遊爺雑記帳

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「敵基地攻撃能力」の保有iに必要なこと

2021-12-09 01:33:55 | 日本を護ろう
 北朝鮮、中国、ロシアといった核爆弾を搭載するミサイル他、各種ミサイルを保有し日米などとは異なる政治体制を敷く国々に囲まれた日本。
 北朝鮮は、ミサイル攻撃で日本を沈没させるとうそぶいたりしていますが、対する日本の防衛体制の見直しが急がれていて、その戦術のひとつに、「敵基地攻撃能力」の強化が注目されていることは、諸兄がご承知の通りです。
 一発の飛んでくるミサイルを、数発の迎撃ミサイルで撃ち落とすのならまだしも、多数のミサイルを数発のミサイルで迎撃、完全に撃ち落とすことは不可能とはだれでも解る話です。まして、新型ミサイルは飛行軌道を複雑化し命中しずらくなっていますね。
 そうなると、飛んでくるミサイルを迎撃するのではなく、ミサイルの発射基地を攻撃した方が確率が高いとは、誰にでも判る話です。
 では、その「敵基地攻撃能力」とはどのようなものなのか、問題点はなりか、元陸上幕僚長・岩田清文氏へのインタビュー記事がありました。
 
莫大な予算と高度な技術が必要、敵基地攻撃は日本だけで可能か? 元陸上幕僚長・岩田清文氏に聞く「敵地攻撃能力」(後編)| JBpress (ジェイビープレス) 2021.12.8 (水) 

 相手国のミサイル発射基地などを自衛隊がミサイルやロケットで攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有をめぐり、政府内で議論が高まっている。背景には、北朝鮮や中国、ロシアなどの日本を狙うミサイルの技術が大幅に向上し、従来のミサイル防衛システムでは対処できないようになってきた状況がある。元陸上幕僚長の岩田清文氏に、自衛隊が敵基地攻撃能力を保有する必要性の有無と課題について語っていただいた。

 「極超音速兵器」登場で状況は一変、不可欠になった敵地攻撃能力 元陸上幕僚長・岩田清文氏に聞く「日本の抑止力」(前編) | JBpress (ジェイビープレス)

実行には米軍との一体化が必要

──自衛隊が敵基地攻撃能力を保有したとしても、「北朝鮮や中国のミサイルは移動式であるため、発射する場所を把握できない場合がある」と言われています

岩田清文氏(以降、敬称略) 
発射寸前のミサイル本体やその発射台を正確に攻撃するのは、確かに難しいと思います。

 
敵基地攻撃を行う場合は、まず軍事衛星を使い、敵ミサイルの位置を探知することが重要です。軍事衛星の中には、偵察衛星や早期警戒衛星などがあります。偵察衛星は、地表の画像を光学や電波によって撮影します。光学衛星には光学カメラが搭載されているのですが、夜間や雲が多い時には正確にできません。合成開口レーダー(SAR:電波で地表を照射し反射波から画像を作成する)を搭載したレーダー衛星ならば、昼夜問わず雲があっても見えるのですが、事前にミサイルの位置をある程度把握していないと見つけにくい。

 また、
発射のタイミングを捕捉するには、発射した瞬間に熱源を探知する早期警戒衛星を保有する必要があります。ところが現状は、米国に頼っているのです。

 ミサイル発射の探知が難しかったとしても、
ミサイル発射を指揮する司令部や通信等の関連施設を平素から監視しておけば、場所の特定ができるはずです。従って、自衛隊が長距離ミサイルやロケットで敵基地を攻撃する際の主体は、司令部や通信施設が適切と私は考えています。

 敵基地攻撃においては、
司令部等を狙う自衛隊のミサイルやロケットが敵の対空ミサイル等に撃破されるのを防ぐため、事前に敵の防空レーダー網や対空部隊を潰す必要があります。このため、攻撃型ドローンなどでレーダーや地対空ミサイルを攻撃し、防空網を無力化することが重要です。また、航空優勢の獲得も必要となります。そのうえで、司令部等を攻撃する。その後、確実に破壊できたか否かなど攻撃の効果を評価するため、偵察衛星や長距離偵察ドローンなどで確認します。その状況を検証し、我が国の意志と能力を敵に示したうえで、次は外交交渉の段階に入ります。

 
これら一連の行動やシステムを機能させるためには、莫大な予算と高度な技術が必要です。日本独自で実行するのは現実的には不可能であり、米軍の力が必要です。情報収集、偵察、攻撃、評価・分析など多機能にわたり米軍と一体となって取り組まないと敵基地攻撃はできません。これらのうち日本が得意とする分野もありますから、そこを有効に活かしながら米軍と一体化して、敵基地攻撃能力を高めることが大切です。

アメリカは裏切らないか?
──しかし
アメリカはしたたかな国に見えます。表向きは対立を演出しながら、実は水面下で北京政府とつながっていて、日本や韓国、台湾に煮え湯を飲ませるという可能性はありませんか あるいは、中国や北朝鮮が日本を攻めた時に、アメリカ政府や議会、世論が米軍の日本防衛を認めない場合もあり得るのではないでしょうか

