一昨日、昨日と農天市場は賑わいを見せた。
一時期は数えるほどの客足で、本気で農天市場の閉鎖も考えた。
東北大震災、福島新潟豪雨と、大規模な天災にたたられ、
社会全体の空気が沈滞し、人の往来も減り、購買意欲も無くなっていると思った。
しかし、嬉しい事に秋の深まりと共に不思議なほどに客足は復活し、
農天市場は例年以上の賑わいを見せ始めたのです。
今月十六日の長岡への出張焼き芋屋で、かなり燃料の薪を使ったことも有り、
足らなくなってきた燃料の確保のために、洪水で流れ着いた流木をチェーンソーで切る。
これは農天市場の裏の畑を片づけた業者に依頼し、薪になるものを残してもらったもの。
いわば、洪水、天災のプレゼントなのです。
濁流に根こそぎ引きぬかれた生木や、製材跡の見える木材などが有る。
厄介なのは、製材された木材に潜む古釘等の金属。
これにチェーンソーの歯が当たるとたちまち刃こぼれして切れ味が極端に落ちる。
細い、棒状のチェーンソーやすりで、目立てをしなければならない。
昔は家で使う薪作り用の大のこぎりも父が目立てヤスリで目立てをしていたものだ。
昔の人は、みんな自分で、自分の使う道具は手入れをして使ったものです。
今ではプロの大工さんも替え刃式ののこぎりを使うような時代になってしまっている。
さて、切った薪を一輪車で釜のそばに運び火に入れる。
少々湿った薪でさえ、火力が全体に強くなると平気で燃えて力強い炎を上げる。
ごうごうと燃える炎は、釜の中の小砂利を温めさつま芋を焼く。
鉄板を通した直火ではなく、小砂利を通した遠赤外線でじっくり、こんがりと焼くって寸法。
昨日も色々なお客さんが見えられましたねー。
初めてのお客さんもいらっしゃれば、「先日の野菜が美味しいからまた寄りました」と嬉しいお客さんも。
妻が苦労して作った七、八種類の野菜入りの「サラダセット」を見て、
「わー、おしゃれー」と歓声を上げて下さる女性のお客さんも。
「わっ、これってリーキじゃないですかー、やっぱり洒落てるー」
そして、こんなお店長岡だったらたちまち売り切れですよと嬉しいお言葉。
一度立ち寄った自動車がしばらくしてから再度駐車場に入ってきます。
すわ、クレームかと緊張しましたが、にこにことしながら降り立ったお客さんは、
「考えたら、お友達にも上げたくなった」と、お出で下さったのでした。
二日間の農天市場は朝の収穫から晩の閉店まで忙しい時間が続きます。
でも、ただの疲労ではなく、どこかに心の充足感を残す疲れです。