猫のミスジが主人公
ミスジがチビ猫の頃 烏から救ってくれた猫の順松が行方不明になり 順松が人間を傀儡の操って困りごとなど解決に導く傀儡師であったことから
ーこの大事なお役目の傀儡師の座をあけておくわけにはいかぬーと どう見込まれたものか まだ若いミスジが傀儡師に選ばれ 傀儡として使うべき人間もあてがわれる
ミスジは命の恩猫である順松のようになりたいと頑張ってきた
順松は言った 今度はお前が助けてやれーと
ミスジは大店のぼんぼんなのに 好き勝手して家を出されて長屋住まいの阿次郎―暢気者だが意外と鋭いところもある人間を操ることとなった
かつてミスジを餌に狙い順松に三日月の傷をつけられ 三日月と呼ばれるようになった烏が 白い仔猫をさらい飛んでいくのを追いかけ
助けるミスジ
烏の三日月は言った 順松は腸(はらわた)曝して死んだーと
順松に何があったのか
烏と戦って勝利するほど強い猫であったのに
三日月は完全な敵だったが
そうと知らず 人間の子供達にいたぶられていた鴉を助けたミスジ
その鴉は三日月の妻だった
猫殺し 烏殺しの人間を捜すミスジと阿次郎
自分の妻をも害そうとした人間への三日月の仕返しは壮絶極まりないものだった
行方不明の順松と同じ名前の芸者と 猫の順松の傀儡の時雨も行方不明になっている
芸者の順松はミスジが烏から助けて白い仔猫の飼い主だった
自分が使う傀儡である人間は守るのが傀儡師の猫の掟
護る為に命懸けで戦った順松
順松を殺した人間は 芸者の順松の親の店を襲った盗賊
順松は賢い女中のおかげで命を拾ったが 他の者は皆殺された
ある人間の腕に順松の牙のあとを見て ミスジは気付く
この人間が順松を殺したのだと
猫達は猫の掟にしたがい 順松の仇である人物に落とし前をつける
書評家の石井千湖さんの解説も楽しいです
物語を読む前に読んで そして物語を読了後 再度読んで 物語の余韻に浸れます