遊爺雑記帳

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欧州勢 中国の強権的な姿勢への警戒感が増し中国偏重の外交姿勢を見直し

2020-09-27 01:23:53 | 中国 全般
 米中による新冷戦時代に突入した中で、欧州が近年続けてきた中国偏重の外交姿勢を見直している様子ですね。
 新型コロナウイルスの武漢肺炎感染拡大が進む中、香港情勢をきっかけに、中国の強権的な姿勢への警戒感が増しているためだと、読売・解説。
 南シナ海、台湾、東シナ海への軍事力を伴う覇権拡大を続ける中国に、日米豪印やASEAN諸国が警戒を高める中、対中貿易の魅力から反応が鈍かった欧州勢が、ようやく重い腰を上げようとし始めた様子です。
 
欧州一転 「強権」中国警戒 (9/26 読売朝刊 解説)

■「蜜月外交」見直し
 
欧州が近年続けてきた中国偏重の外交姿勢を見直している。新型コロナウイルス感染拡大や香港情勢をきっかけに、中国の強権的な姿勢への警戒感が増しているためだ。ただ経済的に中国依存も高まっており、欧州のジレンマは続く。

コロナや香港情勢で
 9月1日、ベルリンで行われた
ドイツのマース外相と中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相との共同記者会見は、険しい雰囲気に終始した。両人ともほとんど目を合わさず、硬い表情を崩さない。
 
「コロナ禍で中国はうそをついた」「中国が欧州でやっていることは内政干渉だ」━━ドイツメディアは厳しく指摘するとともに、香港の国家安全維持法施行新彊ウイグル自治区の人権状況に質問を集中させた。王氏の欧州歴訪では、マクロン仏大統領が国家安全維持法施行への「深い懸念」を表明した。
 14日には
オンラインで欧州連合(EU)ー中国首脳会議が行われ、メルケル独首相や習近平(シーチンピン)中国国家主席が臨んだ。今年中に合意を目指す投資協定に関してEU側は、中国市場への欧州企業の参入障壁撤廃を求め、香港や新彊ウイグル自治区の現状に関して、ここでも「深い懸念」が表明された。欧州の対中認識は厳しさを増している

黄金時代
 ドイツを始め欧州諸国は近年、経済面を中心に中国との関係を深めてきた。EU経済の中心国ドイツは、中国が2016年から最大の貿易相手国となった。自動車、生産機械を中心に多くの独企業が中国へ進出し、自動車大手フォルクスワーゲンの乗用車販売台数の約4割は中国市場となった。メルケル氏の訪中は12回を数える。
 15年10月、習氏が100人超の経済関係者を引き連れ国賓として訪英し、総額約400億ポンド(当時のレートで約7兆4000億円)の投資・貿易の協定などについて協議した。エリザベス女王が習氏と馬車に乗ってパレードしたことは両国関係の「黄金時代」を印象づけた。
 関係強化を急いだのは欧州主要国だけではない。ユーロ危機で経済が落ち込んだ南欧諸国にとって、中国からのインフラ投資や貿易拡大は頼みの綱だった。ギリシャはアテネ郊外のピレウス港への巨額投資を受ける代わりに、35年間の埠頭(ふとう)経営権を中国国営会社に認めた。イタリアは先進7か国(G7)で唯一、中国の「一帯一路」構想に参加し、トリエステ港などの整備に中国企業が投資する。
 経済基盤がまだ脆弱(ぜいじゃく)な中東欧諸国も「中国・中東欧諸国協力」の首脳会議に12年から参加し、多くのインフラ整備の支援を仰いだ。

分水嶺
 ただ、
経済関係が緊密化するにつれて、欧州産業界には、国営企業優遇や技術移転を強要する中国の異質な経済政策への不満が募っていった。16年、中国企業による独産業ロボット製造「クーカ」社買収がきっかけとなり、先端技術や安全保障に関連する企業買収を政府が不許可にするケースも出始めた
 
中東欧諸国の間でも、中国が協力を約束したインフラ事業が進展しないことへの不満が高まっている。8月末からチェコ上院議長が台湾を訪問したのも、こうした背景があったとされる。
 不満が蓄積していたところに、
コロナ禍や香港情勢をきっかけに中国共産党体制の隠蔽(いんぺい)体質や強権性が露呈した。中国は欧州に対し、医療機材を寄付するなど「マスク外交」を展開した。しかし、医療援助を台湾を巡る政治的主張を受け入れさせる手段としたり、「コロナウイルスは中国が発生源」と報じるメデイアを「科学に対する侮蔑(ぶべつ)」などと攻撃したりした。
 
EU外交筋は、「中国が取った威圧的ないわゆる『戦狼(せんろう)外交』は欧州各国に警戒感を生んだ。欧州側は明確かつ断固とした姿勢で、国家安全維持法施行によりレッドライン(越えてはならない一線)を越えたと示さねばならない」と述べて、今がEUにとって分水嶺との認識を示した
 調査研究機関
「欧州外交評議会」がEU9か国を対象に行った世論調査では、コロナ禍の間に中国のイメージが悪化したことがうかがえる。


