夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「だんだん集まる」-9ー

2018-08-31 19:06:03 | 自作の小説
実体が無いとは言いながら 僕には見えるし触れる

そして話し相手になる

最初の頃と比べると話す内容がかなり打ち解けてきてくれたようにも思える
ただ相変わらず僕の前に仏壇を世話していた人間については 徹底した秘密主義
それも彼等なりの仁義と思えば 信用できる仏壇達なのかもしれない


母親がよく「もしも・・・・だったら どうする」なんて突拍子もない設定で話をもってくる人だったので 僕も
よくよく考えてみればかなりおかしな状況に慣れてしまっているのか


「君が夜中に目覚める 喉が渇いて水を飲み トイレに行って洗面台の鏡を見る  すると自分ではない人間が鏡の中から腕を伸ばし君を引きずり込む
君はそのまま鏡の中にいる それとも どうにかして脱出を図る?」

「君が旅館に泊まる すると布団の周囲に黒い手がびっしり  気のせいと思ってそのまま眠る それとも黒い手と戦ってみる?」

よくもまあ 次から次にとへんてこな設定をつくりあげてくれると感心するが 慣れて適当に躱せるようになる


それにまあジタバタしたってしょうがない その時なるようにしかならないし
これも給料のうちと思えばいいんだ

仏壇と話せる人間なんて そうそういないんじゃないかな

母親の親友の娘によればー「呆れかえるほどの暢気者 ザイルより図太い」-のが僕なんだそうな

暢気結構 山手樹一郎大先生の「桃太郎侍」とか浪人物の主役ってかなり大暢気でおっとりがいいんだし
それに僕はどうしたって柴田錬三郎大先生の「眠狂四郎」タイプじゃない
ニヒルとか そういうのは無理だ
あれは読むぶんだからいいんだよ

暢気さと図太さを発揮しておおらかに生きるんだ僕は

だけど世間は早々のんき者でいさせてくれない

夏の6時過ぎはもう充分に明るい
だからこれは闇討ちとは言えないかな
例によって「村のよろず屋」さんからの帰り道

「わりゃあ こないだはようも踏みつけてくれたな おかげでな儂は{踏まれの長介}と言いふらされて そのへんのガキにまで後ろ指さされて笑われる始末や

もう勘弁ならんわい カタつけたる」

馬場長介さんだった

「それで カタとは どのように」


「もう えらい気ィ抜ける奴っちゃな べらぼうにずたずたにぼろんぼろんにしたるのよ」

「ふうん」

「おい 怖ァないんかい」

「まだ べらぼうにずたずたにぼろんぼろんにーなったことがないんで」

「こンのガキは~~~~」

面倒な事に長介さんは刃物を持っていた

どっから持ってきたのか錆びた出刃包丁
あれで刺されたら雑菌入って厄介なことになりそうだ

さて どうしよう

逃げるか 走るのって好きじゃないんだよな
走ってこけたら 相手に刺してくれっていうよなもんだしな

ああいうの振り回す方が疲れるんだし

黙って後ろから刺すってやりかたもあるのに そこまで卑怯じゃないんかな この人

「お・・・お前 逃げんのか」


「走ったらこけるような気がする それに走ると疲れるし
仕事帰りなんだ 必要以上に疲れたくない」


「わっ われは~~~~~!」


ああ かなり怒らせてしまったようだ ぶんぶん包丁を振り回しているぞ 疲れるだろうに


怪我したくないし 怪我をさせるのもいやだな

「で?何処を刺したい?」

相手が呆気にとられる 根はお人好しなのか長介さん
重ねて問うてみる

「腕か 足か 腹か それとも胸か もしくは全部でめったさしか?」

そこで考えるのか 面白いなこの人


「じゃ・・・じゃこしいわ 全部刺したる 逃げるなや!」


冗談 僕は勿論 よける 刺されたら痛いじゃないか
長介さん 酒が入っているのか ふらついている

ーと僕の目に入り耳に聞えてきたのは・・・・・・

「ワレラニマカセテオクンナセエ」
仏壇の集団だったー

「!」声も無く 長介さんは倒れる


新手の仏壇達はこう言った
「オマタセイタシヤシタ ホカノヤツラヲヒロイニマワッテオリマシタンデ ゴアイサツガオクレヤシタ
コレカラワレラモ ヨロシュウニ オネガイシヤス」

