最初に本編とは関係なく続いている倉敷編集長殺人事件から 追加注文の餃子が届きますが 副編集長が自分が頼んだと受け取ります
しかしそれはオムライスだけでは足りなかった倉敷が出前を頼んだものでした
倉敷(中井貴一)の幽霊は語ります
「死人に口なし 魔術でも使わない限り 彼らの罪を裁けないのです」
さて本当に「死人に口なし」なのでしょうか
ここから本編が始まります
不妊治療の専門家 美貌の女医 章代(鈴木京香)から 峰和(小澤征悦)と千鶴(西田尚美)の根岸夫婦は 養子候補としての赤ちゃんを紹介される
峰和は社長の娘と結婚し 婿養子となっていた
野心家の峰和は同期のライバルもセクハラ問題にかこつけ 退職に追い込む
千鶴の父親(竜雷太)は 赤ん坊の実の父親についてトラブルが起きないか案じていた
「後腐れの無いように処理しておけ」
峰和「分かりました」
峰和はー今回のことは根岸様に特別にーの章代の言葉が気になっていた
ー特別にー
章代が選んだ店は 以前 峰和が利用していた店だった
章代「偶然ですね 食事の前にお話を済ませましょう
里親になるための条件 覚えておられますか?」
赤ちゃんを愛すること
経済的に余裕があること
家庭内に不和がないこと
両親が健在なこと
そして最後の一つが
両親のどちらにも犯罪歴がないこと
峰和「子供の為のボランティア 支援させて下さい
感謝しています」
差し出した封筒には 高額の小切手が入っていました
章代「私がー特別にーて言ったのは そんな意味ではありません」
運ばれてきたワインに峰和驚く
峰和「わたしの好きなワインです」
店 ワイン 音楽と章代と峰和 趣味が重なっている
章代は魔術を使う人間のような評判があった
章代「不妊治療は魔術でなく医療ですよ」
千鶴の体に問題あり妊娠できなかった
滔々と不妊治療の方法について話す章代の言葉に 感嘆し圧倒される峰和
店主が挨拶に来る「本郷様 ごゆっくりなさって下さい」
峰和の旧姓は本郷
その事に章代は驚いていなかった
赤ちゃんの養子縁組みの予備知識として調査済みらしい
章代「私達 趣味が合うのも当然かもしれません
ご両親もご兄弟もいらっしゃらないそうですね
夫は結婚して四年目に亡くなりました 」
峰和「そうでしたか モノは考えようです 一人なら好きなように生きられる」
章代「あなたも そうやって 生きてきたんですか
欲しいものは 何でも 手に入れてきた」
峰和 章代に強く惹かれ テーブルの上の彼女の指に手を伸ばすが 触れ合う前に章代の携帯が鳴る
章代「すみません 患者さんからの呼び出しで
支払いは 済んでいます
いずれ また
ゆっくりと・・・」
帰宅した峰和に千鶴が尋ねる「何だったの 先生のお話」
峰和「たいしたこと無かったよ」
千鶴「ね~えぇ 夢みたいね
あなたがいて 子供がいて
ずうっと思っていたの
夫婦の絆って 子供だと
あのね 今度 先生を家に招待したら どうかと思うの
どうしても あの子を貰いたいのよ」
峰和 連絡しておくよーと言ったあと
「来月 旅行をしよう 車で行けば子供連れでも大丈夫だろう 」
峰和は何処へ旅行に行くか店で場所調べをしている
携帯に章代からの返事のメールが届く
「お招き有り難うございます
喜んで伺わせていただきます 中尾章代」
さっきまで峰和がいた店の外で 思惑ありげな笑みを浮かべる章代
招待を受け家を訪れた章代を歓待する千鶴が子供の世話で席を外した隙に 章代にプレゼント手渡す峰和
「ご馳走になったお礼です」
「失礼します」
章代貰った香水つけ部屋に戻ってくる
千鶴 章代の香水に気付き 時々自分が使う夫からのプレゼントと同じだと言う
たびたび赤ちゃんの世話で部屋からいなくなる千鶴
章代は言う「以前住んでおられたところ 取り壊しになったそうです
大家さんの娘さんと お付き合いしてらしたんですって
長い髪の女性が好きなのですってね
そうそう 言おうと思っていたのですけど
赤ん坊連れの旅行は早いんじゃないかしら」
また章代は千鶴に「奇遇ですね 私の殺された妹も この香りが好きでした
ごめんなさい 変な話してしまって」とも言っている
だんだん章代の事が 薄気味悪くなる峰和
次に会社前で 千鶴の父親に挨拶し「偶然 通りかかったものだからー」と言う章代
「偶然じゃありませんよね」と言う峰和に 章代は無言で微笑んだ
章代の家で スカーフをした女性の絵を見る峰和
章代「それ 私なんですよ
妹が描いてくれたんです」
峰和「どういうつもりなんですか あなたは」
妹(矢田亜希子)は美大を卒業して個展なんかも開いたりして
クラブでホステスのバイトもして
妹が殺された頃 外国人の犯罪が多発していたから 警察はそんな事件の一つとして片付けた
この肖像画は妹の最後の作品
