エノコログサ
絵に描いたのは、夏の典型的な雑草、エノコログサ。別名、ネコジャラシ。名前の由来は、草の穂が犬の尻尾に似ていることから、とされている。また、猫がじゃれつくので、ネコジャラシ。
草や樹木には、独特の名前がついているものがある。例えばママコノシリヌグイ、これは花を支える花柄の部分がトゲトゲになっていて、憎たらしい継子には、これで尻拭いしてやりたいから、とされている。
あるいはジゴクノカマノフタ=茎や葉がべったりと地を覆うさまからつけられたとか。あるいはガマというのもある。ガマは蝦蟇を連想するが、稲と同じ種類の植物で、花=実が蒲鉾に似ていることから、蒲=ガマとなったようで、植物らしくなくおでんみたいで変わった植物である。そうそう、オオイヌノフグリという名前の草もあった。花は紫色で可愛いのだが。
60歳を過ぎたころより、全く関心の無かった木々や雑草の名前が気になりだした。世の中の出来事より身の回りのことに関心が寄っていったのである。つまりいかに自分が無知だったか、自覚できるようになった、と言っていいのかもしれない。
最初は樹木の名前を覚えようとして、各地の植物園に行って、いろいろ調べた。書物も買った。そしてかなり記憶に留めた、はずである。そのうち、雑草にも目を向けた。中学生の生物のうちの植物の部の復習、のようなものである。対象は国内の植物で、分類から受粉の仕組み、花弁の種類などを勉強した。そしてかなり体得したように思えた。ところが忘れるのも早く、記憶にある特徴のある樹木に出会っても、名前が出てこない。なんと、もどかしいことか。
しかし、身近なところに生息する植物について、少なくとも名前を知るだけで、どれだけ気持ちが高揚し、落ち着けるものか、皆さんにお勧めの勉強対象である。【彬】