「それはいいけど そういう口調というか物言い 何処で覚えたのかな 関西弁らしいのとか 話し方がそれぞれ違うよね」

「ソレゾレニ キニイッタコトバヲツカッテオリヤス  アッシハコノモノイイガキニイッテオリヤスンデ」

こうして僕が世話する仏壇は一気に60を越えた
まだあと40近くが行方不明なわけだ



「だんだん集まる」-8-

2018-08-30 15:15:24 | 自作の小説
「それにしても いい度胸してるんだ ボン」

きょとんとする僕に徳二郎さんが笑う
「ガラの悪い言葉ですごまれたら怖かないかな しれっと顔色変えずに撃退 なかなかのもんさね」


「眠かったんで」

そう答えたら徳二郎さんは大笑いをした

それから数日してこの事が耳に入ったのか 馬場の唐十郎さんが竹刀を提げてやって来た
時間あるならやらないかーと言う

「剣道なんて高校の授業でしか」と答えたら素振りをするだけでも体に良いからーと
それから時々教えてくれるようになり

いつか何処からか面をつけた人形を持ってきて 「面」「胴」「籠手」と言いながら向かうようにと

すると「おお面白いな」と徳二郎さんも加わるようになった



剣道をしていると姿勢が良くなる聞く
きちんとしたやり方で竹刀を振るとかなり汗をかくのだ
慣れてくるとその疲れ方や汗のかき方が心地よい


根は人見知りな所がある僕は 人と打ち解けることはそう多くなかった
唐十郎さんや徳二郎さんの人との距離の取り方が何故かとても気が楽だ

ずうとここでこうして暮らしてきたような気分になる

謎の仏壇達と会話して

何か不思議だ


仏壇達に尋ねたことがある
「いつから ここにいるのか」と

大抵

「ソンナ ムカシノコト オボエテヘンワ  メンドクサイ」

そういう答えが返ってくるのだが

ある時

「サイショハ ブツダンヤナカッタ  モットチイサナコヤデ カナリトシノイッタオンナノヒトト イッパイノコドモタチガ

ーゴメンナサイ ゴメンナサイ  ヒドイコトヲシマシタ  ダケドヒドイコトヲシタニンゲンタチモシニマシター
ーダカラ ドウカユルシテクダサイ ユルシテクダサイー
ーオソナエデキルモノハ コレダケデス ゴメンナサイー

ノニサクメズラシイカワイイハナ オイシイイズミのミズ  モリノクダモノ
ハタケデヤットトレタヤサイ

チイサナテヲ キズダラケニシテ ソナエテクレタ」


「チイサナコドモタチヲノロエナイ オコッテハイラレナイ」

「コノコタチヲマモッテヤリタイーソウ オモウタンヤ」

「ワシラハイツカブツダンニナッテタ ワシラヲミエルニンゲンニハサワルコトモデキル
カタチアル コノヨノモノトシテ」

「チョウドイマ アンサンガワテラノコトガミエテ コトバモキコエルヨウニナ」

「サイショノワシラハ タタリガミカ マノモノヤッタカモシレン」


祟り神 魔の者
それが子供達の祈りで鎮められ変じたということか

「デモ フシギヤナ アンタハ ドンナコトニモソウオドロカン コワガラン
タダ ソウイウコトトシテ ウケイレラレルンヤナ」

「タンニ ドンカンナダケカモ 
ココロノフカンショウカモ」

「ココロデヨカッタナア コレガカラダガフカンショウヤッタラ メチャクチャナンギヤサカイニナ」


黙ってっ聞いていたら随分なことを言われているのではないだろうか





そこには何かの「怪物」が存在しているのだろうか

2018-08-30 14:56:27 | ひとりごと
真偽は知らないけれど
18才くらいの身で 足も震えていただろうに記者会見し 「真実はこうだ」と話す
どれほどの勇気が要っただろう

朝からの映像を観て心がいたんだ

ただ一所懸命に体操の練習がしたいだろうに

その組織の人間達が邪魔をしている

選手が望むコーチから いかなる力が名誉欲が裏で働いているのか知らないが
どれほどの醜い思惑がこの選手を追い詰めているのか

以前に読んだ記事を思い出した

あるところに所属していないと良い得点が出ない・・・
そこまでの嫌がらせがあるーと


そうした裏の権力により「潰された選手」もいるのだと

数年おきに書かれる何かキナ臭い記事


18才ばかりの選手の言葉を 「ほとんどが嘘だ」と言った言わないの問題にすり替えようとしているように見える体操協会側

どちらが卑劣だろう


個人の力は弱い

組織ぐるみの「言うことをきかない選手潰し」に見える

選手とコーチと

選手のことをよく知らない分かっていないコーチが付けば選手をつぶすことにもなりかねない

自分こそがこんなすごい選手を育てたんだと周囲から称賛されたい為に たかが18の小娘が言う事をきかないと生意気なー

もしもそういう思いからのことなら

将来有望な選手の引き抜きをはかったのなら

選手は利用するためだけのものという考えに陥っている人間がいるのなら

そうした人間が「大きな力」を持ってしまっているとしたらー



私はただただ宮川選手が可哀想でならなかった
彼女の道が拓けますように!

