夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

坂木司著「僕と先生」 (双葉文庫)

2020-11-30 21:10:18 | 本と雑誌

 

 

「先生と僕」に続くシリーズ2冊目

 

教わってばかりの人もいないし教えてばかりの人もいないからー

というのが このひっくり返したようなタイトルになったと 著者のあとがきにあります

解説はミステリ評論家の千街晶之氏

 

バレンタインのチョコレートのイベントで伊藤二葉と瀬川隼人が遭遇した犯罪

そこには女怪盗さんらしき人もいて

 

この女怪盗さん どうやら今後も出没

振り回されるのは二葉クン

 

推理小説研究会の先輩が気になるバイト先の人間の謎

 

就職における隼人のひっかかりは隼人の父親に論破されて

 

 

増えたゴミ

誰が置いたのかー

 

 

ラーメン店の店主が依頼主

話しあわなかったことが 問題だったという

 

 

作中で小説紹介もあり

どんな小説が紹介されるのかも楽しみかと

 

 

私はルパン呼びよりもリュパン呼びが好きです

アルセーヌ・リュパンのほうが響きが美しいから

 

モーリス・ルブランの小説 

創元推理文庫と新潮文庫と

十代の頃 書店で買い集めたものです

十代だったから夢中で読めたのかもしれません


「あけぬるを・・・」-4-

2020-11-30 20:38:49 | 自作の小説

ーそしてー

 

追われて逃げて来た人間は 耳に響く声を心地よいものとして聞いていた

まだ夢心地

現とも夢ともつかぬ起き抜けのぼけっとした頭

だんだん外気の薄ら寒さが身に沁みてくる

この声は何処から聞こえてくるのか 目覚めて来ると不思議に思う

声は聞こえる

誰かいるのか

自分の頭がおかしくなったのか

 

目を閉じれば声の主の姿が浮かぶ

「かような話は いかがでございましょう」

目蓋の裏で微笑む美しい女性

 

これは矢張り夢なのだろうかーと目を閉じて男は思う

 

目蓋の裏の女性は言う

「早くお離れなさいませ 此の地は迷子の悪霊彷徨う地にございますれば」

 

男は聞き返す

迷子の?

 

「聞えませぬか あの声が・・・」

 

ー殺める気はなかった なかった 娘を取り戻したかったのじゃ

我が娘 ただ一人の子

 

なのに それが

あの娘を死なせた

にくい にくい ー

 

 

「ただ誰かを呪う為に ああしてずっと漂っているのです」

 

男は気になった

水瀬と千之助はどうなったのか

 

「阿保な妹は尼になった 千之助も出家 此の私の菩提を弔うのだと・・・

成仏できるようになどと・・・」

 

男は 目蓋の裏に姿見せる女性が綾姫なのだと知る

 

血と炎と朱(あけ)に染まった呪われた地

長い事 荒れ果てたまま

 

うすら寒く笑う美女

 

悪霊出る呪われた地

ならば 本当に出るのなら それで一発逆転の金儲けをしよう

逃げてきた男は そう考える

 

 

「好きにすると良い」

亡霊の美女は姿を消した

 

綾姫はすっかり呆れていた

人間というモノに

いつまでも悪霊でいる母も情けないが

どうにか もう死んでいることを悪霊となった母親に知らせようとしたが

 

伊尾子には 綾姫が見えないらしかった

幾百年経とうとも

 

せめてこの地に迷い込んだ人間を悪霊から守ろうとしてきたがー

 

件の男は いわくつきの土地なら安かろうと買い叩き

おかしな建物を建てようとしている

 

 

男の物欲が勝つか 悪霊の伊尾子が勝つのか

 

ーお姉様 もうよろしいでしょう 一緒にまいりましょうー

細い声

ー姫君様 どうかご一緒にー

 

水瀬も千之助も付き合いよく綾姫が別の世界に行くのを待ち続けていた

 

「そう・・・ですね まだ僅かでも魂の破片(かけら)のあるうちに」

 

三筋の光が空にのぼっていく

 

 


「あけぬるを・・・」-3-

2020-11-30 09:47:24 | 自作の小説

―過去の物語ー

 

水瀬は綾姫がおかしくなったという風聞に心を痛めていた

幼い頃よりずうっと庇ってきてくれたと思える優しい女性

大切な姉妹

誰よりも聡明で

「おかしくなった」などとは

綾姫が嫁ぎ そこに自分が必要とされるのならば 喜んでついていこう

一緒にいよう

許される限りずっと

綾姫の傍らにいるのは水瀬の喜びでもあった

 

上津柳(かみつやなぎ)の家の者は 綾姫と同じ顔の水瀬を奇異の目で見た

ただ水瀬の存在を知る者は限られた人間のみではあったが

 

 

水瀬は表向きは綾姫ー綾として嫁したのだ

 

事情を知るのは上津柳の当主夫妻 千之助

重要な使用人のみ

 

綾姫は別に建てられた離れ 出入口には鉄格子のはまった場所へ幽閉されている

 