岩田 いいご質問だとは思いますが、
現在、日本は戦後最も厳しい安全保障環境下に置かれています中国、北朝鮮、ロシアといった核武装国家に囲まれ、撃墜が難しい大量のミサイルの射程下に入っています。これらの脅威に日本独自では対抗ができません。となると、国家として共通の価値観を持ち、最も強く、頼りになり、信頼できるのはアメリカしかない

 
もちろん、アメリカ政府がいかなる時も日本政府を裏切らないとは言い切れません。同盟に絶対はあり得ないことは忘れてはなりません。日本防衛に米軍を派遣するか否かは、最後は米国議会が、つまりはアメリカ国民が決めることです。それを踏まえ、いざという時に日米安保が機能し、米軍が日本防衛のために動くよう、日本が米国にとって「守るべき価値ある国」として認めさせる努力が必要なのです。

──
北朝鮮や中国、ロシアは、日本の駐留米軍や自衛隊の基地をミサイルで攻撃する他に、都市部も攻撃する可能性があるように思います。北朝鮮は「東京を火の海にする」「日本列島を核爆弾で海に沈める」と恫喝しています。自衛隊も敵国の都市への攻撃ができるようにしないと、抑止にはならないのではないですか?

岩田 
基本的に都市部への攻撃は国際法違反ですから、避けるべきと私は考えています。日本は防衛の一環として敵の軍事的な施設等に対しては反撃するが、それ以上の強力な抑止力は、やはり米軍に頼る、究極的には米軍の拡大核抑止力に頼る、という体制は変えるべきではないでしょう。

 
最近は、核搭載可能な極超音速兵器が登場し、核抑止力の態勢が崩れつつあります。ミサイル防衛システムも完全ではありません。ただし、依然として世界で全面戦争を防いでいるのは米軍の核兵器です。だからこそ、アメリカ政府が日本有事の際に裏切らないようにしておかないといけない。米軍が「日本を守るためには、腕をもぎ取られても戦う」と思う同盟関係にするべきなのです。

 
理想は「非核二原則」だが
──
米軍の核抑止力を一段と強化するために、例えば「非核三原則」(核を保有しない、製造しない、持ち込ませない)のうち「持ち込ませない」を放棄し、核の持ち込みを日本政府として公式に認めるという選択肢はありませんか。

岩田 私自身は、
日本防衛が最終的には米軍の核兵器に頼っている以上、米軍が持ち込めるようにはしておくべきだと考えています。つまり、「核を保有しない、製造しない」の「非核二原則」にするということです。しかし核兵器をめぐる国民世論もあり、非核二原則にしようと正面から議論をするのは難しい。国民感情への配慮は必要です。

 
だからこそ、知恵を使いたい。今後、この知恵を働かせる時が来るはずです。たとえば、米軍が中距離ミサイルの在日米軍基地への配備を日本に持ちかけてくる時などです。

 2年前、米軍は地上配備型の中距離ミサイルの発射実験を行い、成功しました。この中距離弾道ミサイルは、アジア太平洋においては中国しか持っていません。

 1987年、アメリカとソ連は中距離核戦力全廃条約(INF条約)を結びました。射程500~5500キロメートルの核弾頭および通常弾頭を搭載する地上発射式の弾道ミサイルと巡航ミサイルの保有を、互いに禁じたのです。これは歴史的意義のある良い試みだったと思いますが、この条約に関わっていない中国は漁夫の利を得ました。米ロ(ソ連)の軍縮の隙をついて、中距離ミサイルを次々と開発、製造し、その数はアジア太平洋において今や1800発程になっています。

 米軍は中国を念頭に、地上配備型の中距離ミサイルをアジア太平洋に持ち込むことを検討しているでしょう。おそらく、その配備先は在日米軍基地だと思います。このミサイルに核を搭載できるのか否か、あるいはするのか否かを米軍やアメリカ政府は政策的に明らかにしていないし、これからもしないでしょう。

 では、
アメリカ政府が「中距離ミサイルを在日米軍基地に配備したい」と日本に交渉を求めてきた時、日本政府はどうすべきか私は応じるべきだと思います。「核が搭載されているか否かについてアメリカ政府からの事前協議の申し出がない以上、核の持ち込みはない」とするのが、日本の歴代政権の考えでした。これはある意味、“政治的な知恵”と言えるでしょう。私は、同様の“知恵”を使い、中距離ミサイルの日本国内の配備を速やかにアメリカ政府と調整すべきだと考えます。非核三原則から二原則にする議論が紛糾して配備が進まなくなるよりは、現実的な抑止力の強化を実現すべきです。