観ているドラマから

2018-08-29 10:11:30 | テレビ番組
「dele(ディーリー)」
本多孝好原作からのドラマ
金曜ナイトドラマ深夜放送

依頼人の死後に使用していたパソコンとか携帯などに残る記録を消去する仕事をする会社「dele.LIFE」

病気から車椅子を使うようになった坂上圭司(山田孝之)と部下の真柴祐太郎(菅田将暉)二人きり
前回放送(第五話)では坂上とかつては恋人同士だったように思える沢渡明奈(柴咲コウ)が登場
意味深な会話を交わしていた
この回には会社の依頼人である天利聡史 ( 朝比奈秀樹)が交通事故で重体
その所有するデジタルに残るファイルの消去について確認に真柴が出向く
天利の自宅前で出会った楠瀬百合子 ( 橋本愛)は天利の幼馴染で婚約者だと言って真柴も天利の入院する病院へ連れていかれる

だがー実は天利は他の女性と婚約している
百合子はどうにかして天利のファイルが見たかったのだ
何故ならずっとずっと天利の事が好きだったから
天利ほど好きになれる相手には出会えなかったからー


橋本愛さんが出ているだけで いつもより真剣に観てしまいました・笑


このドラマだと山田孝之さんと菅田将暉さんの雰囲気が時々ひどく似て見えて 最初の回の放送ではこの二人が兄弟という設定なのかしらと思ったほどです

他の出演者としては坂上の姉で坂上法律事務所の所長でもある弁護士に 麻生久美子さん
「dele」はこの姉の舞の事務所からの仕事も回してもらっています

いわば仕事としての世間との橋渡しというか

↓このドラマの詳しい情報あるサイトさんです
もしも興味を持たれたら

http://dele.life/

https://dorama9.com/2018/05/25/dele-cast/

https://hitokoto-mania.com/story-dele/





音ばかりの雷に諦めて水撒きすること

2018-08-28 14:09:22 | 子供のこと身辺雑記
9月になれば姑の誕生日
昨日 普段に気楽に着られる服を数点選んで買ってきました
これと現金少々つけて誕生日のプレゼントにする予定です

長男はお勉強会で京都行きと岡山に数日あり 毎日家から通うか宿泊するかで思案中
岡山は泊りがけになるかなと踏んでいますが


それに毎月恒例の病院行きに

出費を大雑把に計算し
さて!
一昨日 夜から携帯の充電がおかしくて -充電かけてるのにできていない状態

携帯が死んでも困るのでご近所の電話屋さんまで行ってきました
買い替えになったら〇〇万円くらいかかるよねーと一応お金は用意して

そしたら携帯本体は大丈夫♪

充電器の買い替えで済みました
いや~~~~安く済んで良かったです
ほっとしました

姑の家の夕刊には翌日の占いが載る欄があります
夕食用意に行っては読んでいるのですが 昨日の夕刊で今日の私の運勢は
「棚から牡丹餅」(笑)でした
きっとこの修理費用が思ったより安上がり
このことで占いは「当たった」んだと思うことにしよう


専ら占いを読んでも悪い事だけ 起きないように気をつけます

出しゃばらない
控えめに生きる
とにかく何が何でも安全運転とかね

守れているとは・・・・・限りませんがーー;