塀で仕切られた 囲われた庭には座敷から自由に降りることができた

 

水瀬は綾として この離れに綾姫の世話もしにいく

怪しまれない程度に上津柳の屋敷にも姿を見せるのだった

 

嫁でありながら嫁でない水瀬

その実 藩主の姫という身分も持つ

 

真の妻にはできない娘 水瀬

千之助も他人として遇するほかはなく

千之助の両親もそこは同じ

親しくはできないが 千之助の父親は優しい人間であった

忠義者ではあるが 出世するなどという野心はなく家族大事に ただ真面目に生きてきた男

水瀬を気の毒にも思っていた

 

伊尾子のことさらな綾姫溺愛

水瀬への遇しぶりも見てきたから

 

正室様は恐ろしいお方だ

何を恨みに思い どう出て来るかわからない

 

千之助の母は 綾姫の為にも水瀬に優しく接してはならないと思い込み 日頃は上津柳の人間としての振舞を厳しく仕込んでいた

 

ところが母を知らずに育った水瀬には 箸のあげおろし 戸の開け閉め 草履の並べ方

その叱りの一つ一つが嬉しいのだった

 

綾姫のところに行くと 教えられたことを

「ご存知でしたか あれはね このように」

などと楽し気に話す

 

厳しくと縛り付けていた心も そうした水瀬に傾く

 

綾姫がいかに上津柳の家に馴染んでいるか披露する集まりが行われることとなった

 

綾姫が大切にされていると人伝に藩主や正室に伝わるようにと

 

千之助の母は水瀬に見立てた着物と帯を差し出す

「その日には これを身に着けるとよい 色の白いあなたには着映えしましょうほどに」

 

綾姫のところに 水瀬は渡された一式持ち見せに行く

綾姫は言った

「少し袖をとおしてみたい 預からせて」

 

「着付けいたしましょうか」

水瀬が言えば

 

「それには及ばぬ」

そう微笑む

 

本来ならばこの着物に身を飾るのは綾姫であるべきなのだ

 

 

水瀬は綾姫の上津柳の妻としての披露が終れば 城に戻る身でもあった

 

水瀬が城へ戻るのを良しとしない人間もいる

 

上津柳の嫁としての綾披露の集まりの日は またとない好機でもあった

手の者を上津柳に行かせる伊尾子

 

「水瀬を殺し 綾姫を連れ戻るのじゃ」

 

ーただ一人の我が子 もう離れては暮らさぬ

奥座敷に隠し匿い暮らすのだー

 

 

狂っているのは伊尾子かもしれぬ

 

かの手の者は かつて十朱(とあけ)を野武士の仕業と見せて惨殺した者

十朱の娘の命も奪わんとする

その者には伊尾子に忠実であることばかりが己の存在価値

善悪など関係ない

 

ー皆殺しにせよ 皆殺しにすれば 面倒なことは何ひとつないー

 

伊尾子は自分の願いばかりが大切

藩も殿もどうだってよいのだ

 

 

上津柳の家の井戸には毒が入れられた

酒樽にも

 

宴のさなか 毒が効いてくる

苦しみ出す人々

酒宴の席は 地獄絵図と化す

 

宴の指図と段取りの相談受けて 広間を離れていた千之助の両親の居る部屋へ血刀提げた覆面の人間が入ってきた

まず妻を庇おうとした無腰の千之助の父親が斬られる

 

そこに入ってきた娘に賊が向かう

その刃から千之助の母が娘を庇い背中を斬られた

一回転 胸元も斬られる

 

「逃げなさい 逃げなさい どうか無事で」

 

茫然とする娘の体を賊の刀が

 

「目が曇ったか 愚か者め」

斬られながらも気丈に言い放つその声

その強い瞳は

 

賊は 己が斬った娘の手首を取り確かめる

 

そこには水瀬と綾姫が違うただ一つの証拠

小さな紅葉の形の痣

 

賊が斬ったのは伊尾子のもとへ連れ帰らねばならぬ綾姫 その人であった

 

「しまった」賊が声を漏らす

 

 

「父上 母上 ご無事ですか」

入ってきたのは千之助と水瀬

 

水瀬と同じ着物と帯の綾姫が朱に染まって倒れている

 

「おのれ!」

千之助は賊に向かう

 

水瀬は綾姫を抱き起す

「しっかりして下さい これは これは どうして」

 

綾姫は微笑む

「あの母のこと ろくなことは企むまいと 

用心に同じ着物を頼んだのです

 

用心が役に立ちました

 

 

私は そう私が謝って許されるものでもないけれど 

水瀬 ごめん ごめんね

あなたの存在は私の慰めでした

 

母親はちがえど あなたは私の大切な姉妹

いっそ本当に同じ母から生まれた身であったならば」

 

斬り合いの末 千之助は両親を殺した賊を討ち果たした

 

「逃げなさい ここに居ては皆殺される

共に行くのです

この地を離れて暮らしなさい!

