買い換えた電子レンジ 無事に届きました
朝一番に配達 設置して下さって
付属の説明書とレシピ本
使う前に まずは嬉しがって眺めています
で電子レンジ配達 設置の方が帰られたタイミングで電話が鳴って
今度はトイレのリフォームの見積もりの方が間もなくこられるとのこと
ついでに天井 壁紙 床のとかも一緒に決めて ほぼ担当さんの「おすすめ」にお任せ
工事の方の都合もあり 作業にかかれるのは9月後半とのこと
3~4日内に終わるそうです
目指せ 人並みな?!生活・爆
ー2-
雨が降り続いている 普通の雨音ではなかった
その激しく降る雨の中 酔狂にも秋夜(しゅうや)が傘を手に取ったのは何故か先日見た蛇が気になったからだ
沼を泳ぐ黒い蛇
ただの黒ではなく中央が緑色に輝いている
その色目の美しさと泳ぐ姿の動きに心ひかれるものがあった
ーあの蛇は無事だろうかーと不意に気になったのだ
女嫌いの人間嫌いと噂されるこの男が
沼に行って逢えるものでもないのに
半ば自分を嗤いつつ彼は沼へと向かった
その沼へ向かう道で彼が遭遇したのは 蛇ではなく人間
それも女性だった
地面に座り込んで ただ雨に打たれている
背を覆う長い黒髪も濡れている
着ている着物もぐっしょり濡れて はっきり色が分からない
一体いつから濡れているのか
さすがに放ってはおけないーそう思ったものか
「道に迷ったにしても濡れない場所で雨宿りしたほうがいい」
女は秋夜を見上げて言った
「それすら分からない どうしてここにいるのか 己の名前も思い出せぬ」
まともに顔を上げた女は息をのむほど美しかった
秋夜が言葉を返せずにいると女はこうも言った
「気が付けばここにいた だからこのままいると思い出せやしまいかと こうしている」
女も随分な変わり者のようだった
濡れ続けていては風邪をひくーなどとは思わないのか
「死んだ母は俺が秋の夜に生まれたからと秋の夜と書いてー秋夜(しゅうや)と名付けた
随分能天気な名付け方だ
不便なら名前が思い出せるまで俺が呼び名を考えよう
取り敢えず この雨から避難しないか」
女は答えた「お前は随分と変わっている」
それでも女は秋夜についていき
秋夜は記憶を失ったこの女を銀季夜(しろがね きよ)と名付けた
近隣の者には 遠縁の娘として紹介することにする
事故で記憶が戻らぬゆえ 空気の綺麗なここで養生すべく預けられたのだと
ー1ー
其の地を守る者は藍色のしるしを持つと言う また選ばれし者にも
遠い昔 好色な権力者がいて その者は目を付けた女は構わずさらい我が物とした
さらわれた女は幽閉された場所で自害
妻をさらわれた男は その死を知ると幼い娘ゆうを連れて人里離れた山奥へ逃げた
男は妻の忘れ形見の娘を可愛がったがー暮らしの為に猟をしたり畑もしなくてはならず
ゆうは寂しさのあまり近くの沼のほとりで よく泣いていた
その泣き声は沼の底に通じる異界にも聞こえたのだ
くすんくすん おかあさま くすんくすん
家で泣いたら父親が辛い顔をする
だから おゆうは外で泣くのだ
ひとりで元気に遊んでいるふりをして 帰りには花を摘んで帰り 父親が母の形見の櫛を置く場所に供える
ゆうの泣く声が 言葉が ある者の心を動かした
ーあの者は何をそんなに泣いているのかー
それは ただの気まぐれであったかもしれぬ
寂しいと言うゆうに 其の者は答えた
「我が名は水都(みずと)だ お前には
では我が友となってやろう」
酔狂な水都の振舞を妹は危ぶんだ
「兄者 そう情を移しては 彼らは定命の者 兄者が辛い思いをする時が来る」
妹に彼は言う
「人の世は騒がしい 好かぬ
なれど存外に童(わらべ)は可愛いものよ
妹よ 我は飽きたのだ
此の終わりなき生に疲れた」
童はじきに美しい娘となる
隠れて暮らす父娘ではあったが
その父が病んで ゆうは助けを求めて人里へ下りた
下りてしまった
親切な人が薬をわけてくれたが ゆうの美しさは人目に付いた
そして美しい娘が 山奥にいるらしいという噂は あの好色な権力者の耳にも届いてしまった
まだ見ぬ娘をとらえようと山狩りが行われた
かつて妻を奪われ 今度は娘が
自分の為に薬を求めて人里におりたばっかりに
娘を庇って戦った父親は斬り殺されて
ゆうは逃げた
幼い頃の恐ろしい思いが蘇る
逃げなくては
鬼に捕まる
母は鬼に殺された
鬼に捕まるくらいなら いっそ いっそ
ゆうは沼に飛び込んだ
沼の水は優しくゆうの体を包む
岸辺では「死体でもよい とらえろ」と無慈悲な声がする
水底では「兄者 掟に逆らうことになる」そう妹が止めていたけれど
「掟が何だ かようなものに縛られて何とする
俺は俺はー」
龍が暴れて沼の水は溢れ ゆうを追った者達を呑みこむ
大きくはねた波は かの権力者の館も呑みこんだ
龍の鋭い爪が権力者の体に食い込む
「ゆう ゆう 俺はお前と生きる」
ー兄者 兄者 たかが人ひとりの為に全てを捨てたー
「済まぬ妹よ あとは全てお前に任せる」
烈しい雷雨は三日三晩続き その後はただ時間が過ぎていった
ただ山奥のその沼を守る者は今もいる
代々のつとめとしてきた家の者が
両親の死後 祖父に育てられた月静(つきしず)秋夜(しゅうや)
大学を卒業し 一度は街で暮らしたが 祖父が病気になり山へ戻った
祖父の死後もそのまま山荘で暮らし続けている
それを寂しいとも思わぬのだから余程の変わり者ではあるのだろう