ところで ずっと半時間ばかし雷鳴轟けど 雨は降ってまいりません
降るのを待ちきれず水撒きしました

降るかと期待したらー降らない雨です

この箱 誰のもの

2018-08-28 10:01:19 | ペット
先日 長男が買った荷物(倖田來未さんの)が届き 大切な中身を取り出したあとの空箱が部屋に置かれている

すると大きさが丁度良いのか猫達が入るようになった

今朝は瑠奈が先に入り 長男が起きて来るまで中に入っていた
大好きな本体(長男)が起きてきたら もう箱には用がない瑠奈さん









携帯を向けたら あれこれポーズをとってくれた瑠奈







自分も入りたいのに瑠奈が先に入ったから 箱をとられた気分の麦丸


「だんだん集まる」ー7-

2018-08-27 13:59:40 | 自作の小説
遠巻きにしてしんからは打ち解けない村の人間達
鈍感な僕でも思い当たるフシはある

昔あった何か

その何かは ひどく居心地が悪い

相手が心の底から笑っていない 本当の顔を見せていない感じ

僕の前に仏壇の世話をしていた人間について具体的に仏壇に問うと 仏壇達も途端に歯切れが悪くなる

「マ~~~~ソウヤナ ホレ ソコハコジンジョウホウトカニナルサカイ」
「ヤヤコシイジダイヤケドナ」

「ニンゲンヨ」

冷たい眼で睨んでやったら 仏壇達は話題を変えた

「ソレヨリナア アンサン キィツカヘンカ  キテル」

「チョットナ ムカシカラヒネクレモンデヒトミシリナンガナ チカクマデキテルワ」

「マタオセワヲオネガイスルノガフエルワヨ」

仏壇達は他の仏壇が近くまできているというのだった

新手のお仏壇・・・・
楽しみなような面倒なような

そう言われると「村のよろず屋」への行き帰りも少し気をつけるようになる

背後から音がしないかとー

ーず・・・・・ごとり・・・・・

そうそう例えばそんな音

ごとごと・・・・ごとり・・・・・

こちらが立ち止まると 後ろの音も止む

ごとごと ごと

「もし そこにいるのが帰ってきたお仏壇さんなら どうぞ大広間に仏間に行って下さい」
そう言ってみた
古民家に帰り着くと「どうぞ」と大きく戸を開けた

すると
ぼ~~~~ご~~~~
気が抜けるような音が大広間に向かった


新しく現れた仏壇はまだ何もない壁の角に落ち着いた

「アキレルナア ソナイハナレヘンデモ」
などと前からいる仏壇達に言われている

僕はまた花を買ってこないといけないなと思っていた
「とりあえず ごゆっくり」

そう仏壇に声かけて眠ることにする
午後2時か3時あたりまで眠るつもりだった


「ド厚かましいガキが居てるのはここかい!!!」
「出てこんかい わりゃあ」
玄関からひどく賑やかな声がして一応ある呼び鈴が激しく音を立てた


僕は睡眠不足を何より嫌う
予定したぶん眠れないとひどく不機嫌になる

起き上がり寝間着にしている和装ゆかた男性用のまま玄関を開けた

「ほんまにぼ~~~っとした顔のガキや たいがいで出ていかんかい
どうせごじゃしとうやろ 儂が確かめたる」

勝手に上がりどんどん奥へ行き 例の大広間の前に

部屋の中からは家を破壊するような激しい物音がした

「な なんじゃいこれは」
柄の悪い物言いの男は僕を見る

さ~わからないというように僕は軽く両手を広げた

男が襖を開ける

大広間の中には何も無い
仏壇達は姿を隠していた

今度は部屋の外から音がする
何か重たいものを引きずるような音
どんどんと何かが暴れ回るような音


「どういうこっちゃい?」

僕は澄まして言った「何のことです」

「聞・・・・聞えんのか あれが」

「別に何も ところで何の御用です」

「おう!それよ!」
途端に男は勢いづく
「この家に居てるのが気に入らん  なんもよそもんに管理してもらわんとも儂が住んだる」

「そういうことなら馬場本家の婆様か唐十郎さんに直接言われたらいいでしょう
僕は自分の仕事をしているだけです」


「なにおう 若造が生意気に とっとっと出ていかんかい 出ていけいうたら出ていけ!」

「へえ」と僕は眉を上げる「貴方が?何の権利で?」

「うるさいわい 儂が出ていけいうたら素直に出ていったらいいんじゃ」

男は大声で喚き それが聞こえたのか
人が集まって来るざわめきが聞こえた

「僕はここの管理を任されている棺野守人と言いますが 貴方は一体何処のどなたです」

「お前がここにいるのが気に入らんものじゃ いちいち教えたる義理はないわい」

「随分とー礼儀知らずな方ですね」

「言うて分からんかったらなー」

男は殴りかかってきた
僕は喧嘩は嫌いだ
この時の僕はひどく不機嫌だったのだ
身を躱してから蹴り倒してやった
起き上がろうとするのをオマケで踏んづける

「お引き取り願いましょう」


「おお~~~っ そこに不細工にきちゃなく倒れてるのは 馬場の長介さん 
ひさしぶり いつ帰ってきたんです 大きな声では言えない場所から」
わざとらしい大声をかけてきたのは馬場の徳二郎さんだった


「お・・お前 トク」

「そうです 中学で2年も落第していた長介さんと同じ学年になって 進級できるようにお勉強をみてあげた徳二郎です」
などと満面の笑みの徳二郎さん

「し・・・知るかい! 今日はこれまでにしといたる また来るからな 覚えとけ!!!!」

馬場長介は捨て台詞と共に出て行った


「災難でした 怪我がなくて何よりですボン」

「いえ・・・あの人はどういう人ですか」

「何処にでもいる生き方を間違えた半端者  アホなりに金儲けしようと地上げ屋の真似事やらろくな事をやりません
あれで 気のいいところもあるのですがね」

「だんだん集まる」-6-

2018-08-26 19:20:52 | 自作の小説
ー虐殺ー

山の奥にて生きる者は特殊な技術を売り物する
その業を生きる糧とする者もいる
偶々その男にとっては鴉を操ることだった
男が子供の頃から何故か鴉が彼の言葉に従ったので
懐く生き物は可愛い
彼も鴉達を可愛がった

