iPhone 5の発売開始が盛んにニュースで取り上げられています。
アップルの時価総額は、8月20日に6,235億ドル(約49兆4800億円)を超え、米マイクロソフトが1999年に記録した6,205億ドルを超えて史上最高を更新していましたが、iPhone 5の発売開始により、9月18日には、6,579億ドル(51兆8000億円)に達しています。
当然その調達力の影響は大きいのですが、サムスンから調達しながら末端の商品では競合し、世界中で裁判が行われ争っていることは諸兄がご承知の通りです。
ソニーもつい最近までは、サムスンから液晶画面を調達しながら末端製品では競合していましたし、電器業界では、製品をばらしてみると競合他社の部品が使用されているのは昔からあることで、そんなものかとみていました。かすかに、ソニーに供給していた量が減るサムスンはその分コスト高になるのかなぁと思い描いてはいましたが。
しかし世界経済が冷え込んできている今日、さすがに各企業も最終商品での競合を意識しはじめたのか、脱サムスンの流れが出てきたのだそうです。
<前略>
iPhone 5登場にあたってEMS/ODM(Original design manufacturer)業界で注目されたのは、2012年9月初旬に浮上した、アップルが部品調達で韓国Samsung Electronics社(サムスン)に対する発注を大幅に減らしているという話題。
一例を紹介すると、台湾の民間調査会社、TrendForce社傘下の研究部門であるDRAMeXchangeは同月10日に発表したレポートで、アップルが2012年下半期、サムスン以外のメーカーからのDRAM調達量を拡大したと指摘した。具体的には、アップルのモバイル用DRAM調達量におけるサムスンからの調達量が占める割合は、2012年初頭の約40%から直近では約30%へと低下。これに対して韓国SK Hynix社とエルピーダメモリが供給を増やしているとした。
レポートはこのほか、iPhoneとタブレットPC「iPad」に搭載するパネルについても、アップルはジャパンディスプレイ、韓国LG Display(LGD)社、シャープからの調達をメーンとし、iPhone 5に搭載したインセル型タッチパネルでもサムスンを除外、モバイル端末に搭載するバッテリは中国Amperex Technolog(ATL)社(新能源科技)とパナソニックからが大半で韓国Samsung SDI社の供給比率は下がったなど、サムスン外しの事例を列挙している。
一方で、アップルのみならず、台湾系企業が、サムスンからの調達をやめるという報道も出た。
台湾紙『経済日報』は同月5日付で、スマートフォン大手の台湾High Tech Computer(HTC)社(宏達電)が、パネル大手の台湾AU Optronics(AUO)社(友達光電)と共同で、スマホ用4.3型のアクティブ・マトリクス式有機EL(AMOLED)パネルを開発すると報道。その前日の9月4日には、TrendForce傘下の研究部門であるWitsViewが、ソニーに対するテレビ用パネル供給で、AUO社が2013年には、2012年から少なくとも5倍増の最高600万枚に達し、サムスンを抜いて第1サプライヤーになるとするレポートを公表。そして、これらを伝える台湾メディアの記事の見出しには、「サムスン排除」「サムスン外しが加速」という文字が並んだ。
<中略>
台湾系メディアの関係者は、「シャープとフォックスコンの提携交渉がもつれる中、日本ではフォックスコンを『しょせんは巨大な下請け屋』と評したり、同社トップの郭台銘董事長を『意外に小心者』と揶揄したりと、感情的に報じる記事が出始めた」と指摘。その上で、「台湾メディアがサムスン排除の論調を強調する背景には、台湾企業が日本と提携する理由は、日本と対抗したり技術を盗むためではなく、韓国と対抗するためだということを、改めて強調し、この先10年、20年にわたるであろう日本と台湾企業の協業の行方を左右する意味合いを持つフォックスコンとシャープの提携を、台湾を挙げて後押ししたいという気持ちがある」と話している。
アップルの脱サムスンは、企業同士の末端商品の競合によるもので、サムスンの代替えには、韓国企業も参入しています。
DRAMではエルピーダメモリ、パネルではジャパンディスプレイやシャープ、バッテリーではパナソニックの名前が見られます。
シャープについては、インテルが資本参加するとの毎日の報道がありましたが、ここでは触れません。
台湾では、サムスン等韓国企業の独壇場となってきている各市場の状況を、日台が提携して対抗していこうという、総合戦略ですね。
TPPでは煮え切らない政府(自民党総裁選候補者も全員がTPP慎重論)は、FTAやEPAを積極的に進める訳でもなく、1人区の勝敗に大きな影響力がある農家の票を優先し、国家の将来の展望が後回しになっています。
民間企業としては、厳しいグローバル競争に打ち勝つには、国の三流政治のハンディを背負いながらも企業が自力で勝ち抜くしかありません。
サムスンにはメモリに始まり、各業界が世界一の座を次々と奪われてきましたが、反転攻勢のチャンスの機運が芽生えてきたようです。
ふたつの脱サムスンの芽を、しっかり捉えて、大きく育てていければいいですね。
# 冒頭の画像は、iPhone発売開始の銀座アップルストア
この花の名前は、ハルジオン
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