誰かが・・・生き抜かねば・・・」

 

綾姫が水瀬に言う

 

いやいやと首を振る水瀬に

 

「私達の因果 断ち切るのです 良いですね

命じます」

 

それが綾姫の最期の言葉だった

 


「あけぬるを・・・」 -2-

2020-11-29 20:45:32 | 自作の小説

ー過去の話ー

伊尾子ーお伊尾の方の頭を悩ませる問題は 娘のこと

ひときわ美しい娘であるのに その心は壊れていた

いつからか奇矯な振舞いが目に付き 正気を手放したように見える綾姫

お伊尾の方には夢があったのだ

将軍の正室となるべく育てられー

 

しかし将軍の周囲は伊尾子を選ばなかった

狷介にして能わずーそんな報告がなされていた

 

誇りばかり高い娘の夢は砕けた

しかも嫁がされたのがちっぽけな貧乏藩

そのうえ藩主は他に愛する大事とする女が居た

顔ばかりが伊尾子と生き写し

どういう皮肉か

 

ー其方は抱かれている間も 蔑んでいるのだなー

己を蔑む女を男は愛さぬ

貧乏藩でも藩主

藩主は側室の十朱(とあけ)ばかりを大切にした

 

昏い炎がじわりと伊尾子の中に広がっていく

伊尾子と十朱 二人の女はほぼ同時期に子を孕んだ

 

藩主は伊尾子が産んだのが女でると知るや

「後継ぎにはならぬ」

冷たい言葉を残す

 

数日遅れて女の子を産んだ十朱のことは優しくいたわった

 

赦さぬ! 許さぬ! ゆるさぬ!

藩主を殺すわけにはいかない

尼寺に押し込められるなどまっぴらだ

 

だが 女なら

十朱ならば どうにかして殺す機会はあろう

にんまりと伊尾子はほくそ笑む

 

殺してやる 殺してやるのだ あの女

 

伊尾子には実家から連れてきている手の者があった

十朱が藩主の代理として ある寺へ行くと聞きつける

 

その寺が 十朱が居る時に野武士に襲われー

散々嬲られてー十朱は殺された

 

藩主は怒り 野武士追討を命じた

 

伊尾子は高笑い

殺してやった 殺してやった

 

 

残るは十朱の産んだ娘

 

あの娘も何としても いじめ殺してやりたい

 

三才になっていた娘は綾姫と同じ顔に育っていた

名を水瀬(みなせ)と言う

 

双子のような綾姫と水瀬姫

 

年も同じ子供達は仲が良かった

まだこの年頃の子供達には大人の事情など関係ない

 

それもまた伊尾子には腹立たしい

 

毒菓子を与えようとすれば 綾姫が食べようとする

ことごとく伊尾子の企みを見透かしたかのように

 

そんな まさかーと伊尾子は思う

 

水瀬を殺し損ね続けるうちに綾姫も水瀬も年頃となった

 

我が娘こそ 将軍の正妻にと願う気持もあったのに

かような貧乏藩では候補にも挙がれず

 

いつか綾姫がおかしくなってしまった

 

なんと不憫な あれほど美しく生まれついたものを

このままでは水瀬が婿をとって後を継ぐのか

 

 

そうはさせぬ

そうは

 

わらわが産んだ娘が尼寺送りとなるなどは

せめて誰かに嫁がせるのじゃ

 

 

嫌いな女の娘でも 自分の娘でもあり藩主にもかわいい

 

大名に嫁がせるのは無理筋でも

誰かに引き受けさせることができるのであれば

 

時々 正気に戻ったように見える綾姫は「あの者がいい」と告げ

その者の家には破格の加増があり 新たな屋敷が与えれた

 

 

その者 上津柳(かみつやなぎ)千之助(せんのすけ)

彼は家老の一族の末端の家の者

 

しかし狂乱の姫を衆目集まる婚礼の場には出せぬ

顔が同じ水瀬が その身代わりとして暫く上津柳の家にとどまることとなる

 

その案を不承不承藩主は呑んだ

 

腹違いの姉妹の綾姫の為なればと水瀬も身代わり役を笑顔で

綾姫は出来得る限り自分の傍らを離れぬようにと水瀬に言う

 

 


「あけぬるを・・・」ー1-

2020-11-29 20:16:04 | 自作の小説

{その地でわたしは夢を視⦅み⦆た

追われ追われて隠れた場所で

束の間の眠りーその中で}

 

 

橋を渡ればTの字形となっている さほど広くない道がある

橋を渡り細い道を隔ててある石段

そう寺などにありそうな長い石段 それを登っていけば板塀と門がある

その先は土地の者は行かぬ場所だ

昼でも寒々しい廃墟

しんと冷えて寒くなる場所

 

夜ともなればなおのこと

何が出てくるものやら

 

逃げる者は 知らずにそこへ逃げ込み いっときの休息を得 疲れが出て眠る

そして夢を見る

 

その夢はー

 