元々男の一族は時の権力者に追われて 安住の地を求め どんどん山奥へと移り住んでいったのだ

村の人間からは変わり者と思われていた男だが 鴉と共に村を護っていた
最初は畑の害獣
鼠とか狸 時に熊など追い払うのに鴉を使っていた


やがて村を襲撃する盗っ人集団にも鴉を仕掛けるようになる
大きな黒い鴉の群れに守られた村

襲われぬ村は裕福になり 他の村の人間から妬まれた

人の妬みほど恐ろしいものはない

怪しい術を使う不気味な村
魔物の村かもしれぬと噂を立てられ 権力者に讒言が届く


今迄 男と鴉達に守ってもらっていた村の人間たちは権力者を恐れて・・・・・
男と鴉達を騙し討ちにした

強い網にからめとられ 鴉達は飛ぶことができず
縛られた男は動けず

そのうえで 火が放たれ男と鴉は焼き殺された

男と鴉がいなくなっても 権力者は「たばかっている」と村を焼き討ちにかけて
殆どの者が死んだ

離れた森に暮らす年老いた巫女と彼女が守っていた子供達ばかりが生き残り 鴉と男と殺された村人たちの魂がやすらぐように祈り続ける



ー更にその昔ー

己の一族の為に命を落とした男の魂は巨大な鴉になった
男の魂持つ鴉は長く その一族を守り続けた



人は裏切る 憎む 妬む 呪う

それでも人は愛する 慈しむ

優しい
冷たい


遠い記憶は甦ることもあれば 消えたまま
忘れ去られたままのことも

百年のちには存在を忘れられる者の方が多いのだ

生きていれば何かと忙しい

目の前の生活が大切

それでもなにがしかの伝承は残る
伝えられる

言い伝え

しきたり

風習

そもそも それがなにゆえなのか その理由は忘れられても

遠い遠い記憶は失われ 不思議のみが残ることもある


時の流れの中で風化して消え去ったほうがいいものもあるのだろうか
それとも続けていくことにこそ意味があるのだろうか



紫陽花の 二度咲きなるも 嬉しやな

2018-08-26 12:19:28 | 子供のこと身辺雑記
今年 早々と咲いたガクアジサイ 終わった花枝を切り落としたら 葉が茂り 今年二度目の蕾をつけて咲きました







鉢植えにしたままの方が私は相性が良いようで 育ったと思って庭植えにすると枯れてしまうことも

このガクアジサイも鉢植えのまま 置こうか それとももっと大きなプランターへ植え替えようかと思案しています


先日 コンビニで買い物したら お支払い金額が1111



ちょっと嬉しくなってレシートをとっております

「マクリントック」(1963年 アメリカ映画)

2018-08-26 10:30:09 | 映画
マクリントック [DVD] FRT-202
クリエーター情報なし
ファーストトレーディング



アンドリュー・V・マクラグレン監督

ジョージ・ワシントン・マクリントック(ジョン・ウェイン)大地主 人望もある

キャサリン(モーリン・オハラ)マクリントックの妻 二年間 家を出ていたが 学校から戻ってきた娘を連れて東部へ行くつもりだと話す



デヴリン(パトリック・ウェイン)開拓民として町に来たが元からの農夫ではなく 父の死により大学を卒業できなかった 知性も気概もある青年




ドラゴ(チル・ウィルス)マクリントックの相棒 家族といってもいい




ベッキー(ステファニー・パワーズ)マクリントックとキャサリンの娘 両親の夫婦仲を案じる 実はデヴリンに惹かれているのだがー




ルイーズ(イヴォンヌ・デ・カーロ)デヴリンの母親 マクリントックがやもめと思い込み住み込み家政婦の仕事を引き受けて 戻ってきたキャサリンにマクリントックとの仲を邪推される



先住民との酋長とも友情で結ばれている大牧場主のマクリントック
政府の決めたことのせいで開拓民たちが不毛の土地に入植しようとする

おりしもマクリントックの大切な娘のベッキーがもうすぐ学校から戻ってくる日
娘の将来についてはマクリントックが考えていることがあった
そこへ二年間別居中の妻のキャサリンが戻ってくる
派手な帽子にドレス
彼女は家政婦のルイーズをマクリントックと愛人と決めつけ高飛車な態度に出る

息子と雇ってもらった恩義がマクリントックに対してあるルイーズはこらえるが 後に反撃に出る
理性的に しかし厳しく


話があるといったキャサリンを置いて町にチェスをしに出掛けるマクリントック
怒ってキャサリンはデブリンに馬車を出させ追いかける


マクリントックはチェスをやめず キャサリンは店で夜明かし 椅子で寝る

マクリントックがチェスに勝ちかけていたが デヴリンはまだ勝てるーと

起きたキャサリンに店の主人は昔の想い出話をし キャサリンはほろりとする


意地っ張りなキャサリンは 実はまだマクリントックを愛している

頑固なマクリントックも
無器用なマクリントックは キャサリンをどうすべきか思いあぐねてはいる

開拓民が娘がいなくなった インディアンがさらったに違いないと インディアンをつかまえてきて首吊りしようとしている
ーと知らせが入る
保安官と共に駆け付けるマクリントック
政府の邪魔にはなるが役には立たないお役人
マクリントックが余り好きではない町の有力者

開拓民の娘は男と遠乗りに出かけ道に迷っただけだった
ここからとっても楽しいマクリントック側と開拓民
そしてキャサリンも加わった大乱闘 殴り合い大会が始まり 皆坂道を滑り落ちドロドロになる

どろんこ状態で帰宅するマクリントック御一行

喧嘩では夫側の味方をし(マクリントックを落とそうと突いて逆に自分が落ちてどろんこになり マクリントックに「わざとやったわね」と怒る場面あり
ー自業自得じゃん・笑 お茶目な奥様である)
なのに帰宅したら 冷たい 女はわからんとぼやくマクリントック 一緒にどろどろになって帰ったのに

