夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

君を待っていた

2005-07-26 22:05:02 | 自作の小説

君を待っていた
2005/07/26
男は時計を睨むように立っている

段々表情が険悪になってきた

待たされるのは嫌いなのだ

大人しく待っているには 理由がある

気弱にも「来なくてもかまわない こっちが勝手に待っているのだから」

格好つけて言ってしまった

来ないかもしれない
多分来ないだろう

そんな思いがますます男の表情を険悪にする
(夢綴り)


ー日も暮れよ 鐘も鳴れ 月日は流れ わたしは残るー


待ち人の学生時代好きだった アポリネールの詩「ミラボー橋」の一節が浮かぶ


卒業式で会う約束をして・・・・実現しなかった

相手は一日随分遅くまで待っていたのだと 友人から教えられた

このままでは借りを作ったみたいで 気がすまない

だから同窓会で再会した時 強引に待ち合わせの約束を取り付けた


来なくて当然 なんだよな

10年は長い・・・・・

目の前でタクシーが停まった

「もう!駅の何口か言わないで 駅で待ってるーだけなんだもの
ここで30分 あっちで30分 駅中 走り回っちゃった

ほら!見栄張って新しい靴履いてきたのに 靴ずれしちゃった
足が痛いからタクシーに乗って捜したのよ」

「・・・・・」

「なんとか言いなさいよ」

「来てくれて有難う」


この時 彼の一生は決まったのだった

彼女にだけは頭が上がらない
それは一生続くのだった