黄緑と淡い卵色の市松模様の着物と合わせた帯が仕上がってくる

それは日頃冷たくあたっている女へのモノ

娘は跡継ぎの嫁としてきた者のオマケとしてその家に来た

大奥様からの贈り物に女は戸惑う

別な人物がこれと全く同じ一揃いを秘かに頼んでいた

「では 頼みましたよ」

 

その顔は かの女と同じ

 

この家には同じ顔をした女が二人いる

 

何かで人々が集まる席

賑やかなー

次々と運ばれる料理

だがー

その場は地獄になる

 

人々が苦しんで死に始めたのだ

 

何が起きているのか

突然の侵入者

血刀提げた男は その家の当主夫婦に刃を向け 座敷に入ってきた女に向き直る

女をいじめていたはずの大奥様は 娘を白刃から庇った

 

「逃げなさい 逃げなさい どうか無事で」

 

大奥様は事切れる

娘は逃げようなく斬られ

こんな言葉を残した

「目が曇ったか 愚か者め」

斬った男は はっとする

斬った娘の手首の内側

小さな紅葉のような形の痣

 

「しまった!」

そこへ入ってきた若侍と 今斬られた娘と同じ顔をした女

 

侵入者と斬り合いとなり若侍が勝つ

 

斬られた娘は自分と若侍と同じ顔の女に言う

「逃げなさい ここに居ては皆殺される

共に行くのです

この地を離れて暮らしなさい!

誰かが・・・生き抜かねば・・・」

 

いやいやをする女の頬に斬られた娘の白い指が触れる

「私達の因果 断ち切るのです 良いですね

命じます」

 

苦しい息の下から微笑んだ美しい娘

泣き崩れる娘と同じ顔の女

 

やがて火の手が上がる

屋敷は燃え始めた

炎が満たしていく


坂木司著「先生と僕」 (双葉文庫)

2020-11-28 21:13:21 | 本と雑誌

 

 

大学生になり一人暮らしを始めた伊藤二葉クン18歳は 家庭教師としてスカウトされた

スカウトしたのは これから教え子となるアイドル真っ青の美少年 瀬川隼人13歳の中学生

そもそも隼人は成績が良い

本人としては塾も家庭教師も必要ない

だが それでは母親が納得しない

隼人の好きな推理小説(ミステリ文庫本)読書中の二葉クンに白羽の矢を立てたのだった

 

こわがり二葉クンは 友人に誘われ 推理小説研究会に入る

そこで読んでいたのが江戸川乱歩

 

博識でやたら知恵が回る隼人クン

二葉クンの特技 一度見たモノは写真のように記憶できること

二人は隼人クン主導で謎を解いていくことにもなる

 

 

一話 先生と僕

書店での女子高校生たちの奇妙な行動

雑誌にはさまれたメッセージ

潰れそうな古書店の生き残らんとする悪巧み

ーそれ 犯罪ですからー

 

二話 消えた歌声

ぼや騒ぎがあったカラオケ店 消えた二人の客

それは何故かー

 

わかってしまえば つまんない謎ーと賢い隼人クンは思うのです

 

 

三話 逃げ水のいるプール

ある男の奇妙な行動

ほんま おっさん何やってんねんー

 

作中に「プール後のかき氷は絶対だからね」とのセリフあり

余談ながら読書中の私は苺のかき氷が食べたくなり ついつい冬でもかき氷が食べられる店を検索してしまった

ーどうしてくれる かき氷が食べたくなったじゃないか

などと思ったものである

せめて苺シロップを買おう 袋入りのかき氷をアイスコーナーで買ってと

 

四話 額縁の裏

人を信じやすい素直な二葉クン

心配する隼人クン

都会には詐欺にペテンに 新興宗教のお誘いの罠

気付かぬうちに カモになったりするという

 

 

五話 見えない盗品

ハムスターを飼い始めた隼人クン

彼はネットでおかしなモノを見つけて

二葉クンは隼人クンが気になることを解決するのにお付き合い

 

 

 

解説はミステリ評論家の千街晶之氏

 


塩田武士著「罪の声」 (講談社文庫)

2020-11-27 22:53:39 | 本と雑誌

 

 

 

犯人の一人と目された「キツネ目の男」は遂に逮捕されずー

店頭の商品に毒物混入などと物騒な事件は未解決のまま

 

現実にあった事件からの創作

 

父親の跡を継いでテーラーを営む曽根俊也は母親の部屋で見つけたテープで幼い自分の声を聞く

ところが そこには未解決事件の犯行に使われた言葉があった

 

信用できる人間に相談し 過去の事件について調べ始める曽根

 

一方ある企画の為に過去の事件を調査することとなった記者の阿久津英士

 

その声を使われた子供達は現在はどうしているのか

 

いわば過去への旅から始まった取材は 同じく事件周辺の人間に当たる互いの存在に気付くことになる

 

その事件によって人生を狂わされた人々

 

卑劣な犯罪の動機は何であったのか

警察を揶揄することにどんな意味があったのか

 