ドラゴと泥まみれのまま酒を飲み どうかしている自分達を笑い合う

マクリントックの家で長年 料理人をして マクリントックがルイーズを雇ったから これからは料理をつくらないでい
家族としていてくれーと言われた男も呆れている


娘を駅へ迎えに行ったマクリントックは釈放された友人のインディアンの酋長と会い 政府との交渉の協力を頼まれて快諾する
喜劇調ながら先住民のインディアンを迫害している政府についても描かれている

シェークスピアの「じゃじゃ馬ならし」を下地にした映画ゆえ あまり深刻な戦いは出てきませんが

デヴリンはいきいきした魅力溢れるベッキーに惹かれます
けれど同じ汽車で町の有力者の息子も大学から帰ってきていました

父の死により大学を辞めて 農夫となり 今はマクリントックの使用人である自分
プライドある若い男性には辛い立場です

雇主のお嬢さん

けれどマクリントックは使用人とか身分とか そんなことは気にしておりません
デヴリンを見どころある青年と温かく見守っています
それはデヴリンにとって死んでしまった父親のようでもありました

ルイーズは保安官と付き合っていることから キャサリンの誤解もとけます
つんつんと素直じゃないキャサリンですが


交際を申し込んできた男の馬がいなくなり 馬車で送る事になったデブリン
馬車の中で男と一緒に歌うベッキーの様子がカンに触ります

ベッキーとデブリンは大喧嘩しながら戻ってきました
ー結婚前に男にキスさせるような女はーそうデブリンが怒り(実は好きなベッキーが自分以外の男とキスするなんて許せない)

ベッキーは侮辱されたと怒って 父親のマクリントックにデブリンを撃ってと言うのです
言われた通りデヴリンを撃つマクリントック(ただし空砲で)

撃ったマクリントックにひどいわ!と怒るベッキー
理不尽だ 自分が撃って!とせがみながら
さすが あの母親の娘だわ

かと思えば 夫婦仲を心配し狩りに出た父を追って話しかけるところも
マクリントックは自分の死後 その殆どの土地を寄付するつもりだと話した

ベッキーには 自分がキャサリンと所帯を持った頃と同等の規模の牧場をのこすつもりだと

大金持ちで大地主だと財産目当ての求婚者がひきもきらないだろう ベッキーは美人だし
男が群がってくるだろう
しかしそれはベッキーの為にはならない

この父親の気持ちが いつかベッキーにも理解できるはずだと


マクリントックなりの形でインディアンを助け 持ち上がる揉め事も保安官に協力し解決していくマクリントック


遂に妻とも決着をつける時がきた
形勢不利と見て逃げ出すキャサリン


これは面白い見ものだと キャサリンを追いかけるマクリントックのあとについて回る人々
逃げ続けるキャサリンはドレスも破れ どんどんぼろんちょの姿となっていく
遂に下着姿にまで
(モーリン・オハラさん 綺麗なおみ足です)

保安官とルイーズの所へ逃げ込み隠れてほっとしますが ルイーズがマクリントックに大声でキャサリンの居場所を教えました

かくしてキャサリンはお尻をぶたれてマクリントックからお仕置きを


ベッキーもデブリンにお尻を叩かれても愛を深めたようですし そういう家系なのでしょうか・笑
(私なら たとえ自分の方が悪くてもお尻なんて叩いてきたら 根にもってやりますが)

マクリントックとキャサリンは仲直りをし 平和に夜は更けていくのでした


随所に楽しい場面があるおおらかな西部を舞台にした映画です


「黄金のアデーレ 名画の帰還」(英米合作 2015年)

2018-08-26 01:18:32 | 映画
黄金のアデーレ 名画の帰還 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ギャガ



ナチス・ドイツにより戦争中 奪われた財産・多くの美術品
想い出の絵画を取り返すまでの戦いー現実にあった裁判を描いた作品です

姉の葬儀後 マリア・アルトマンは若手の弁護士のランディと時に喧嘩しながら一つの目標に向かって進んでいく

それは長い戦いだった


第二次世界大戦中 マリアはオーストリアで両親やおじ夫婦と裕福に暮らしていた
多くの美術品
人も羨む暮らし
壁に飾られたクリムトの描いたおば・アデーレの肖像画


結婚式の日 譲られた豪華な首飾り

幸福な日々

でっちあげられた父親の罪

脱税しているとの言いがかり

監視と称し入り込んできた軍人達

マリアの一族はユダヤ人だった

生き続ける為に マリアと夫は逃げ出した

ナチス・ドイツにより奪われた多くのモノ
人の命

現在 絵画を展示する美術館
困難な戦い


戦争と迫害された経験のないランデイはマリアとは取り組み方も心の在り様も違ったが

ある時 先祖のことに思い至る

決まっていた大手弁護士事務所への仕事を辞めたことで 妊娠中の妻は怒るが そのやむにやまれぬ気持ちを伝えるランディ


その努力が実り ついにマリアのもとへ絵画は返される


勝利の喜びよりも・・・・怒涛のように押し寄せる想い出にマリアは涙する



静かな語りが入る
絵画のその後と 戦時中奪われた10万点の美術品は まだ正当な持ち主に返却されてはいないのだと

過去と現在とー


きらびやかなマリアの若い頃の生活

不気味な影漂わせる軍人たち

その手を逃れ脱出する時のはらはら感


絵画を所有する美術館側の強欲
嫌な感じ


ひたすら頑張る若い弁護士ランディ

いつ終わるともしれぬ裁判に疲労してくるマリア


実話の持つ力なのでしょうか
静かに心にせまってまいります


田中啓文著「鴻池の猫合わせ  浮世奉行と三悪人」 (集英社文庫)

