとカタルシスが欲しいんだな。
朝月希和・・・ボロボロの服で出て来た時はどうしようかと。可哀想すぎて。ラストはまあいい服着て出て来たけど、本来ならミセス・チャンにして活躍させるべきだったんじゃないの?と。さよならショーは近年まれにみるよい出来で、楽しかったです。
ご苦労様でした。明るくて可愛くて大人のひらめちゃんの幸せを祈ります。
朝美絢・・・とにかく春児として可愛いやらいじらしいやら。京劇の振りを見事にやりこなした度胸がすごい。また朝美絢の瞳はいつも何かを渇望している。この必死な渇望感が人を酔わせるのではないかと思います。
凪七瑠海・・・李鴻章。1幕であっさり消えるから「え?」と思ったけど、2幕目最後で見せ場あり。どんどん貫禄がついてよい男役さんですよね。
和希そら・・・あまりしゃべらず、でもいつも憂いに満ちている表情が素晴らしかったです。あっさり爆弾で死なせるなんて。
縣千・・・好感が持てる真面目な皇帝で演技力がある事はわかりました。黄色の衣装に助けられてよく目立ったし。このまま伸び続けてくれれば。
諏訪さき・・・眼鏡で純粋にリンリンを好きになる風情がよかったです。
真ノ宮るい・・・見た目いいし、声は素敵だし演技力もダンス力も抜群で目立ちましたね。
一樹千尋・・・西太后が代表作になったかも。
専科の方々、全員素晴らしい演技をありがとうございました。
原田諒には「宝塚的になものとは」という視点を今一度持ってほしい。
かつて植田紳爾が「紫禁城の落日」を星組で上演しました。
これは日向薫と毬藻えりのさよなら公演でした。
しょっぱな、大階段から出演者を歌いながら降ろして華やかさを描き、愛新覚羅溥儀とその后の婉容を軸に、次期トップコンビのアピールや、次期2番手に終戦の詔を口語訳セリフを言わせるとか、全ての人に見せ場を作った作品でした。
その分、ストーリーは史実と大きく異なってしまったのですが、でも大いに泣けて、これこそ「宝塚とは」の究極の表現法だと思っています。
ちゃんと辮髪もあったし。紫苑ゆうが辮髪じゃなかったのは日本に留学していたからだし、そこらへんはちゃんとしてたという記憶があります。
原作に忠実にがよいのか、宝塚の定義に当てはめるのがいいのか。
生田大和も原田諒も次世代を担う演出家なのですから、特にそこを考えて作品作りをしていくべきと思います。
宝塚はトップが光ってこそなんぼ、泣かせてなんぼの世界。
見せ場作って一人前の世界ですよ。
結局盛り込むの大変なんですよね。脚本家が自分で作れば勝手にカット出きるけど、今回は元が浅田次郎でタイトルも付いてるから無理でした。
先日アナと雪の女王を見てきたんですけど、こんなレベルで舞台に乗っけちゃうんだ?と妙なこと感心しました。アナもエルザも北国の王女様に見えなくて、そこらのスーパーの店員さんとお客さんに見えました。でも逆にオラフとスベンのできが良くてへ~と感心して見てしまいました。
感じ方は一人ひとり違うから、見に行って一つでもここ良いな~と思うものがあれば拾い物だと思いましょう。宝塚チケットをスマホでQRコードで買えるように成るまでもしかして見ることは無いかも?それまではDVDで我慢かな?
宝塚歌劇の舞台にかけてくれました。
原作のリンリンへの暴力とか
宦官達への不当な扱いとか
スミレコードに引っかかりそうなところは
上手にカットしていましたね~~
それに比べて~・・はイケナイのかもしれないけど
原作4冊をアレンジした原田さんと
100ページ位の話を広げなくちゃイケナカッタ生田さん
ディミトリはルスダン以外の人物のき書き込みが浅くて
ガッカリしました。期待してたのにな~~
フィナーレの雪組男役の群舞 素敵でした!
今回の雪組公演1回だけ観劇しました。観劇後ふぶき様の感想聞いてみたいなぁと思っていたのでこの記事はとても嬉しいです。
私はTVドラマも原作も知らないまま観劇しました。「珍妃の井戸」は以前読んだことがありましたが細かい内容までは覚えてないです そして感動しちゃいました。すごく感動したのでこれから原作読みます。文庫本4巻買いました。小説では西太后がヒロインだというので楽しみにしてます。
一番感動したのは諏訪さきさんのお役「自分は簡単な道に行く」ところです。もう可哀想で泣いちゃいました。パレードの階段降りで役の格好で出てきてまた涙。今年の観劇納めでしたがとても良かったです。