現実の事件は人騒がせで 無様でした

 

小説の登場人物はケリつけて前を向いて歩きだします


マイクル・コナリー著「素晴らしき世界」上・下巻 (講談社文庫)

2020-11-27 09:04:21 | 本と雑誌

 

 

 

ハリー・ボッシュとレネイ・バラードの交互の視点で展開していく物語

 

ハリー・ボッシュ

経験豊富 超ベテラン

サンフェルナンド市警刑事(予備警察官) 元ロス市警敏腕刑事

「リンカーン弁護士」と呼ばれるミッキー・ハラーとは ワケありの兄弟

ベトナムとの戦争経験あり

この時の経験はハリーに大きな影響を与えている

溺愛している一人娘あり

 

 

レネイ・バラード

ロス市警ハリウッド署深夜勤務担当刑事

マイクル・コナリー著「レイトショー」より登場

ライフガードをしている恋人(アーロン・ヘイズ)がいる

優秀な刑事なのだが 自分を強姦しかけた上司を告発し 深夜勤務に飛ばされた

 

 

ハリーは娘を殺されたあとヤク中になりぼろぼろになっていたエリザベスを回復させようと 自分の家に引き取った

そして殺された娘デイジー

彼女を殺した犯人を見つけることに 日々の仕事は片付けつつ尽力している

しかし9年前の事件 新たな証拠は中々見つからない

 

手がかりを求めて 動いているところをレネイに見咎められる

事情を知ったレネイは協力を申し出た

 

二人は協力することに

 

ところが別件でハリーは命を狙われ 拉致監禁される

 

レネイは仲の良い友人の協力を得て ハリーを救出

 

単身 怪しいと思う人間を調べに行ったレネイは窮地に立つ

今度はハリーが駆けつけて

 

 

今は刑事の立場を失っているハリーは レネイの今後を案じ

後を引き受ける

 

そして相手に とうとう犯行を自白させた

 

娘を殺され 再び自分の人生を取り戻せず 死んだエリザベス

 

犯人に娘を殺された別の男

その無念

 

それを思ってハリーは迷走するが

それでも正しい行動をとる

 

 

犯人に殺された多くの女たち

その断ち切られた人生に 命に全く罪悪感を持っていない犯人

 

殺された女たちと同じ目に いやもっと酷い目にあわされればいいと ハリーが思っても責められない

 

 

長く続いている人気シリーズです

 

 

 


作ったものから

2020-11-27 08:56:59 | 子供のこと身辺雑記

 

ケーク・サレ

ホットケーキの素利用で簡単に 加えるものは卵・ヨーグルト・牛乳

玉葱・ブロッコリー・ベーコン・ジャガイモの具

 

 

姑に届ける卵焼き

具はカニカマとネギ 味付けは砂糖と醤油をちょっぴり

 

 

 

 

これは揚げ出し豆腐 茹でたほうれん草を添えて

豆腐の衣に片栗粉と小麦粉を混ぜて使う

タレは鰹節でとった出汁に砂糖・酒・醤油・味醂で味付け

最後に大根おろしをどばっと入れる

 

 

 

 

 

具がキャベツと豚肉のシンプルな焼きそば

長男の昼食と 主人にもお届け

 

 


柚木麻子著「BUTTER」 (新潮文庫)

2020-11-25 22:48:03 | 本と雑誌

 

町田里佳は ある有名な事件の犯人と目される人物と会い続けるうちに感化を受けて 体形までも変化してきた

 

里佳の友人の伶子は 彼女を心配し ある行動に出る

 

けれど伶子もまた悩みを抱えていて

 

現実の事件の容疑者をモデルとしたような人物も出てまいります

 

だけどそれはこの小説を構成する一部 ただの要素

 

心に傷持つ女性が 自分の過去や心と折り合いつけて どう生きていくか

生きていこうとするか

 

 

解説は作家の山本一力氏


米澤穂信著「巴里マカロンの謎」 (創元推理文庫)

2020-11-24 20:32:55 | 本と雑誌

 

小市民を装わんとする小鳩常悟朗クンと ちょっと意地悪いというか性格悪いーイケズなところもある小山内さん

彼らが遭遇する事件とはー

「春期限定いちごタルト事件」

「夏期限定トロピカルパフェ事件」

「秋期限定栗きんとん事件」

ーに続くシリーズ

今回は

「巴里マカロンの謎」

高校一年の二学期に

スイーツ大好き小山内さんと名古屋までマカロンを食べに行ったらー

3個つくはずのマカロン

これが何故か小山内さんのお皿には4個あってー

小鳩クンと小山内さんがたどり着いた真相は

 

 

「紐育チーズケーキの謎」

巴里マカロン事件で知り合った少女の中学の文化祭に行った小山内さんと小鳩クン

ところが小山内さんが むくつけき柔道部員に連行されちゃって

小鳩クンは小山内さんが咄嗟に隠したCDのある場所を考えることに

 

 

 

