しかし、リーマンショックを乗り越え、GDP成長率が最低7%以上を必要とされるなか、それを上回る成長を続けています。中国経済のバブル崩壊論の真偽について、個性的な分析をするダイヤモンド社の記事がありました。
|不動産バブルとインフレ懸念が顕著に
|中国バブルはいよいよ崩壊するのか?
最近、欧米の経済専門家の間で、中国経済の先行きに悲観的な見方がいつになく強まっている。それに伴って、有力メディアでも中国経済に懸念を表明する記事が目立ち始めている。
その背景には、中国の“不動産バブル”と“インフレ懸念”の2つの要因がある。特に、中国の“不動産バブルについて、「1980年代後半の日本の不動産バブルと同じプロセスを歩んでいる」との見方もあり、早晩バブルが崩壊するとの予測も出ている。
大規模な“不動産バブル”が弾けると、わが国が辿ったような長期経済低迷の時期が来る可能性もあるというロジックだ。
また、当局の金融引き締め策などにもかかわらず、今のところ中国では、食料品中心に価格の上昇に歯止めがかからない。こうした状況が続くと、国民、特に低所得者層の購買力が低下して、消費が低迷することも考えられる。それは、中国経済の成長力の足を引っ張ることになるはずだ。
<中略>
|「日本と相似形」という指摘もあるが
|実は大きく異なる中国バブルの成り立ち
中国の経済専門家の間で、「中国の“不動産バブル”は、80年代後半の日本によく似ている」というレポートが話題になっている。2005年以降の中国の不動産価格の上昇は、80年代後半の日本の地価高騰によく似ているという。それに従うと、2011年にも、中国の“不動産バブル”が崩壊すると予測するものもある。
<中略>
しかし、大きな相違点もある。それは、“不動産バブル”を作った主体だ。日本の場合には、民間の“地上げ業者”や不動産会社が主体だった。一方、中国の場合には、地方政府が宅地造成などを直接行なっているため、中国の“不動産バブル”は、言ってみれば「官製バブル」ということもできる。
また、中国は現在でも、共産党の一党独裁体制が続いており、短期的には価格統制など、中央政府のコントロールが効きやすい状況にある。そのため、経済全体に痛手となるような不動産価格の変動に対しては、政権はなりふり構わず権力を駆使することだろう。
それは、少なくとも短期的には“不動産バブル”の崩壊を阻止する方向に作用するはずだ。とういうことは、「すぐに中国のバブルが弾ける可能性は高くない」と見た方がよい。
<中略>
|既得権益者の動向によって経済情勢も変動
|来年のリーダー交代は無視できない要素
来年、中国共産党のリーダーが変わる。胡錦濤・国家主席は、習近平・副主席にリーダーの座をバトンタッチするのである。最高権力者が変わることは、中国にとって紛れもなく、大きな変化だ。
おそらく、様々な点で変化が起きる。中でも最も注目されるのは、今までの権益層が、これからのその地位に留まることができるか否かだ。従来、恵まれた権益を受けてきた人々にとって、その変化はまさに死活問題だ。リーダーが変わっても権力サイドに留まることができれば、メリットを受け続けることができる。
一方、リーダーが変わることによって、権力サイドから外れることになると、経済的なメリットの享受が怪しくなる。また、中国の法制度では、収賄罪は極刑に位置付けられていることを考えると、それこそ身の安全を確保することも難しいケースが出てくるだろう。
ある市場関係者は、「来年の政権交代を見据えて、多くの中国の富裕層は、自分の財産を海外に移動したり、子弟を海外留学させたりしている」と指摘していた。それが、足もとで、上海株式市場が不安定な展開を示している1つの理由だという。
問題は、来年中国のトップに立つ習近平・新国家主席の政策運営能力だ。中国のリーダーになるのだから、相応の能力や決断力を持っていることは疑いの余地はない。
しかし、現在の中国の状況をみると、政策運営は今までの延長ではあり得ない。従来、経験のないことが発生するだろうし、それに迅速に対応できなければ、中国の先行きに黄色信号が灯る。
民主化の遅れや、統制色の強い経済体制という大きな矛盾を抱えて、中国という大国を運営することは、口で言うほど容易ではない。その意味では、長い目で見ていつか、その矛盾が破裂するときは来るだろう。ただし、その時期はもう少し先のような気がする。
バブルを発生させた母体が、民間の投資か官製かの違いがあることと、一党独裁政権体制でのコントロールが効くことから、日本と同じバブルへ崩壊への道には歯止めがきかせられるとの見方です。
日本流のバブル崩壊よりも、政権交代による新体制の政権運営の影響が大きいと言うのです。
この点、遊爺も政権交代で中国が大きく変わると時折書いてきたとおりで、同じ見方です。
ジャスミン革命も注目されますが、胡錦濤、温家宝の解放経済路線が、江沢民の中華思想での国粋主義への回帰が懸念されます。
胡耀邦と同様に、胡錦濤、温家宝路線では、経済発展には日本をパートナーとして過去の歴史の中で比較すると、重視していました。中国が世界の工場として発展した契機は、米国のIT企業や、日本の食品、衣料企業などのビジネスモデルだったことは、諸兄がご承知の通りです。
それに対し、中華思想で人民解放軍とともに国内政局重視(反日で国内をまとめる)なのが江沢民でした。習近平は、江沢民の路線に戻る可能性が懸念されるのです。
現体制で自由経済の運営は習得したとはいえ、人民解放軍の力が大きくなり、軍事費が増大を続け、格差が拡大している対策への予算が遅れるようだと、政権運営は行き詰まることになります。
それとは別に、格差是正で賃上げを進めると、コストアップを招き、世界一位の輸出大国の地位が危うくなります。格差是正で内需を拡大すれば、輸出入のバランスが逆転し、貿易黒字が減少し赤字に転換する可能性があります。すでに日中貿易では、中国は輸入が輸出を上回っています。
習近平新政権が、どのような路線の政権運営をするのかで、中国経済の動向=日本経済や世界の経済の動向も変化します。
人民解放軍が元気がよくなる傾向にある昨今、江沢民路線への回帰が懸念されます。
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