2018-08-26 00:48:36 | 本と雑誌
鴻池の猫合わせ 浮世奉行と三悪人 (集英社文庫)
田中 啓文
集英社




侍をやめて職人として生きる竹光屋雀丸
横町奉行もしているが それは無報酬

食い意地の張ったーいや 食道楽で酒好きの祖母と二人暮らし

頭も切れる 腕も立つ 度胸もあるーとなると 彼に思いを寄せる娘も出てくる

同心の娘 お園

雀丸もお園が気になる様子だが ここにお園にとって強力なライバルが登場した

豪商の娘おさき
天真爛漫 こわいものしらず

この縁談を断ったつもりの雀丸だがー
雀丸をどうしても婿にほしい鴻池父娘は 何か仕掛けを考えている様子


「ご開帳は大乱調の巻」
「鴻池の猫合わせの巻」
「出入りの毎日の巻」


一番の猫を決める猫合わせから起きる騒動
川に現れた海坊主
坂道を転がって来るという面妖な蛇

時ならぬ妖怪騒ぎ

困っている人から金をだまし取るインチキな一味

親分を殺して置いて他の人間のせいにして さらなる縄張りもぶんどってしまおう
ぶんどってしまおう

そんな狡い悪巧み

あれこれ解決していく雀丸

女難も始まったもようです

「だんだん集まる」ー5-

2018-08-25 09:39:27 | 自作の小説
こうして唐十郎さんを目の前にして いい機会だから尋ねたいことはいっぱいある
ーあるのだが 中には立ち入りすぎてはいないかと思うこともあって 何から聞けばいいのかー
考えるうちに尋ねるきっかけを失う


「履歴書に家族は母とあったけれど 君はお母さんに似てるのかな 
君のお母さんは どういう人なのだろう」

逆に質問されてしまった・・・
「外見はどうなんだろ 自分ではわかりません
母は突拍子もないことを思いつく人で 学生時代 僕の方が帰宅が遅い時には駅まで車で迎えに来て
僕が車に乗ると

ー待ってる間に考えたの 乗ってきた守人が本当は守人やなくてね 他の何かの化け物だったら怖いと思わない?
念のため 合言葉を言ってごらんー


ーいや合言葉なんか決めてないしー

ー家族だから遺伝子でわかるはずー

ーわかるかい!-

ーあ 偽物かも~~~-

よくよく僕をいいオモチャと思ってるみたいで」


思いつく母が僕で遊んでいる会話とか 母が学習塾で教えていることなどを話した

やがて唐十郎さんは「仕事があるから」と立ち上がる

「あのー」

うんというように僕の顔を唐十郎さんが見る

「あの仏壇がいる部屋は あの大広間は何の部屋ですか」

「仏間」ぼそりと答える唐十郎さん

ぶ・・・仏間

「仏壇を置くための部屋 あれは あの場所に仏間として作られた」


「でもあの仏壇達は普通の仏壇ではありませんよね」


「あの仏壇達はあの場所に置く為に作られて ずっとあの場所にいた
それが然るべき人間 君が来てくれたので帰ってきただけだ」

「僕が知りたいのは どうしてあれだけの仏壇が作られたのか あれだけの数の仏壇が置かれるようになったのかーです」

「いわれは知らない ただ仏間から仏壇が消えるとこの村は滅ぶ 無くなる
そう言われてきたらしい
現に仏壇が消えてから 村の人口はかなり減った

高齢化に過疎

こんな山の中の村だ 仏壇のせいばかりとは言えないだろうが」


いわれは知らないーって無責任なような気もするけれど

「仏壇は大切に扱われるべきものーとだけ 昔ここに居た人間は思っていた
だから心を込めてお世話するのだと」

それなのにーいなくなった
この村を出ていったのだろう
一体どうして

唐十郎さんは何をしたのだ
自分のせいだと言った

昔 何があったのか


「あ・・・仕事ってー」

「ちょっと株をいじってる 学生時代に始めてねー道楽みたいなものだ」


「だんだん集まる」ー4-

2018-08-24 15:33:49 | 自作の小説
仏壇の言葉で気になったのは 世話してもらうのが久しぶりだということ
つまり以前にも何処かで誰かの世話を受けていたということ
それがどうして放浪仏壇になったのか

十(とお)の仏壇にご飯を置いてから尋ねてみた

「ワテラハナ ココニオッタンヤ」
「ホンマモンノオカタヲマモレへんカッタンヤ」
「ダッテ マモラレタイトオモッテナカッタ アノヒトガココロノソコデハ ノゾンデイタコト」
 