「伯林あげぱんの謎」

小鳩クンのお友達の新聞部員が頭を悩ます謎

カラシ入りのあげぱんを食べたのが誰か分からない

相談されて小鳩クンが調べてみると

入っていたのはカラシではなくて超辛いタバスコだったとー

 

小鳩クンは誰が当たりのタバスコ入りを食べたか分かってしまった

 

 

 

「花府シュークリームの謎」

小山内を慕う少女が陥れられ 停学に

 

それはあくどい意趣返し

大人のやることか

父娘揃って根性の悪い

ろくな人間じゃないーと思える犯人さん

 

報いを受けることがあればいいーと思ってしまう

 

小鳩クンも小山内さんも清く慎ましい小市民を目指しているとか

それは勿体ないななどと思ってしまうシリーズです

 


いつもながら

2020-11-23 22:53:40 | ペット

平常運転の瑠奈さん

 

 

 

とにかく長男に ずうっとへばりつき

 

長男が立って他の部屋へ行くと 大変とばかりについて回り

長男が座れば 胸からお腹にべっとり貼り付く

「絶対 離れない」とばかりに

 

長男さえ 傍にいてくれたら瑠奈は平和なんです


「シャーロック・ホームズ  シャドウ・ゲーム」 (2011年)

2020-11-23 21:35:43 | 映画

荷物を抱えて歩くアイリーン・アドラー(レイチェル・マクアダムス)

奇妙な中国人に変装したシャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー・ジュニア)が声をかける

「つけられている」と

だが 男達はアイリーンの護衛でホームズ闘うことに

闘う前に頭の中で闘いのシミュレーションするホームズ

結果はシミュレーション通りとはいかないけれど

オークション会場に命を狙われた男を守ろうとするホームズ

男はホームズを信じず 外へ出て毒で死ぬ

 

ホームズはアイリーンとのデートの約束で待っているけれど 彼女は来ない

組んだ相手にアイリーン 毒を盛られたーらしい

「もう 君の力は必要ない」

 

ベイカー街に犬を連れてワトソン(ジュード・ロウ)医師登場

部屋は鬱蒼としたジャングルのような

自由な植物にワトソン「庭師が必要だな」

 

悪の存在を熱弁するホームズ

「いいか これは影を追う戦いなんだ」

 

ワトソンは結婚式前日

独身最後のパーティへ向かう途中 新郎の付添人のホームズ

結婚は人生の墓場だと

 

ホームズの趣味で ワトソンの友人達は来ていない

ホームズの兄はいる

ワトソン カードゲームに興じる

そしてホームズはアイリーンから取り上げた手紙の受取人の女性マダム・シムザ(ノオミ・ラバス)に会いに

そこには彼女を狙う刺客が

刺客と闘うホームズ

 

そして泥酔しているワトソンを結婚式挙げる教会へ送り届ける

淋しそうなホームズ

 

モリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)からの使いの男が伝言

教授と会うホームズ

 

もうワトソンは関係ないと言うホームズに

アイリーンの死を教える教授「珍しい形の結核」

ワトソンに危害を与えることも予告「(ホームズに)付随するものへのダメージを」

ホームズ「もし貴方をこの手で破滅させられるなら 命など惜しくはない」

 

ワトソン夫妻 ブライトン行きの列車へ乗り込む

トイレの使い方を注意されている女性(実はホームズさんの女装)あり

ちょっといちゃつこうとする新婚カップルのワトソン夫妻だけれど

刺客が襲ってくる

二人を守る為に怪しい女装のホームズ登場

あれこれ守る為の下準備もしていた

そしてワトソンの妻のメアリーは列車の外へご避難いただいたホームズ

川ではホームズの兄がメアリー救出

妻を列車から突き落としたと非難するワトソンに「絶好のタイミングだった」と答えるホームズ

この頃にはホームズの着ていたドレスは原形をとどめず 凄い事になっています

大勢の攻撃を躱すホームズとワトソン

 

そしてパリへ

あの女占い師を捜す為に

シムザの兄 レネイーが教授と関わっているらしい

緑のうさぎのリーダーのラヴァシュは教授に家族を人質にとられ 協力せざるを得ない

 

武器を作る工場へ

そこで捕らえられ拷問を受けるホームズ

ワトソンはホームズからのメモを読む

「都合が良ければ すぐに来い 悪くても やることはやれ」

教授の配下 セバスチャン・モランに襲われつつ しのいで反撃

ホームズを救出

ホームズ「来ると思っていたよ」

森へ逃げるシムザの仲間と共に

 

しっかし迫撃砲を使われ仲間は死んでいく

武器いっぱい作っている工場さんなので 兵器には事欠かず

 

追手しつこく

「リトル ハンセル」なる爆風で全て吹き飛ばすようなバケモンめいた威力の武器も使う

ホームズ ワトソン シムザとその仲間さん一人

遂には4人のみ列車に乗り込めた

 

