モノクロ(白黒)作品です
ナチスドイツに占領下のパリが解放されるまでを描いた物語
テリー・コリンズとドミニク・ラピエールのノンフィクション作品を題材に ルネ・クレマン監督が映画化しました
脚本を手掛けたのは フランシス・フォード・コッポラとコア・ヴィタル
長い映画なので途中INTER MISSION (休憩)が入ります
アメリカとフランスのスター俳優も多く出演したオールスター作品でもあります
あら この俳優さん こんなところに こんな役でーと発見するのも楽しい
ドイツ軍の支配下で自由を取り戻すべく抵抗運動ーレジスタンスを頑張る人々もいます
テロに走ろうとする過激派がいれば 穏健派も
シャバン(アラン・ドロン)は連合軍を待とうーこれ以上人が死ぬは見たくないー
目にモノ見せてやるんだと血気盛んな人々も
ドイツ送りとなった旧友の為に動いたスウェーデンのノルドリンク領事(オーソン・ウエルズ)でしたが 旧友はドイツの親衛隊に射殺されました
必死に動いた旧友の妻の目の前で
この頃 パリを占領下においたドイツ側の司令官はコルティッツ将軍(ゲ
ルト・フレーベ)
彼はヒットラーから戦況が不利となればパリを破壊せとーと命じられ その為の準備だけは進めています
パリの各地に爆弾を設置して
ヒットラーが各地を破壊し歴史ある建造物さえ消滅させていることを 彼はよくは思っておりません
この不安な時代
中にはフランス人でありながらドイツ軍の手先となり 抵抗運動を続ける若者を騙し裏切り 殺させている人物もおります たとえばサージ大尉(ジャン・ルイ・トランティニャン)とか
連合軍と連絡取ろうと出したつなぎの人間も幾人か殺されておりのます
警察署や主な公共機関を自由を求める人々の手で取り戻したフランス人達
けれど弾薬も武器も底を尽き これをドイツ軍側に知られたら 束の間の無駄なことになってしまいます
そこで使者に選ばれしガロア少佐(ピエール・ヴァネック) パリを取り戻す為にと必死です
モノ―博士(シャルル・ボワイエ)の力も借りてパリを脱出
連合軍側の居る場所へと向かいますが
幾つかの困難乗り越えて会えたアメリカの軍人(実はパットン将軍 演じたのはカーク・ダグラスさん)
この軍人の助言によりガロアはルクレール将軍の居る場所へ向かうことに
この軍人は部下にガロアを車で送るように命じ ガロア出立後 別な将軍に「パリはどうなっている」と電話します
ガロアの熱弁は連合軍側の将軍たちの心も動かします
こうしてパリ解放の為の進軍が開始され
ドイツがわの抵抗にあい犠牲者を出しながら 遂にパリは解放されるのです
コルティッツ司令官はノルドリンク領事とこんな会話をしています
コ「-我々 二人だけだ
停戦がうまくいかず状況悪化
連合軍はパリを包囲する
総統から最終命令が出たーパリ全土を破壊せよーと
市内の通行許可を出すから なんとかしてくれ」
スウエーデン大使の問いには コルちゃん こう答えます
「ヒトラーは正気を失っている」
映画の始まりの頃 破壊されたポーランドのワルシャワのニュースを痛ましそうに見ていたコルちゃんでした
では 何故ヒットラーはパリ破壊命令を出したのか
それはもう正気を失っているからだと判断したドイツの将軍コルちゃん
敢えて命令に従わないその理由とは
「パリを破壊すれば ドイツが勝てると言うなら 私の手で街に火をつけるが
我々は負ける
総統は正気を失っている
会った時に分かった」
こちらオーソン・ウエルズ氏 スウェーデン領事を演じております
パリを 人々を守る為に動いてくれるいい方でした
いよいよ連合軍側が乗り込んできたときにも 潔く降伏しております
「人命を救う為に やむを得ずパリを明け渡す
ノルドリンク総領事に深く感謝する」
連合軍がパリに入り ドイツ占領下には慣らされなかった鐘の音が響きます
コ「我々の葬式の鐘だ
ロシアやドイツの事を理解していないか
ノルマンディーのことも
もはや何があっても驚きではない」
コルちゃんだって連合軍の到着を手をこまねいて待っていたわけではなくて
電話で「ひと月前に約束した援軍を送ってもらえないかね」と諦めの表情で電話してもおります
けれど ひと月経とうと送られない援軍が今更送ってくることもなく
むしろ戦況悪化で「無理です 兵士の消耗が激しくて」という答え
兵士の消耗が激しいーというのは戦死者増加ーということ
コルちゃん 自分の家族のことを頼みます
ヨードル大将からの催促は「パリを燃やす準備はできたのかね」
コ「もちろんです
ルーブルやエッフェル塔にも爆弾を設置」
ヨ「ではなぜ さっさと爆破しない」
コ「45か所の橋にも爆弾を仕掛けた 水道施設にも」
(ここいら 総統命令に背いているわけではないとお芝居する 言い訳コルちゃん)
ヨ「それなら今すぐ 街を破壊する命令を出せ!」
コ「占領軍が全員引き揚げたなら」
ドイツ兵士の安全を考えているんだよーと 言いたいコルちゃん
ヨ「総統は即刻爆破しろと言ってるぞ」
この電話を途中で切っちゃうコルちゃんでした
そして忠実な配下には「我々は捕虜となる身だ」
告げると配下の方 いっそ清々しい表情で
「やっとー戦争と平和ーが読めます」
一方連合運側の一兵士を演じるアンソニー・パーキンス氏
ずっとパリに憧れておりましたが「想像していたとおりだ」
こう言ったあとにドイツ側の攻撃にあい落命
あの「ウエストサイド物語」のベルナルド役で日本でも人気のあった俳優のジョージ・チャキリスさんも一兵士役で出演
ノートルダム寺院の前あたりだったかな
シモーヌ・シニョレはパリに向かって進軍する連合軍側の兵士にただで電話をかけさせてあげるカフェの女性として
とてもあったかい笑顔をふりまいています
シモーヌ・シニョレさん 映画によっては大変恐ろしい女性も怪演される御方なので
映画の最後の方で こんな歌詞が入ります
ー憎き敵の血で田畑を潤すー
いやいや 人の血を肥やしとして育てた作物なんぞ口にしたくないです
パリ解放後 映画では描かれませんが
ドイツ人に協力していたと思い込まれただけで 実際はそんなことしていないのに
酷い目にあわされ命を奪われた方も多く出ました
敵であると思い込めば 何をしてもかまわない
そこに何の証拠が無くてもー
フランス革命時にも「悪く思われた」だけで ギロチンの犠牲となった無辜の人間も多数出ました
復讐という強迫観念に襲われた人々の 何をしたっていいんだーという思考は恐ろしくもあります
ジャン・ポール・ベルモンドは「行動の人」の役柄
それほど出演場面は多くありませんが おいしい場面をもらっているなと思います
映画の題「パリは燃えているか」ーはヒットラーの電話の言葉から