 10月に、中国軍とロシア軍の艦艇合わせて10隻が、北海道と青森県の間にある津軽海峡を初めて同時に通過して太平洋に出ました。さらにその後、鹿児島県の大隅海峡を初めて同時に通過するなど中ロの連携が深まっています。
中・ロ・北朝鮮という価値観が異なる権威主義の国々と対峙する中、日本の安全保障環境はますます厳しくなっている状況です。今後10年、厳しさは増す一方でしょう。我々、軍事に関わる者の脅威認識を、国民や国民が選ぶ政治家の方々にぜひとも共有していただきたいと強く願っています

 第207臨時国会が 6日召集され、衆参両院の本会議で岸田文雄首相の所信表明演説が行われました。岸田首相は、第 2次安倍政権が2013年に策定した中長期指針「国家安全保障戦略」の初改定を 1年以内に行うと表明。弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する「敵基地攻撃能力の保有」も含め「あらゆる選択肢を排除せず検討する」と強調しました。
 敵基地攻撃能力含め「あらゆる選択肢検討」 首相所信表明演説 抑制的な防衛政策転換の可能性:東京新聞 TOKYO Web

 敵基地攻撃能力の仕組みについての岩田氏の解説。
 敵基地攻撃を行う場合は、まず軍事衛星を使い、敵ミサイルの位置を探知することが重要です。軍事衛星の中には、偵察衛星や早期警戒衛星などがあります。
 偵察衛星は、地表の画像を光学や電波によって撮影します。光学衛星には光学カメラが搭載されているのですが、夜間や雲が多い時には正確にできません。合成開口レーダー(SAR:電波で地表を照射し反射波から画像を作成する)を搭載したレーダー衛星ならば、昼夜問わず雲があっても見えるのですが、事前にミサイルの位置をある程度把握していないと見つけにくい。
 早期警戒衛星は、発射した瞬間の熱源を探知し発射のタイミングを捕捉する。
 現状は、米国に頼っているのだそうです。

 ただし、ミサイル発射の探知が難しかったとしても、ミサイル発射を指揮する司令部や通信等の関連施設を平素から監視しておけば、場所の特定ができるはずです。従って、自衛隊が長距離ミサイルやロケットで敵基地を攻撃する際の主体は、司令部や通信施設が適切と考えていますと岩田氏。

 敵基地攻撃には、事前に敵の防空レーダー網や対空部隊を潰す必要がありますと。
 このため、攻撃型ドローンなどでレーダーや地対空ミサイルを攻撃し、防空網を無力化することが重要です。
 また、航空優勢の獲得も必要となります。そのうえで、司令部等を攻撃する。その後、確実に破壊できたか否かなど攻撃の効果を評価するため、偵察衛星や長距離偵察ドローンなどで確認します。
 その状況を検証し、我が国の意志と能力を敵に示したうえで、次は外交交渉の段階に入りますと岩田氏。

 これら一連の行動やシステムを機能させるためには、莫大な予算と高度な技術が必要です。日本独自で実行するのは現実的には不可能であり、米軍の力が必要。
 多機能にわたり米軍と一体となって取り組まないと敵基地攻撃はできません。これらのうち日本が得意とする分野もありますから、そこを有効に活かしながら米軍と一体化して、敵基地攻撃能力を高めることが大切ですと。

 北朝鮮や中国、ロシアは、日本の駐留米軍や自衛隊の基地をミサイルで攻撃する他に、都市部も攻撃する可能性について。
 基本的に都市部への攻撃は国際法違反ですから、避けるべきと私は考えていますと。
 抑止力は、やはり米軍に頼る、究極的には米軍の拡大核抑止力に頼る、という体制は変えるべきではないでしょうと。

 米軍の核抑止力を一段と強化するための「非核三原則」について。
 日本防衛が最終的には米軍の核兵器に頼っている以上、米軍が持ち込めるようにはしておくべきだと考えています。つまり、「核を保有しない、製造しない」の「非核二原則」にするということだと岩田氏。
 但し、正面から議論をするのは難しい。国民感情への配慮は必要だと。
 だすら、知恵を使いたい。今後、この知恵を働かせる時が来るはずです。たとえば、米軍が中距離ミサイルの在日米軍基地への配備を日本に持ちかけてくる時などですと。

 アメリカ政府が「中距離ミサイルを在日米軍基地に配備したい」と日本に交渉を求めてきた時、日本政府はどうすべきか。私は応じるべきだと思いますと。
 アメリカ政府からの事前協議の申し出がない以上、核の持ち込みはない」とするのが、日本の歴代政権の“政治的な知恵”。
 同様の“知恵”を使い、中距離ミサイルの日本国内の配備を速やかにアメリカ政府と調整すべきだと岩田氏。

 日本の安全保障環境はますます厳しくなっている状況。我々、軍事に関わる者の脅威認識を、国民や国民が選ぶ政治家の方々にぜひとも共有していただきたいと強く願っていますと岩田氏。

 親中の宏池会の岸田首相と、林外務大臣の日本。岩田氏の願いが通じることを願います。



 # 冒頭の画像は、所信表明で「敵基地攻撃能力」に言及した岸田首相




 
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