列車の中で呼吸止まるホームズ

ワトソン「簡単に死ねると思うなよ 戻ってこい 戻ってこい」

心臓マッサージしても効果なし

そこで思い出すワトソン

ホームズにもらっていた薬を打ってみる

元気になるホームズ「ひどい夢だった」

 

スイスに寄って(片付けるべき用事を片付けてからなら)帰ろう」とホームズ

 

 

戦争を引き起こし金儲けを企む教授

誰かを暗殺しようとしている

整形手術でシムザの兄が誰かに化けている

平和会議の出席者が暗殺者なら怪しまれない

 

ホームズの兄「表向き平和会議だが 裏では開戦の準備をしている」

教授は悪賢くて尻尾をつかませない

 

ホームズの兄は特製の酸素吸入器をホームズにくれる

「呼吸が楽になった」とホームズ

(原作に出て来るラインバッハの滝での決闘場面への備え)

 

シムザの兄を見つける為に海上で シムザと踊るホームズ「わたしのリードに任せれば大丈夫」

 

ホームズ ワトソンとも男同士で踊る

 

そして滝を見下ろすバルコニーで教授とチェスをさすホームズ

ホームズ「5分の早指しで」

 

教授「君が それでよければ」

教授は言う

人間は戦争を必要としていると

スイスはいい 個人の事情を詮索しない 特に財産については

 

戦争を利用し もっともっと金儲けするつもりの教授

ホームズは教授から 教授の財産ひかえた赤い手帖を奪い済み

教授の財産は 戦争未亡人と戦争孤児に寄付されることになると

 

ホームズ「チェックメイト」

教授「あの医者(ワトソン)に最も無慚な死を用意するー」

 

そうはさせじとホームズ 頭の中で教授との闘いを計算

教授は強い拳闘家でもある

拷問された傷も癒えていない状態のホームズでは勝てる見込みがない

ホームズの選択は教授ごと滝に飛び込むー

 

暗殺者を見つけたワトソン

バルコニーに出て ホームズと教授が落ちるのを見る

 

 

ホームズの葬式も行われた

シャーロック・ホームズ(1854~1891)

ベーカー街の部屋でワトソンは今度の事件についてタイプで打っている

ーこの事件の後日談は特にない

二人の遺体の捜索作業は絶望的だった

ごうごうと激しく水煙をあげ渦巻いている滝つぼ

その底に そこに永遠に眠る

最も危険な犯罪王

そしてこの国随一の法の番人 世界一の名探偵

わたしが知る限り 一番の天才だ

決して彼を忘れないー

 

メアリーが届いた小荷物をワトソンに渡しながら

「荷造りした もう二時半よ 夜には馬車に乗らないと

この週末はブライトンへ」

 

ワトソン「楽しみだ やっと行ける」

 

メアリー「彼が居なくなって 私も淋しいわ」

 

 

届いた小包の中には あの特製の酸素吸入器

 

メアリーに誰が届けに来たのかと尋ねに席を離れ 他の部屋へ行くワトソン

 

ーと奥の椅子から椅子の布地着て立ち上がるーそれは

変装大好きホームズさん

椅子に化けていたという設定

(もしや すごく暇なのだろうか)

 

ホームズはワトソンがタイプ打ちしていた文章に?マークを打ち添えるのだった

 

 

このシリーズは「3」が公開される予定だそうです

 

アイリーンが生きてて再び登場してくれたらいいな

好きな女優さんなんです

 

 

 

 

 

 


全日本フィギュアスケート ジュニア選手権大会

2020-11-23 20:43:09 | スポーツ
青森FLAT HACHINOHEにて


解説は村上佳菜子さん


櫛田育良選手 13歳 中学一年生 木下アカデミー所属
映画「リトル マーメイド」より




大きな瞳が印相的な美少女

フリー 89.66
トータル 142.87

笑顔がチャーミングな選手なので 演技中もっと笑顔が見られるといいなと 思いました




鴨井彬莉彩選手 16歳 高校一年生

「ドン・キホーテ」




憧れのザギドワ選手も使った曲での演技

フリー 85.40
トータル 139.80






鈴木なつ選手 17歳 高校二年生 Mエイトクラブ
「ウエスト・サイド・ストーリー」より


曲調に合わせて変化する動き 表現
表情もいい 動きも滑らか
個性が感じられる 躍動 目立つ

フリー 104.54
トータル 159.32



江川マリア選手 16歳 高校二年生  パミオフイギュアクラブ
「ロミオとジュリエット」




幾つかの目立つミスあり
ポーズはきれい
衣裳が似合って愛らしい
縁起の後 ミスを気にしてか肩を落としていました

フリー 92.32
トータル 147.21





奥野友莉菜選手 13歳 中学二年生  明治神宮外苑SC
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 byチャイコフスキー



ちょっとバランスが良くないのか 序盤に気になるミス幾つか
演技にイナバウアー入っている とても綺麗に反っている
のってきたかなと思うと大きなミスあり
惜しいなと思う
フリー 84.07
トータル 140.05





