その後、2008年に、一部は日中共同開発で合意に至り、残りについても継続協議が続けられることになっていましたが、尖閣沖での中国漁船と海保・巡視船との衝突事故があり中断されたままとなっていました。
中国側が勝手に操業開始したりしていましたが、日本国内での報道は尻つぼみとなっていました。
今回、桜井よしこ氏が産経に近況を寄稿され、菅官房長官は、中国側が新たな海洋プラットホームしを建設していることを確認し抗議をしていると述べています。
かつてはこのEEZ境界線レベルでの資源をめぐる争いだったものが、尖閣沖中国漁船事件で民主党政権の「国家の主権」認識の希薄さが近隣諸国に知れ渡るや、メドベージェフ大統領(当時)の北方領土上陸や、李明博大統領(当時)の竹島上陸を促してしまい、対日侵略攻勢・実効支配実績強化を進められてきました。
中国は、尖閣近海での海と空からの不法侵入を繰り返す中で、EEZ境界線のガス田でも、着実に軍備強化を進めていたのですね。
【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】中国、東シナ海ガス田開発を急加速 机上の空論続ける政治家は猛省せよ - 産経ニュース
外務省: 東シナ海における日中間の協力について(日中共同プレス発表)
ガス田「樫」 中国が単独開発・生産段階に移行 - 遊爺雑記帳
中国は、白樺でやっぱり操業を開始していた - 遊爺雑記帳
東シナ海の日中中間線付近のガス田で、中国が海洋プラットホームを急増させている。
国際社会が非難する南シナ海での人工島建設と同様に、東シナ海でも軍事拠点化が進行している疑いがある。政府は把握している事実を公開し、東シナ海における脅威を語るべきだ。それが国を守る議論に通じる。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏は産経新聞への寄稿で、最近1年間にプラットホームが12カ所へ倍増したと指摘し、中国の軍事利用に警鐘を鳴らした。
これを受け菅義偉官房長官は平成25年6月以降、中国がプラットホームを増やした実態を政府が把握し、中国に繰り返し抗議したことを明らかにしたが、詳細については、情報収集や外交交渉への支障を理由に言及を避けた。
日中は20年にガス田の共同開発で基本合意したが、22年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で交渉が中断した。日本の関心が尖閣周辺における中国公船の領海侵入や南シナ海に向いたすきに乗じてプラットホームの建設を急ぎ、既成事実化を狙ったようにみえる。
これは共同開発の合意をほごにする行為である。日本の資源が奪われている可能性もある。
それ以上に、軍事的にも大きな脅威だ。南シナ海の岩礁を埋め立て軍事基地を建設中であることから分かるように、中国軍には、国際ルールや国際社会の批判を無視し、使えるものはなんでも使う臆面のなさがある。
プラットホームは巨大であり、石油・天然ガス掘削用の民間施設を装いつつ、軍事基地へ容易に転用できる。軍用ヘリや無人機の離着陸はもとより、武装した兵員を配置し、レーダー施設、対空・対艦ミサイルの拠点にできる。
櫻井氏が指摘したように、レーダーを置けば、大陸から尖閣周辺までしかカバーできなかった中国軍の監視の目が、南西諸島全域に及ぶようになる。自衛隊と米軍の行動が把握されることは、沖縄防衛にとって大きなマイナスだ。
民主国家において、把握した事実は公開されることが原則だ。
眼前の東シナ海に脅威があるなら、国民はこのことを知るべきである。政府与党が早期成立を目指す安全保障関連法案についても、こうした国際環境を国民が正しく理解することで、議論が深まるのではないか。
紛争当時から、埋蔵量は多くはなく黒字採算は見込めないが、制海空権を確保する軍事利用が目的と言われていましたね。
東シナ海に、ADIZを設定した中国。国際通念とはことなるもので、領土、領海並の規制を設けていました。しかし、レーダー能力の限界や、スクランブル技術の未熟さから、実運用には年月が必要とされていました。
しかし、桜井氏が指摘されている様に、ヘリコプター等の回転翼機、あるいは無人機の基地としての使用、レーダーを設置して、現在は不可能な、沖縄、南西諸島全域の自衛隊と米軍の動きをキャッチすることで、中国軍の東シナ海における警戒監視や情報収集能力を高める事を実現させようとしているのですね。
菅官房長官は、新たな開発状況を把握し、抗議してきていると言っていますが、具体的な開発状況については「政府の情報収集、外交交渉に支障をきたす」として明らかにしていません。日本側の情報収集能力に関連するほどの状況公開は求めませんが、抗議をしていたのなら、その事実は公開して何の障害があるというのでしょう。こういう隠蔽が、機密情報に関する過剰隠蔽を野党から突かれる元となるのではありませんか。
公表しなかったのは、外交交渉への配慮で遠慮したからではありませんか。日中首脳会談を実現したくて、言うべきこともきちんとは言えていないのではありませんか。
フィリピンは、南シナ海の状況を米国と連動して国際社会に訴えました。そうすることで、国際社会から批難の声があがり、予定は完了したとして、工事を終わらせています。(米側も、終わりに近くなって声を大きくし、抗議したことで工事を終わらせたとの実績創りを狙っていたとは考えすぎ?)
国際世論と連動させて、言うべきことを言えば、中国はそれが不利な状況を産むと解れば矛を収めます。
例えば、ADIZの「指示に従わない全ての航空機に、軍当局が防御的緊急措置をとる」とした運用規則を、航空当局が各国向けに通知した航空情報から削除しています。日米の連携した抗議が効いているのですね。
中国、防空識別圏の「警告」削除 国際摩擦を懸念か:朝日新聞デジタル
東シナ海での共同開発の約束違反と、軍事施設設置化について、世界に知らしめて、けん制することが必要です。
勿論、日本国民に知らせることで、中国の覇権拡大の意図の具体的行動の一端を理解しやすくさせるでしょう。(ホルムズ海峡の機雷の話はあげあしをとられるし、身近な問題と認識され辛い)
収穫後の畑に、ポツンと取り残されていた花(名前は不詳)
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