でも妹を殺したのは 妹の恋人だと思っていると章代は話す
普段から香水をつけるようになった
妹の荷物は全部 この家に引き取りました
妹の遺品の中に姓名判断の本がありました
本郷ゆみこー恋人の名前が本郷だったんでしょうね
未来を占った
未来なんか 無かったのにー
本郷は妹がバイトしていた店の客でした
本郷が婿養子におさまったのも七年前
妹が殺されたのも七年前
私は本郷という男を 徹底的に調べて分かったんです
どうして妹が急にワインを好きになったか
ジャズが好きになったのか
証拠はありません
ですが
ある計画を思いつきました
妹は乱暴されていたんです
犯人は妹の中に証拠を残していきました
実は 私は妹の体から犯人の精液を取り出し冷凍保存しておきました
本郷を調べているうちに
ある計画を思いつきました
彼らは養子を探している
犯人の精液と私の卵子を使い 海外で代理母に出産させ 子供を作りました
言ったでしょう 性交渉は無くても子供は作れると
私にとっても 一か八かの賭けでした
犯人夫婦が養子を見つけてしまうかもしれない
それでも私には 他に手段が無かった
だから子供が産まれるまで ずっと祈っていました
養子が見つからないように
あなたが連れて帰ったのは
妹を殺した犯人と 私の子供
ゆみこは 私のたった一人の家族だった
ゆみこが邪魔になっても 命まで奪う必要は無かったはずよ 」
「育てるわけないだろう そんな子供」どうにか言う峰和
「奥様はあの子を欲しがってる
育てたがってる
あなたを説得してって私に頼んでくるかもしれない
そうなったら私は言わなくてはいけないわ
本当のことを
あの子は実は ご主人が殺人を犯した時に 出来た子なんです
いつか
でもきっと あの子はあなたに似てくるわ
人が言うのよ
ーまぁ お父様にそっくりねー
あなたの奥様は私の 言葉を思い出す
今は血縁関係が調べられるのよ
どちらにしてもあなたを待っているのは地獄よ 」
峰和 章代の首を肖像画に描かれているのと同じスカーフで絞めようとする
だが ゆみこの声が脳裏に蘇る
ー可哀想な人 そんな結婚で幸せになれるはずないのに
わたし 相手の人と話してくるー
ゆみこを千鶴に会わせるわけにはいかない
俺の邪魔をするな!
峰和はスカーフで首を絞め ゆみこを殺した
峰和 章代を殺さないまま ふらふらと出て行く
章代は回想する
「お姉ちゃん ずっとわたしの心配させてごめんね
これからはお姉ちゃんも幸せになってね」
描く絵のポーズをつけながら妹が結んでくれたスカーフ
「見て お揃い」
鏡を眺めながら子供の頃のようーと笑いあった
幸せそうだった妹
峰和が帰宅すると 千鶴は赤ん坊の世話をしている
峰和「この子は返す」
千鶴「この子がいいの
わたし知っているのよ
わたしなんか愛していないってこと
わたしなんかキレイでもないし
社長の娘だってだけで
あなたと家庭を作りたいのよ
ほら見て
目元なんか あなたにそっくり
あなたの子だと思って育てるから」
峰和は部屋を出て暗い階段を上っていく
彼の頭の中では 章代の言葉が響いている
ーどちらにせよ
あなたを待っているのは 地獄よ
終わりはないの
何年も 何年も続くのよー
場面が変わり 章代は黒い礼服着て身繕いをしている
冷ややかな笑顔の独白
ー案外脆かったわね
あなたという男も
自分で命を絶ってしまうほど
そんなに怖かったんですか
この子が ー
章代 千鶴の家から赤ん坊を引き取り 出て行く
ーこの子の母親は最初に話した通りの女子高生
あなたに子供を持つ資格なんてないー
門を出て家を振り返る章代
赤ん坊に話しかける
「一緒に帰ろう ねぇ」
ドラマは終わり 倉敷編集長の死んだ部屋で 倉敷の幽霊が言います
「残念ながらわたしには彼女のように真相を明らかにしてくれる親戚がいません」
出前の男 渡し忘れたケチャップを持って戻ってきます
「副編集長も始めたんですか
餃子にケチャップ」
刑事は居並ぶ人々を眺めます
人々 非常に気まずい表情
刑事 人々を見渡して「皆さん もう一度 話を聞かせてもらえませんか」
幽霊「ミステリーは こうでなくちゃ」
喜んだ表情で終わります
さて これは ケチャップの功名でしょうか
本編ですが それほど野心家の男なら 知らぬ存ぜぬで 自分の血も流れていることですし
図太く育てればいいのです
人から似てると言われたり
親子関係調べも大丈夫
かつて章代の研究に協力し 峰和を勝手に好きになった章代が 峰和も知らないうちに 自分を相手にしてくれなかった峰和への復讐として赤ん坊を作っていた
そんなふうにも 空っとぼけて言い抜けられるのに
本当の悪人なら
確かに峰和くん 君は弱い(笑)
それっくらいで死ぬなよーと恐い女の独り言です