中国の習近平国家主席が 7日、訪問先のロシアで、米中関係について「米中間は今貿易摩擦の中にあるが、私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領もそれを望んでいないだろう」と述べたのだそうです。
貿易協議が決裂している最中でのこの発言。中国政府の強硬姿勢と国内メディアの対米批判の強いトーンとは正反対のものです。中国最高指導者の発言が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫した姿勢と、かけ離れていることは、まさに異例の中の異例。
しかも、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽され、人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより一層激しくなったのだそうです。
そして、新華社通信と人民日報の論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じ、習主席その人に対する批判であるとも聞こえる迄に達していると石平氏。
習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したとなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候であるが、その背後に何があるのかは現時点ではよく分からないと石平氏。
おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見の右往左往に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないかと。
新華網は 7日、アメリカとの妥協を主張する国内一部の声を「降伏論」だと断罪して激しく攻撃。人民日報は11日、アメリカに対する妥協論を「アメリカ恐怖症・アメリカ崇拝」だと嘲笑する論評を掲載。
トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という習主席の発言はまさしく、人民日報や新華社通信が批判するところの「降伏論」、「アメリカ恐怖症」ではないのかと石平氏。
米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂と政争の激化を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻びが生じ始めたもようだと。
国家主席の座の定年制を廃し、強固な独裁体制を構築したと見られた習近平氏。「中国の夢」を追求し、覇権拡大を進めていますが、トランプ大統領の米国がそれを阻止すべく立ちはだかっているのがいわゆる米中の「新冷戦時代」突入。
米国では、与野党一致して対中対抗姿勢を強めていますが、習近平の独裁体制確立とその長期政権体制で盤石とみられた中国側で、個人独裁体制の綻びが生じ始めたもようとは、世界情勢の激しい変転を見せつけられますね。
米中の「新冷戦時代」の今後の展開はどうなるのか。日本はどう対処していくべきか。要注目です。
# 冒頭の画像は、6月5~7日にロシアを訪問した習近平国家主席とプーチン大統領
こびる習近平をプーチンは冷笑? 中国・ロシア「対米共同戦線」の同床異夢 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
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貿易協議が決裂している最中でのこの発言。中国政府の強硬姿勢と国内メディアの対米批判の強いトーンとは正反対のものです。中国最高指導者の発言が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫した姿勢と、かけ離れていることは、まさに異例の中の異例。
しかも、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽され、人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより一層激しくなったのだそうです。
そして、新華社通信と人民日報の論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じ、習主席その人に対する批判であるとも聞こえる迄に達していると石平氏。
【石平のChina Watch】人民日報の「習近平批判」 - 産経ニュース 2019.6.20
6日掲載の本欄で、米中貿易協議の決裂以後、中国の習近平国家主席が、この件について無責任な沈黙を保っていたことを指摘したところ、翌日の7日、彼は訪問先のロシアでやっと、この問題について発言した。
プーチン大統領らが同席した討論会の席上、習主席は米中関係について「米中間は今貿易摩擦の中にあるが、私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領もそれを望んでいないだろう」と述べた。
私はこの発言を聞いて実に意外に思った。米中貿易協議が決裂してから1カ月、中国政府が「貿易戦争を恐れず」との強硬姿勢を繰り返し強調する一方、人民日報などがアメリカの「横暴」と「背信」を厳しく批判する論評を連日のように掲載してきた。揚げ句、中国外務省の張漢暉次官は米国の制裁関税を「経済テロ」だと強く非難した。
こうした中で行われた習主席の前述の発言は明らかに、中国政府の強硬姿勢と国内メディアの対米批判の強いトーンとは正反対のものであった。彼の口から「貿易戦争を恐れず」などの強硬発言は一切出ず、対米批判のひとつも聞こえてこない。それどころか、トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係を断絶したくない」とのラブコールさえ送った。
国外での発言であるとはいえ、中国最高指導者の発言が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫とした姿勢と、かけ離れていることは、まさに異例の中の異例だ。
さらに意外なことに、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽(いんぺい)された一方、発言当日から人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより一層激しくなった。新華社通信のネット版である新華網は7日、アメリカとの妥協を主張する国内一部の声を「降伏論」だと断罪して激しく攻撃。9日には人民日報が貿易問題に関する「一部の米国政治屋」の発言を羅列して厳しい批判を浴びせた。
それらがトランプ大統領の平素の発言であることは一目瞭然である。人民日報批判の矛先は明らかに習主席の「友人」のトランプ大統領に向けられているのだ。そして11日、人民日報はアメリカに対する妥協論を「アメリカ恐怖症・アメリカ崇拝」だと嘲笑する論評を掲載した。