中井亜美選手 12歳 小学6年生  アイビスSC所属
「TO Believe」
6分練習でトリプルアクセル成功


演技冒頭 大技のトリプルアクセルを
伸びやか 曲と演技があっている
次々と難しいジャンプをこなしていく

フリー 109.78
トータル 166.32



島田麻央選手 12歳 小学6年生 木下アカデミー所属
組曲「惑星」より「木犀」
レイバックスピン「回転速度素晴らしいですね」と解説の村上佳菜子さん
フリー 115.555
トータル 173.44





浦松千聖選手 18歳 高校三年生
「ミス・サイゴン」


水色の衣装 鮮やか
一つ一つのポーズが美しいのに ミズあり
残念
フリー 91.90
トータル 149.86





柴山歩選手 12歳 中学一年生 木下アカデミー所属




「ドン・キホーテ」
きめのポーズがうまい選手
ラストの連続スピンは圧巻
フリー 112.60
トータル 170.68




住吉りをん選手 17歳 高校二年生
映画「ロシュフォールの恋人たち」より



美しい滑りだったのに ミスあり
勿体ない
フリー 110.41
トータル 170.37


吉田陽菜選手 15歳 中学三年生 木下アカデミー所属

トリプルアクセルを決める

フリー 127.44
トータル 189.49



松生理乃選手 16歳 高校一年生
「Parhaps Love」


フリー 129.32

トータル 198.38



結果
1位 松生理乃選手 
2位 吉田陽菜選手
3位 島田麻央選手
4位 柴山歩選手
5位 住吉りをん選手
6位 中井亜美選手











誉田哲也著「ノーマンズランド」 (光文社文庫)

2020-11-22 23:51:06 | 本と雑誌


読了し浮かぶのは 暗い夜の海
真っ暗な海に飛び込むまだ少女と言ってもよい若い娘の姿

怖ろしかったろうに
でも 船に乗り続けているのは もっともっと恐ろしかった
何処へ連れていかれるのかと
言葉も分からない男達にー

夜 ちょっと走るつもりで家を出て・・・
理由も分からなく攫われた

縄で縛られて船に

帰りたかった  帰りたかった 両親の待つ家へ


大学に行ってーこれからだった命
あったはずの未来 人生


それらは全て暗い暗い海の中へ消えた



物語は 大学受験を控えた男の子が憎からず思っている少女が消えたと
そこから始まります

男の子は好きな女の子が行方不明になったと
女の子の父親から教えられます

女の子の父親と 女の子を好きな男の子は必死になって捜します
警察は事件性が無ければ 本気になって捜してはくれません

刑事ではー捜査畑ではありませんが女の子の父親の勤務先は警察でした

そうして北朝鮮の人間に拉致されたらしい そんな情報を入手します

いつか取戻しに行く為に男の子は自衛隊へ入り体を鍛え抜きます
命を賭けて彼女を助けるんだ
見つけるんだ・・・・・



さてこの話は警部補の姫川玲子が登場するシリーズでもあります

映画化もされドラマ化もされております
不幸な死を迎えた竹内結子さんが姫川玲子を演じておられました

人気シリーズなので いつかまた違う女優さんで映像化されるのでしょうけれど
姫川は竹内結子さんの当たり役でした

そこいらも読みながら寂しく感じました


殺人事件の捜査にあたっていた姫川は 容疑者が他の殺人事件で取調べ中だと知ります

姫川は知らないことですが 裏の事情あり そこには姫川にとって天敵のような勝俣が動いています

そちらの事件絡みでユニークな武見検事も登場

姫川は身近な人間の死がこたえており いっそ自分をいためつけたいような精神状態になっていて

彼女を囲む男達は ひどく気にかけているのです

交互に描かれる攫われた少女を捜している人達の様子

これは何処で姫川が捜査する事件と関わってくるのか
勝俣を使う人間の動機は何なのか
その怪しい動きと人脈と


一癖も二癖もある男達と渡り合いながら 次第に事件の真相に近づいていく姫川

自衛隊に入り厳しい訓練もこなしていた江川は遂に捜している少女が
どうなったかを知りました

人生の全てをかけて探し続けた相手
もう救うことはできない
その腕に抱きしめることも

彼にできることは 


一個人としてできることを精一杯やった

拉致被害者を取り戻すこと
現在の憲法
日本の状態での歯がゆさ

そうしたことへの熱い思い
血を吐くような思いが 登場人物の感情として綴られています


娘を奪われた両親の長い年月
生きているのか死んでいるのかもわからず
真実を語らない彼の国



解説は村上貴史さん
このシリーズのこれからと今後にも触れておられます


現実に家族を拉致された人間はいて 苦しみ続けています
想像してみて下さい
あなたの大切な人間がある日急に消えたら

遠い国に連れ去られてしまったら


それを仕方のないことだー
なんて諦められますか

もう会えない
どんな目にあわされているかも分からない


これは深い小説だと思います
とても重たい内容の