「ソヤナ ムズカシイトコヤッタ 」

「アノヒトノオモイ ネガイヲカナエテアゲタカッタ」

「ダカラ ワテラハ アノオカタニ ワテラカラジユウニナッテモラッタ」

「コノママ ココニイテハ アノヒトガツラスギル
アノヒトガ ナクノヲ ミテイタクナカッタ」

「デモ ホントウハ ズットココニ ミンナカエリタカッタ」


「アリガトナ イエニイレテクレテ
ヨウ コノムラニキテクレハッタ」

「アンサンガ コノイエニキテクレタカラ スンデクレタカラ ワテラモココニモドレタ」


つまり僕以前にこの家に住んでいた人間は ずっとこの仏壇達の世話をしていた
けれど何か辛いことがあって ここで暮らせなくなって
仏壇達もその人の苦しみを見ていたくなくて

ーそして誰もいなくなったー

この家に僕が住み始めたから 仏壇達は帰ってきた

帰ってきた お仏壇達

しかし仏壇が十納まっても まだ広すぎる空きスペース
気を回してしまった
「それでいなくなったお仏壇さんは 君たちで全部ですか」


動かないはずのお仏壇達なのに 皆が顔を見合わせたように見えたのは何故だろうか

首振る仏壇
それはホラーな状況の筈だが 何故か笑えてしまう

「ワタシタチハートイウカネ  ココニハ ゼンブデヒャクノブツダンガイタワ」


ヒャ ひゃ ひゃ・・・・ 百ぅ?!
今いるのの10倍・・・・・・・


「か 帰らせてもらいます」
思わず 言うと



「ソンナ セッショウナー」

「マアマア ココハヒトツ オチツイテ」
「イソガバマワレ イイマッシャロ」

「アワテルコジキハ モライガスクナイートモイウワ」

「ホンマヤナ ワテラ ウタッテタノシイ カシマシブツダンヤデ」

「ボケトツッコミデ ナカヨクナレソウヤナイカイナ」


勝手に仲間に入れるな~~~~とも思う
こののりは誰かに似てる

ああ母親か
「君が眠っている間に 下唇に辛子 上唇に山葵を塗っておいてあげよう
食べた物が とても斬新な味がするはず」

「せんでええ そんなこと えらい迷惑や」と言ったら

「冒険心の無いコ いい若い者がもっとチャレンジ精神を持ちなさいよ」

何処の母親がそんなアホなことを言うだろう


しかし 前にいた人間は百の仏壇の世話を毎日していたのか

何故?!


「ホンマモンノオカタノオヤハナ ホンマモンヤアラヘンカッタ」
「ソレデ ワテラガニセモンニオコッテ ワテラガアノオカタノリョウシンヲコロシタト オモワレテル」

「ワテラハ タダアノオカタヲマモッタダケデ アノオカタノオヤハ コロシテナインヤケドナ」


「マダチイサイアノオカタガ ウマレテ コノイエデクラシテ ホンマニウレシカッタ」

「タカラモノノヨウニ オモッテイタ」


前にいた人間の親は殺されたのか
それが仏壇の祟りのように思われている・・・・・

「オウタバカリヤケドナ アンサンモソウヤデ」
「ワテラノタカラモンヤ  ヤットアエタ  
オオキニナ オオキニ」

「ダカラ デテイクナンテ サミシイコトイワナイデネ」


そんなふうに仏壇達と話していると 玄関から声がした

来たのは唐十郎さんだった
酒瓶を提げている

「ちょっと上がらせてもらうよ」と言って大広間へと歩いていく

そして
唐十郎さんは並ぶ仏壇を見た

深い吐息

「君が仏壇用のお花をいっぱい買って帰ったと聞いてね
そうか もうこんなに戻ってきたのか」


唐十郎さんは懐から杯を出し 一つ一つ酒で満たしながら 仏壇に並べていく
仏壇達に「お帰り」と声をかけた


当然のこととして 僕は唐十郎さんに尋ねた
「これは どういうことです」


「素面では話しにくいが 酔っても君に失礼だな」
大広間を出て内庭を臨む縁側に腰かけて 考えるように唐十郎さんは顎をさする
若い頃はさぞ美男子だっただろうと思える品のある顔だち

「昔 あの仏壇の世話をする人間がここに住んでいた
あの仏壇達が見える 交流できる人間でなければ あの仏壇をこの家にとどまらせる
呼び寄せる力を持った人間でなければ この家では暮らせない

婆様は君にその力があると認めた
婆様は間違ってはいなかった」


「前の人は どうしていなくなったんです」


「それは全部 わたしのせいだ」


「いったいー」


「悪いが勝手だが まだ言えない
ただ わたしは君がこの家に住んでくれて嬉しいよ」

大きな虹を見ました

2018-08-23 21:04:04 | 子供のこと身辺雑記
深夜から明け方 暴風域に入るらしいです
家中の雨戸は早々と閉めておりますが 夕方近く通り雨のように少し雨が降りました

姑の家からの帰り道
東から南の空へと虹が出ておりました



携帯なのではっきりとは写っておりませんが