ここまできたら、新華社通信と人民日報の論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じている。それらの批判は捉えようによっては、習主席その人に対する批判であるとも聞こえるのだ。貿易戦争の最中、敵陣の総大将であるはずのトランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という習主席の発言はまさしく、人民日報や新華社通信が批判するところの「降伏論」、「アメリカ恐怖症」ではないのか。
習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したこととなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候であるが、その背後に何があるのかは現時点ではよく分からない。おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見の右往左往に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないか。
いずれにしても、米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂と政争の激化を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻(ほころ)びが生じ始めたもようである。
もちろんそれでは、習主席のトランプ大統領に対する譲歩の余地はより一層小さくなる。米中貿易戦争の長期化はもはや不可避ではないか。
6日掲載の本欄で、米中貿易協議の決裂以後、中国の習近平国家主席が、この件について無責任な沈黙を保っていたことを指摘したところ、翌日の7日、彼は訪問先のロシアでやっと、この問題について発言した。
プーチン大統領らが同席した討論会の席上、習主席は米中関係について「米中間は今貿易摩擦の中にあるが、私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領もそれを望んでいないだろう」と述べた。
私はこの発言を聞いて実に意外に思った。米中貿易協議が決裂してから1カ月、中国政府が「貿易戦争を恐れず」との強硬姿勢を繰り返し強調する一方、人民日報などがアメリカの「横暴」と「背信」を厳しく批判する論評を連日のように掲載してきた。揚げ句、中国外務省の張漢暉次官は米国の制裁関税を「経済テロ」だと強く非難した。
こうした中で行われた習主席の前述の発言は明らかに、中国政府の強硬姿勢と国内メディアの対米批判の強いトーンとは正反対のものであった。彼の口から「貿易戦争を恐れず」などの強硬発言は一切出ず、対米批判のひとつも聞こえてこない。それどころか、トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係を断絶したくない」とのラブコールさえ送った。
国外での発言であるとはいえ、中国最高指導者の発言が、国内宣伝機関の論調や政府の一貫とした姿勢と、かけ離れていることは、まさに異例の中の異例だ。
さらに意外なことに、習主席のこの「友人発言」が国内では隠蔽(いんぺい)された一方、発言当日から人民日報、新華社通信などの対米批判はむしろより一層激しくなった。新華社通信のネット版である新華網は7日、アメリカとの妥協を主張する国内一部の声を「降伏論」だと断罪して激しく攻撃。9日には人民日報が貿易問題に関する「一部の米国政治屋」の発言を羅列して厳しい批判を浴びせた。
それらがトランプ大統領の平素の発言であることは一目瞭然である。人民日報批判の矛先は明らかに習主席の「友人」のトランプ大統領に向けられているのだ。そして11日、人民日報はアメリカに対する妥協論を「アメリカ恐怖症・アメリカ崇拝」だと嘲笑する論評を掲載した。
ここまできたら、新華社通信と人民日報の論調は、もはや対米批判の領域を超えて国内批判に転じている。それらの批判は捉えようによっては、習主席その人に対する批判であるとも聞こえるのだ。貿易戦争の最中、敵陣の総大将であるはずのトランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という習主席の発言はまさしく、人民日報や新華社通信が批判するところの「降伏論」、「アメリカ恐怖症」ではないのか。
習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したこととなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候であるが、その背後に何があるのかは現時点ではよく分からない。おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見の右往左往に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないか。
いずれにしても、米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂と政争の激化を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻(ほころ)びが生じ始めたもようである。
もちろんそれでは、習主席のトランプ大統領に対する譲歩の余地はより一層小さくなる。米中貿易戦争の長期化はもはや不可避ではないか。
習主席の個人独裁体制が確立されている中で、人民日報などの党中央直轄のメディアが公然と主席批判を展開したとなれば、それこそ中国政治の中枢部で大異変が起きている兆候であるが、その背後に何があるのかは現時点ではよく分からないと石平氏。
おそらく、米中貿易戦争における習主席の一連の誤算と無定見の右往左往に対し、宣伝機関を握る党内の強硬派が業を煮やしているのではないかと。
新華網は 7日、アメリカとの妥協を主張する国内一部の声を「降伏論」だと断罪して激しく攻撃。人民日報は11日、アメリカに対する妥協論を「アメリカ恐怖症・アメリカ崇拝」だと嘲笑する論評を掲載。
トランプ大統領のことを「友人」と呼んで「関係断絶を望まない」という習主席の発言はまさしく、人民日報や新華社通信が批判するところの「降伏論」、「アメリカ恐怖症」ではないのかと石平氏。
米中貿易戦争の展開は、すでに共産党政権内の分裂と政争の激化を促し、一見強固に見えた習主席の個人独裁体制にも綻びが生じ始めたもようだと。
国家主席の座の定年制を廃し、強固な独裁体制を構築したと見られた習近平氏。「中国の夢」を追求し、覇権拡大を進めていますが、トランプ大統領の米国がそれを阻止すべく立ちはだかっているのがいわゆる米中の「新冷戦時代」突入。
米国では、与野党一致して対中対抗姿勢を強めていますが、習近平の独裁体制確立とその長期政権体制で盤石とみられた中国側で、個人独裁体制の綻びが生じ始めたもようとは、世界情勢の激しい変転を見せつけられますね。
米中の「新冷戦時代」の今後の展開はどうなるのか。日本はどう対処していくべきか。要注目です。
# 冒頭の画像は、6月5~7日にロシアを訪問した習近平国家主席とプーチン大統領
こびる習近平をプーチンは冷笑? 中国・ロシア「対米共同戦線」の同床異夢 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
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