されど強まる輸出依存

9月2日、
メルケル政権が新たな外交戦略「インド太平洋指針」を閣議決定した。人権、法の支配、海洋法重視などの価値を共有する国々として、日本、韓国、オーストラリア、インド、インドネシアなどとの関係強化を打ち出し、中国に対する牽制(けんせい)が色濃く出た内容となっている。
独デュイスブルク・エッセン大の
マルクス・タウベ教授(中国経済)は、「この2、3年でドイツの中国に対する姿勢は根本的に変わった。経済関係を深化させれば中国が西側モデルに収斂(しゅうれん)していくという考えをあきらめた。中国経済も競争力を高め、西側モデルはもはや魅力的でなくなった」として、国家戦略の次元で中国は今や「体制上の競争相手」となったと述べた
ただ、コロナ禍で深手を負った欧州経済にとって、中国頼みの構図はむしろ強まっている。ドイツの7月の輸出額は前年同月比で対EUが9.6%減、対米国17%減なのに対し、対中国はわずか0.1%減だった。輸出依存型の経済大国ドイツにとって中国経済は当面、死活的に重要だ。
在中国欧州商工会議所が、中国に進出している欧州企業を対象に2月に実施した調査によると、
投資先を他市場に移すことを考えている企業は11%にとどまった。サプライチェーンを組み替え投資先を多国化するのは容易でないと、多くの企業が考えている。
米国は中国経済とのデカップリング(分断)路線を進め、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」を次世代通信規格「5G」整備から排除するよう世界に求めている英、仏は受け入れたが、ドイツはまだ曖昧な姿勢を取っている
欧州は今後ますます経済(利益)と、価値(人権)や安全保障とのバランスに苦慮することになるだろう。


 新型コロナウイルスの武漢肺炎蔓延による対中非難の高まり払拭を目指しマスク外交を展開する中国。
 王毅外相が、欧州歴訪したのですが、関係修復どころか、関係悪化が露呈した様子ですね。
 
 9月1日、ベルリンで行われたドイツのマース外相と会談後の共同記者会見は、険しい雰囲気に終始。
 ドイツメディアは、「コロナ禍で中国はうそをついた」「中国が欧州でやっていることは内政干渉だ」と厳しく追及するとともに、香港の国家安全維持法施行や新彊ウイグル自治区の人権状況に質問を集中させたのだそうです。

 マクロン仏大統領も、王氏の欧州歴訪には、国家安全維持法施行への「深い懸念」を表明したのだそうです。

 14日にはオンラインで欧州連合(EU)ー中国首脳会議が行われ、今年中に合意を目指す投資協定に関してEU側は、中国市場への欧州企業の参入障壁撤廃を求めたのだそうです。進展はなかった様子。
 EUと中国、投資協定「年内に結論」 オンライン首脳会談で確認(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 経済関係が緊密化するにつれて、欧州産業界には、国営企業優遇や技術移転を強要する中国の異質な経済政策への不満が募ってきていた。
 中東欧諸国の間でも、中国が協力を約束したインフラ事業が進展しないことへの不満が高まっている。
 不満が蓄積していたところに、コロナ禍や香港情勢をきっかけに、中国共産党体制の隠蔽体質や強権性が露呈。

 EU外交筋は、「中国が取った威圧的ないわゆる『戦狼(せんろう)外交』は欧州各国に警戒感を生んだ。欧州側は明確かつ断固とした姿勢で、国家安全維持法施行によりレッドラインを越えたと示さねばならない」と述べて、今がEUにとって分水嶺との認識を示したのだそうです。
 調査研究機関「欧州外交評議会」がEU9か国を対象に行った世論調査では、コロナ禍の間に中国のイメージが悪化したことがうかがえると。

 9月2日、メルケル政権が新たな外交戦略「インド太平洋指針」を閣議決定したのだそうです。
 価値を共有する国々として、日本、韓国、オーストラリア、インド、インドネシアなどとの関係強化を打ち出し、中国に対する牽制が色濃く出た内容となっているのだと。
 日米印豪が進めている「自由で開かれたインド太平洋施略」と類似している様ですが、英国も含めて合流できるといいですね。

 独デュイスブルク・エッセン大のマルクス・タウベ教授は、国家戦略の次元で中国は今や「体制上の競争相手」となったと述べておられるのだそうです。
 米中の「新冷戦時代」突入に、欧州諸国も巻き込まれてきているということですね。

 ただ、コロナ禍で深手を負った欧州経済にとって、中国頼みの構図はむしろ強まっている。ドイツの7月の輸出額は前年同月比で対EUが9.6%減、対米国17%減なのに対し、対中国はわずか0.1%減だった。輸出依存型の経済大国ドイツにとって中国経済は当面、死活的に重要というジレンマがあります。

 在中国欧州商工会議所が、中国に進出している欧州企業を対象に2月に実施した調査によると、投資先を他市場に移すことを考えている企業は11%にとどまったのだそうです。欧州勢は脱中国を考えている企業が未だ少ない。

 米国は中国経済とのデカップリング(分断)路線を世界に呼び掛けています。
 ファーウェイについては、英、仏は受け入れたが、ドイツはまだ曖昧な姿勢を取っている状況。
 日本企業も、米国の呼びかけに、100%応じてはいない。
 ドイツや日本の、中途半端な対中姿勢は、ミクロな企業単位の動きに、国がひきずられているところは類似しています。
 自由主義の共通概念を採るのか、国民や国家の安全保障を優先させるのかの違いですね。
 
 菅首相は、初の日中首脳会談を電話で行いました。媚中二階氏の影響をどれだけうけているかが懸念(米国が二階氏と共に安倍政権内の媚中派として指摘していた今井氏は新政権では閣外に外した)されましたが、色濃くは影響されていない様子?
 菅首相、習主席と初の電話会談 「国賓来日」議題にならず、尖閣問題にも具体的抗議なし 石平氏「親中派を無視。評価したい」 宮崎正弘氏「親中派に忖度。生ぬるい」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

 欧州は今後ますます経済(利益)と、価値(人権)や安全保障とのバランスに苦慮することになるだろうと読売の記事。
 日本も決断を迫られるのは、同じですね。



 # 冒頭の画像は、記者会見した王毅外相
 中国王毅外相の「不機嫌な訪独」をドイツメディアはどう報じたか(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース




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