みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ
歌意: 御垣守(みかきもり)である衛士(えじ)のたく火が、夜は燃えては昼は消えているように、私も夜は恋の炎に身を焦がしては昼は消え入るように沈み込むことを繰り返すばかりで、もの思いに悩むほかはないのだ。
作者: 大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)
921~991 神職の家柄に生まれる。梨壺の5人のひとりとして、『後撰集』の編纂にかかわる。
*「御垣守」とは宮中の諸門を警護する兵士。 「衛士」は、諸国から交替で集められた兵士。
夜はかがり火をたいて諸門を守ることを職務のひとつとする。
夜の闇に赤々と燃え上がり、夜が明けると消されてしまうかがり火。
この風景がそのまま恋する者の心のありようとなっている。
恋いこがれたり意気消沈したりあ、情念の燃え上がりと落ち込みを繰り返さずにはいられないところに、恋心の不可思議な苦しみがある。
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